新型コロナウィルスの影響で生活が厳しい世帯への支援として、7月から支給が始まった「生活困窮者自立支援金」の利用が低調で、京都府では8月末時点(当初の締切期限)での申請件数が対象の約2割だそうです。
「生活困窮者自立支援金」は、生活費を無利子で借りられる「特例貸付制度」を限度額の200万円まで利用したが、それでも暮らしが苦しい人に対する支援策として創設されました。3カ月間で、単身世帯で18万円、2人世帯は24万円、3人以上の世帯は30万円が支給されるものです。
京都府での対象は約1万3千世帯ですが、申請件数は3719世帯で、対象の約2割にとどまっています。
なぜ申請がこれほどまでに少ないのか、京都府は原因として、申請の要件の厳しさを挙げています。要件は3つあります。①月収が単身世帯で12万4千円、2人世帯で17万8千円以下の収入要件。②預貯金が単身世帯で50万4千円以下、2人世帯で78万円以下の資産要件。③月2回以上ハローワークで相談するなどの求職活動要件。申請に当たっては、これらを全て満たす必要があるのです。
「求職要件」を満たせずに利用をあきらめる人が多いそうです。なぜ、「求職活動要件」が必要なのでしょう。「生活困難者」を救済するために、「困窮」以外の要件が必要なのでしょうか。
アメリカでは、8月16日に、農務省が低所得者向けの「補足栄養支援プログラム」の給付額が平均25%上がると発表しました。新型コロナウィルス禍による生活困窮者の急増が背景にあるそうです。その結果、毎月の給付額は、4人世帯で約8万5千円、1人世帯で2万6千円、1人平均36ドルも上がるそうです。
アメリカ農務省は、各州が定めた一定の所得水準以下の世帯に毎月、支援給付金を電子クーポンで配っています。アメリカでは、コロナ禍の中、失業者が急増し、「補足栄養支援プログラム」の利用者は全人口の13%に当たる約4200万人に達するそうです。)
日本では、「生活困窮者自立支援金」は厳しい要件の下での申請制ですが、アメリカでは、申請がなくても「補足栄養支援プログラム」の給付金が自動的に給付されます。(しかも、値上げ分も自動的に)
日本の制度って、どこかおかしいのではないでしょうか。本気で、困窮者を救おうとしているのでしょうか。昨日、生活保護費の基準額引き下げを容認する京都地裁の判決がありました。原告の方が言っていました。「これで、健康で文化的な最低限度の生活、といえるのか!?」と。