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レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討 No1

2024-05-06 13:35:20 | レポート

レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討     No1

1.「学びの多様化学校」について

最近、「学びの多様化学校」に関するニュースをよく見聞きする。「学びの多様化学校」は政府・文科省の新しい不登校対策「COCOLOプラン」(2023年3月)の柱の一つである。昨年まで21校(2023年2月現在)しか存在しなかったが、「COCOLOプラン」では、2028年度までに300校設置することを目標にしている。

2024年には、大分県(町立小中一貫校)、宮崎県(市立中学校分教室)、東京都(中学校)、岡山県(公立高校にコース新設)、大阪府(大阪市立・昼夜間2部制中学校)、福岡県(市立中学校に併設の夜間中学校)などが開設され、全国で35校(公立21校、私立14校)になったそうである。

ちなみに、私が調べたところによると、2016年1月の時点で不登校特例校(小学校1校、中学校6校、高校2校、計9校)の利用者は729人であった。(その他の年度の統計は見当たらなかった。) また、2024年、京都市には2つの中学校が「学びの多様化学校」として設置されている。在籍者は33人と47人の計80人である。京都市の2022年度の不登校者数は1119人で、その内、中学生は889人である。「学びの多様化学校」に在籍しているのは中学生の不登校者の11人に1人であることが分かる。

「学びの多様化学校(不登校特例校)」は、不登校の子どもたちに特化した学校である。「学びの多様化学校」が数多く設置される中で、不登校の子どもたちの居場所、学びの場が確保されることは望ましいことかもしれない。

2015年の9校に729人(1校につき80人)や京都市の例(2校で80人、1校につき40人)から単純に考えてみても、、「学びの多様化学校(不登校特例校)」を300校作っても、12000人から24000人が利用できる程度で、不登校30万人の内、利用できるのは、やはり10人に1人位でしかなく、大半の子どもは利用できないだろう。

不登校を無くすため、不登校問題に真剣に取り組む気があるならば、「学びの多様化学校(不登校特例校)」のような対症療法ばかりではなく、問題を引き起こしている根本的な要因を取り除くことが大事である。新しい不登校対策「COCOLOプラン」の初年度の取り組みの結果は、この秋に文科省が発表する「問題行動等調査」で数字となって表れる。楽しみに待つとしよう。

2024年5月5日  野中