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レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討 No9

2024-06-04 14:06:02 | レポート

レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討     No9

9.この国で、私たちはどう生きるか?!

 子どもの貧困、いじめの蔓延、不登校の増加、これらを一括りに「子どもの多様化」

として済ませてしまう国に私たちは生きている。本レポートで指摘したように、「新しい不登校対策(COCOLOプラン)」は、「学校とは別の場を準備するから、やる気が出たらそこでやりなさい」というものである。自らの政策で不登校を生み出しながら、政策を改めようとせず、不登校の子どもたちを置き去りにしてしまう国に私たちは生きている。

 そのような国で、私たちはどう生きていけばいいのだろう。

 さまざまな不登校対策が行われているが、なんの支援も受けていない子どももたくさんいる。

私の近くにこんな子がいた。小学校2年生で学校に行かなくなった。両親は働いていて、昼間は一人で過ごす毎日だった。家族は、彼のすることを何も言わずに見守っていた。テレビを見たりビデオを観たり、漫画を読んだりゲームをしたりする毎日だった。そんな日々を過ごしながら、本を読んだり、運動したり、家事を手伝ったり、勉強したり、時間の過ごし方が変化して行った。映画の影響か、5年生になって英語の辞書を買ってもらった。そして、独学で英語の勉強を始めた。6年生の終わりになって、「やりたいことができたので、中学校は行こう」と決めた。小学校を卒業する時期に「学校に行かなかった僕を、誰も責めなかった。ありがとう。」と文集に綴っていた。その後、中学、高校へ行き、大学では外国語の勉強をした。今は、「日本語学校」を支援する仕事をしている。小学校に行かなくても、家で1人過ごしても、安心して居られる場所があり、伸び伸び過ごせるところであれば、そして、子どもに寄り添う人がいれば、子どもは伸びていくのだと、この子は教えてくれている。

また、ある子は、小学5年生の時に、先生に詰られて教室を飛び出し2Kmの道を家まで駆け戻った。その時から彼は家に閉じこもった。15年間、彼は誰にも心を開かなかった。為す術もなく、ただ待ち続けた家族がいた。15年間の彼のこと、家族のことを簡単には語れないが、今、彼は高卒認定試験に取り組んでいる。昨年、英語の試験に合格し、今年は数学と国語を頑張っている。どんなに困難な状況に合っても、長い間引きこもっていても、生きているんだ。生きようとしているんだ。これが人間の底力なんだと思わずにはいられない。

子どもは様々な可能性を持っている。安心し伸び伸び過ごせる環境の中で、友だちと遊んだり学んだりし、失敗や過ちを繰り返し、悩んだり苦しんだりしながら成長していくものだろう。だから、不登校を生み出すような、子どもを切り捨てるような教育を、教育政策を私は許せない。

しかし、私たちはそんな国に生きているのだ。自らが問題を生じさせながら、あたかも救いの手を差し伸べるような「新しい不登校対策(COCOLOプラン)」。まるで、マッチポンプである。そんな偽善に付き合う必要はない。

子どもは、安心できる環境と寄り添う人がいれば、必ず、自らの道を切り開いて行く力を持っている。

せっかく不登校になったのだから、ゆっくり休ませてあげましょう。

登校を拒否することは、自立への第一歩です。

子どもの思うようにさせてやりましょう。マンガだって、ゲームだって、なんだって

一緒に食事をし、一緒に話しましょう。いっしょに遊び、いっしょに笑いましょう。

まずは、お父さんから、お母さんから始めましょう。そして、家族から仲間へと広げていきましょう。不安でしょうが、何も心配いりません。これまで、何万、何十万の子どもたちが自らの道を切り開いて行っているのですから。



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