新・南大東島・沖縄の旅情・離島での生活・絶海の孤島では 2023年

2023年、11年振りに南大東島を再訪しました。その間、島の社会・生活がどのように変わっていったかを観察しました。

天水タンクと井戸

2023-08-03 11:42:35 | 旅行

 前述したように、島の水道料金は非常に高い。運営費の高い逆浸透幕により海水を淡水化しているためで、料金が高くなるには仕方ない。このため、各家庭では出費を避けるための自衛手段を取っていた。それは、水道による給水は飲料とシャワーに極力限定し、洗濯や掃除などには天水か井戸水を利用することである。島の各戸に水道管が敷設され、水道水が自由に使用できるようになった現在でも天水タンクと井戸を利用している民家は多い。
 一段目の写真は在所集落にある民家の天水タンクである。腰の高さまである土台の上にコンクリート製のタンクが設置され、土台の前には流し台が設けてあった。タンクの底には蛇口が付けられていて、手作業するには便利なように設計されていた。左側にあるのは電気洗濯機で、この家庭は屋外で洗濯されてみえるようだ。
 二段目の写真はやはり在所集落で見かけた井戸である。井戸には電動ポンプが使用されているが、全島電化になる前は手押しポンプで汲み上げていた。電化の工事が完了したのは1968年であったが、この時は給電時間に制限があり、夜間だけだったらしい。全島24時間の電力供給は1971年になってからであった。こうしたことから、島では水の確保には長い間苦労させられていた。
 三段目の写真は、天水と井戸の両方を利用し、タンクに水を貯留している事例である。四段目の写真は巨大な天水タンクで、平屋の屋根とほぼ同じ高さまである。家庭で利用するには大きすぎるタンクなので、天水を何かの業務に使用するために設置したのであろうか。ただ、島内にはクリーニング店は無いので、クリーニング用ではなさそうである。