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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「あっちゃん あがつく たべものあいうえお」         みね よう:原案  さいとう しのぶ:作 リーブル

どうせなら、楽しい詩

「子どもに、早く読み書きを覚えさせたい」という願いは、
大人の欲にすぎませんが…

どうせ教えるなら、楽しく。
うちの子たちも、この本には、ずいぶんお世話になりました。

数ある「あいうえお絵本」の中で、特に本書が「楽しい」と思う理由は、
読み聞かせてみれば、すぐにわかります。リズム良く、遊べるのです。

左頁は、ひらがなの三行詩。
初めの二行は、「あっ/ちゃん あが/つく」という単調なリズム。
つまり、二拍子の繰り返しです。

それゆえ、最終行の「アイスクリーム」では、
自然と、自由な語調を引き出せます。

「アイスクリいム」「アイス/ クリーム」「あい/ すく/ リーム」
何でも、よろし。声に出すだけで、言葉あそびが、広がっていきます。

シンプルな左頁に対し、右頁は、とっても饒舌。
「アイスクリーム」「いちごジャム」「うめぼし」と、それぞれの主役が、
食卓・台所・店先など、見慣れた日常を舞台に大活躍。

数年前。海外で出産・子育て中の友人に本書を送ったら、
「もう、持っています!」と、返事が来て、驚きました。

そして、「友人の、日本人ママにあげます!
子どもにも、日本のお料理がよくわかるように」とのこと。
日本の食文化を伝える、良書でもあります。

140頁越えだけど、形も、コンパクト。
納得の、ロングセラーです。



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