東日本大震災から今日で10年。震災によって亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。
10年後はどうなっているのだろう。復興は? 放射能汚染は? 健康は? と考えていましたが、まさかコロナウイルスという疫病で日本だけではなく世界中が変貌しているとは予想していませんでしたね。
コロナのせいで大人数が集まる追悼式典もしづらいし、悲しいですね。
福島の放射能濃度の低下速度はチェルノブイリよりも早い、という報道(朝日新聞)を見ましたが、つまり事故から10年後の両地を比べてみて、ということですね。
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福島の放射能濃度低下、チェルノブイリより早く 筑波大
東京電力福島第一原発事故で福島県に広がった放射性物質の状況は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)と比べて、土や河川の放射能濃度の低下スピードが大幅に速いという結果を筑波大などの研究チームがまとめた。28日、科学誌に発表した。
筑波大の恩田裕一教授らは、福島第一原発から80キロ圏内を中心に放射性物質の分布などを調べた210本以上の論文を検証。チェルノブイリ原発事故による周辺地域の汚染と比較した。
その結果、福島はチェルノブイリと比べ、地表の放射性セシウムの量が早く減ったことがわかった。地表にある量が少ないほど空間線量率も低くなる。福島では除染などが行われた一方、チェルノブイリは大半の地域で活動が少なかったからだという。
こうした地表の放射性セシウムは、河川に流れ出す「供給源」でもある。土についた状態で川を流れる放射性セシウムの濃度について、事故後1年間で福島とチェルノブイリで比べたところ、福島のほうが1・6倍早く低下していた。チームは、地表の放射性セシウム濃度の低下が要因だと分析している。
また、水に溶けた状態の放射性セシウム濃度について、沈着量の違いの影響を除いて比べると、福島の河川のほうが欧州の河川よりも100分の1程度低かった。淡水魚の放射性セシウム濃度は河川の水に溶けたセシウム濃度と相関関係にあるため、福島と欧州の淡水魚の濃度を比べても同様の差があるという。
筑波大の恩田さんは「放射性セシウムの実態などを明らかにした」と成果を強調する一方、「福島の長期的な研究データを蓄積し、公開する財政的な見通しがない」として、国として研究を継続する必要があると訴えた。
論文はウェブサイト(https://doi.org/10.1038/s43017-020-0099-x)で読める。(福地慶太郎)
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やはり、違いが出たのは気候だと思います。日本は台風が多い、梅雨もあるので、地表に放射能が固定されなかったっことが大きいと思います。また海に落ちた放射能(正確な測定は非常に難しいと思いますが)は人に影響を与えないですね。
福島沖で獲れた魚から基準越えの放射能が検出された、という報道も見ましたが、ちゃんと食品の検査を続けて、情報公開をするのもさすが日本と思いました。
それから土地の除染ですが、チェルノブイリの場合はその場で天地替えしていたので、地中が汚染されている状態なんですよね。日本の場合は地表を剥ぎ取って、袋に詰めて、別の所にまとめる方法です。これも除染の効果が大きいと思います。
一方で、集めた汚染物質をどこで処理(長期保管)するのか、また原発から出ているタンクの中の膨大な量の汚染水(実際には処理して放射能はトリチウムぐらいしか残っていないので処理水)をこれからどうするのかという問題が日本にはありますね。
他にも廃炉に向けて相当な時間がかかるので、気が遠くなるばかりです。福島第1原発事故から10年経ちましたが、まだ先が遠すぎて、また20年後どうなっているのかな、とか30年後どうなっているのかな、と想像してしまいます。そのころの日本はどうなっているのでしょうか。
ベラルーシではこの10年の間に、とうとう自国内に原発を建設し、1号炉も稼働開始しました。コロナウイルスの報道の影であまりニュースの中で目立ちませんが、今のところまだ出力をしぼったり、上げたり、二日後にまた低下させたり、ずっと実験をしているような状態です。ロシア企業が建てた原発なので、その費用をこれから返し続けないといけません大きな借金を抱えています。自国内での電力供給がせめてもっとベラルーシ経済のために役立ってほしいのですが、その状態になるまでにまだ時間がかかりそうです。そして何より事故が起きてほしくないです。今のベラルーシには事故対応が迅速にできるかどうか分かりません。コロナ対策の様子を見ていても、政府にあまり期待できないですね。我が家ではとりあえずヨウ素剤だけは常備するようにしています。