森山さん自身はこの写真集は自信を持っていたけど、表紙はデザイナーに頼んで、失敗した。と言っていた。表紙はシルクスクリーンのようにインクに凹凸がある。森山さんは「こうゆうのは写真でやるコトじゃない。この本の表紙だけは気に入らねえんだ。」と僕に言っていた。
２1歳の時に森山大道さんに手紙を書いた。「…森山さんの写真は眼のピントをぼかすと抽象画になるのです、他の写真家のモノにはそういうことはないのです…」と。後で森山さんに会った時「光と影」の写真集を見ながら話したが、アサヒカメラに掲載した写真はストレートなブリントだけど、写真集ではかなり焼きに凝っている。どこが、焼き込んだか、覆い焼きしたか、ページめくり指摘したら、「そこまで見ている人は初めてだ…」と、森山さんはうれしそうに驚いていた。