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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「おじいさんと10ぴきのおばけ」 10ぴきのおばけシリーズ1 作・絵:にしかわ おさむ ひかりのくに株式会社

「指定席」をもらえる安心

他愛もないお話なのに、
読み終わるとほっとして、何となく心が落ち着く、このシリーズ。

どうしてかな…?と自問してみた。

それは、十匹もいるおばけたちに、それぞれ、
ちゃんと「指定席」が与えられるからだ、と気づいた。

そもそも、出自がはっきりしないおばけたち。
「どこから来た? 誰から生まれた?」
その疑問は、ちょっぴり寂しいテーマとして、
このシリーズを通底している。

しかし、そんな、どこの誰ともわからぬおばけの一匹、一匹に、
それぞれ、きちんと「指定席=居場所」が与えられる。
誰も忘れられず、誰も放置されない。
その過程に、安心させられるのだ。

「10人は多すぎる。5人、いや、3人で十分だ」とは、誰も言わない。
「あっちへ行け」と、言われることもない。
それどころか「どうぞ、ここへ」と、座らせてもらえる。

声なき、力なき、小さな者が、それぞれに尊重される世界。
それは、まるで「天国」のよう…

そう言えば、イエス・キリストは
「神の国は、このような幼い子どもたちのもの」と言われたのでした。
(ルカによる福音書18章より)

2002年から続く人気のシリーズで、8冊あります。
あなただったら、どの椅子に座りたいですか?

















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