ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ゴメリ州立図書館でゴシケーヴィチをテーマにレクチャー 

2019-04-26 |   イオシフ・ゴシケーヴィチ
 ゴメリ州立図書館のホールでイオシフ・ゴシケーヴィチについてレクチャーをしてきました。
 この図書館の公式サイトで、レクチャーの様子が報告されています。

 この画像だけだと、本当にゴシケーヴィチの話をしているのかどうかよく分かりませんが、特にゴシケーヴィチが函館に建てた通称「ロシア病院」についてお話しました。

 ちなみにゴシケーヴィチは現在のゴメリ州にある村で生まれたので、ゴメリ州立図書館にはゴシケーヴィチ関連の文献資料は他の図書館と比べて多く集められています。
 しかし、日本でどんなことをしていたのかについて詳細や、また日本人の視点から見たゴシケーヴィチ像といったものは、ロシア語に訳されていない部分が多いので、レクチャー出席者のみなさん(地元の大学関係者、図書館関係者の方々)にとっては、知らなかったことも多かったようです。
 
 「ロシア病院」には若かりし頃の新島襄が通院していたこともあり、内部の様子や病院食についての記録が日本語で残っているのですが、ロシア語に訳さないとベラルーシ人は分からないので、その研究(というより翻訳作業)を私がしたものを、今回発表できる機会を得られました。
 日本語の資料を閲覧するためにご協力くださった同志社社史資料センターの方々には深謝しております。
 
 レクチャーを聞きに来てくださったゴメリ市民の反応がとてもよかったので、もっと詳しく調べてロシア語でまとめたものを、この図書館に寄贈するのがいいように思いました。
(引き続きがんばります。私にとってライフワークのようなものになるかもしれません。)

 ゴメリ州立図書館はゴシケーヴィチに関する資料を収集していますので、チロ基金が購入した「日本文化に対するキリスト教の介入」を1冊寄贈しました。詳しくはこちらです

ゴメリ州立図書館・児童図書館「手袋を買いに」 2

2019-04-26 |   新美南吉
 子どもたちには「手袋を買いに」のお話をしました。
「このお話の最後に人間は本当にいいものかしら? ときつねのお母さんは考えているけれど、みなさんはどのように答えてあげますか?」
と質問すると、次々と、
「人間はいいものだと言います。」
という返事が返ってきました。
「じゃあ、みなさんが帽子屋さんだったとしたら、きつねに手袋を売ってあげる?」
ときくと、みんな売ってあげる、と言いました。
「きつねがお金を持っていなかったら?」
「だったら、ただでプレゼントする。」
 みんなやさしいねえ。(^^)
「このきつねのお母さんはむかし、人間が飼っているアヒルを友だちと盗もうとして、棒で追いまくられたことがあるのです。だから人間のことが嫌いなんだけど、じゃあ、みなさんがアヒルを飼っていたとして、そこへきつねがアヒルを食べに来たらどうしますか?」
「棒で追い払います。」
「手袋はただでプレゼントするのに、アヒルはあげたくないのですね。どうして?」
・・・などと意地悪い質問をする私なのですが、幼稚園の先生や司書さんも巻き込んで、議論になりますね。
 このように読後いろいろ話し合えるのが、名作である証拠・・・と大人には説明しています。
  
 童話の後は、折り紙です。みんなできつねの折り紙を作りました。
 上手にできて大喜びです。家に持って帰って、またおうちの人と手袋を買いに行った子狐の話をしてくれたら・・・と思いました。

ゴメリ州立図書館・児童図書館「手袋を買いに」 1

2019-04-26 |   新美南吉
 4月26日、ゴメリ州立図書館を訪問しました。
 この図書館には児童図書コーナーとして分館の児童図書館「ブラチーノ」があります。
 昨年12月には同じ場所で絵本「おりつるの旅」の寄贈、そして折り紙のワークショップを開催しました。

 今回は新美南吉ベラルーシ語訳童話集「手袋を買いに」をテーマに日本を紹介するイベントを開催しました。
 出席してくださったのはゴメリ市にある第49番幼稚園のみなさんです。

 着物衣装に身を包んでいる女の子たちがいますが、この日のために、「百万本の赤いバラ」の曲に合わせて、踊りを披露してくれました。だから頭にバラの花をくっつけているんですね。
(着物が左前に見えるデザインなのが唯一残念ですが。)

 もうすぐ町の子ども向けのダンスコンクールにこれで出場するそうですが、踊りを拝見して優勝しそうだと思いました。

 他にも「日本」をタイトルにした詩の朗読をした男の子もいて、幼稚園児とは思えないほどの記憶力で、びっくりしました。
 

チェルノブイリ33年 ゴメリ州立図書館の取り組み

2019-04-26 | 放射能関連情報
 2019年4月26日、チェルノブイリ原発事故発生から33年目を迎えました。
 この日、私はゴメリ州立図書館の御招待を受けて、ゴメリへ行ってきました。
 しかし、テーマはチェルノブイリとは関係がなく、ゴメリでももう事故のことは意識になく遠い過去になりつつあるのか、と思っていました。
 私はイオシフ・ゴシケーヴィチをテーマにレクチャーをしたのですが、4月26日にチェルノブイリと全く無関係な話ばかりするわけにも・・・と思ったのでゴシケーヴィチが函館に建てた病院について詳しく話をしました。人種を越えて、助け合いましょう、ということです。
(ちなみにゴシケーヴィチは現在のゴメリ州にある村で生まれました。そのためゴメリ州立図書館にはゴメリ出身の有名人コーナーの中にゴシケーヴィチのコーナーがちゃんとあります。)

 実際訪問してみると、この日ゴメリ州立図書館ではチェルノブイリ関連のイベントがちゃんと行われていました。文学と音楽のコンサートで、「チェルノブイリを私たちの記憶の中にとどめましょう」というメッセージが込められていました。

 またゴメリ州立図書館には児童図書コーナー(分館)があり、司書の方に話をうがうと、4月25日と26日は学校から団体で次々とやってきて、司書の方々は2日で合計5回チェルノブイリのお話をしたそうです。
 毎年この時期は「チェルノブイリのお話」を子ども向けに児童図書館で行っているということでしたが、対象年齢は小学4年生前後だそうです。

 そのときにはチェルノブイリに関するドキュメント映画の上映をしたり、司書の方が作成したプレゼンテーションを使用するそうです。

 そのうち小学校1-2年生向けのプレゼンテーション資料を見せてもらいましたが、私が見た限りでは、1-2年生向けとは思えないような高度な内容で、「放射能とは何か? ヨード、セシウム、ストロンチウム・・・」から始まっていて、原発の仕組みなど、小学校低学年は本当に理解できるのかしら?とびっくりするようなレベルです。

 被曝して病気になった子どもの白黒写真や、事故処理作業員の写真なども使われており、「事故は悲劇」「リクビダートルは英雄」といったメッセージが強く感じられます。

 これもゴメリという地域性によるものかもしれません。
 原発事故から33年経過した今も、ゴメリではチェルノブイリのことを風化させないように努力を続けており、公立の児童図書館でも次世代に向けて、図書館でできることをきちんとしている印象でした、

 一言でベラルーシと言っても、地域差、温度差があるように感じた一日でした。