新・南大東島・沖縄の旅情・離島での生活・絶海の孤島では 2023年

2023年、11年振りに南大東島を再訪しました。その間、島の社会・生活がどのように変わっていったかを観察しました。

飲食店の賃貸料は?

2023-06-08 13:45:58 | 旅行

 島で新規に飲食店を開業しようとすれば空き店舗を探すことになる。開業する場所は在所集落の歓楽街に限定される。飲食客はこの場所にしか集まらないからである。歓楽街は約2百メートルの通りにあり、狭い範囲である。店舗を借りようとすると、先ず考慮するのは賃貸料である。島での賃貸料の相場は幾らであろうか。
 島には不動産業者が存在しないので、不動産の情報は皆無であり、賃貸料の相場は不明である。店舗を借りようとすれば家主と直接交渉し、相対で条件を決めることになる。相場はあって無いようなもので、家主が貸せるだけの下限の金額、借主が支払えるだけの上限の金額が賃貸料ということになる。
 一段目の写真は歓楽街の中程にある空き店舗で、外壁はペンキが塗られて手入れは行き届いている。前回の旅行の時は「うみんちゅ」という店名の居酒屋であった。一度入店したことがあり、20坪程度の広さで、7席のカウンター、4人掛けのテーブル3卓の設備であった。今回の旅行では看板や飾り付けが取り外され、閉店していた。2016年の観光案内パンフレットには掲載されていることから、その後に閉店したようである。
 ネットでこの店の情報を検索していたところ、2018年に島を訪れた観光客が店舗の外観を撮影し、その写真を旅行関係のSNSに投稿しているのを見つけた。珍しい資料なので写真を借用させていただいた(フォートラベルの、ネットネーム「オーヤシクタン」さん、失礼します)。二段目の写真は店舗の外観で、窓には賃借人を募集する貼り紙が貼られていた。三段目の写真は貼り紙を拡大したもので、賃貸料は6万円と明記されていた。家主はこの金額で納得したのだが、この金額が高いのか安いのかは分からない。ただ、ネットに写真が投稿されてから5年後も入居した形跡が無いようだ。賃借人が現れなかったのはこの金額が高いのではなく、将来性を考えたからではないかと思われる。島の人口は減少していて、将来は飲食客数が減少していくことが予想されていた。島には既に十数店の飲食店が営業していて飽和状態である。新たに飲食店を開業しても経営を維持できるか不安となり、開業を躊躇されたのかもしれない。

 


廃業した飲食店

2023-06-06 15:23:25 | 旅行

 飲食店は永久に続けられるものではない。フランチャイズ店や法人化した飲食店では数十年或いは百年以上も続く老舗があるが、個人経営の飲食店では経営を続けるには限界がある。店主の高齢化、社会環境の変化、経済的な困窮などの理由により、廃業する飲食店が必ず出てくる。個人店は店主の力量により運営されているため致し方ないことである。飲食店が廃業するのは自然のなりわいであり、新陳代謝するため必要なことである。しかし、廃業という言葉は聞きごたえが悪いが、多くの飲食店で閉店するのは蓄えができてハッピーエンドで終了している。決して倒産などのような悪いものではない。
 今回の旅行では、前回の時と比較して廃業した飲食店を見かけられた。前述したように「いちごいちえ」は廃業していたが、「大東そば」の事業を継続するため移転しただけのことで、一種の吸収合併のようなものである。
 一段目の写真はスナック「あかり」で、ママさんが亡くなられたため廃業されていた。コロナウイルスが蔓延していた時期であった。店内は昭和の時代から変わらない設備であり、中高年の客にとっては高度成長時代のスナックを思い起こす雰囲気であった。熟年のママさんがシッカリ対応してくれて面白い店であった。
 二段目の写真は居酒屋の「しろっぱ」で、主に焼き鳥を提供していた。前回の旅行の時は豊年祭であったの休業していて入店できなかった。なお、しろっぱとはびろう樹の葉の意味である。戦前、島内の民家の屋根はしろっぱにより葺かれていたことから名付けられたらしい。

 


入店できなかった飲食店

2023-06-04 17:35:33 | 旅行

 今回の旅行では島にあるほぼ全ての飲食店を確認したが、休業していて入店できなかった飲食店も多かった。その理由は豊年祭である。豊年祭の期間中には、沖縄本島や宮古島などから親族が来島し、自宅で飲食を楽しむ家族が多い。また、従業員慰安のため、社内や庭先で親睦会を行っている地元の企業も多い。さらに、神輿を担いだ氏子連中は各集落にある集会所で宴会をする習わしがある。こうしたことから、豊年祭の期間中は来店者が減少するので、休業することに決めた飲食店が多くなったらしい。前回の旅行の時は開店してた飲食店が大半であったので、この11年間に各飲食店の運営方針が変わってきたようだ。そんな訳で、この章では休業していて入店できなかった飲食店について説明をする。
 一段目の写真はスーパーミナミの反対側にある「あがりしま」という民謡酒場で、蛇味線を使った生演奏を楽しめる居酒屋らしい。沖縄本島や宮古島などではよく見かけられる、沖縄民謡を演奏する民謡酒場と似ている。前回の旅行の時には廃業していた店舗で、日に焼けて剥げかかった「チャンプルー亭」という看板が掲げられていた。この「あがりしま」は以前は別の場所で営業していたのだが、2018年にここに移転したらしい。店主は久米島の出身のようで、豊年祭の間は実家に戻っていて休業していた。
 二段目の写真は「あがりしま」の隣りにある居酒屋「ちょうちん」で、「お食事処光」「大東そば」と共に島ではランチを提供している数少ない飲食店である。前回の旅行の時は満席であったので入店できなかった。
 三段目の写真はカラオケ、ビリヤードができる「すずめの学校」である。カラオケの個室もあり、本州にあるカラオケ店と同じような内装となっていた。前回の旅行の時は入店したが、壁の棚にはVHSの貸しビデオがずらりと並んでいたので、以前は貸しビデオも行っていたらしい。その時、店内では女将さんが大東すしを大量に調理していた。島内のスーパーで販売されている大東すしの弁当はここから供給されているようだ(「大東そば」や「喜作」などの居酒屋では自店内で大東すしを調理していて、弁当の大東すしとは別らしい)。前回の旅行の時、私がビールを飲んでいる後ろのテーブルでは小学生の子供が学校の宿題をしていた。その小学生は成人式を上げ、那覇に住んでいるとのことで、11年の歳月の流れを感じさせられた。
 四段目の写真は居酒屋の「ちゅら島」(「美ら島」とも書くらしい)である。前回の旅行の時には同じ場所で「ベレン」という店名であった。島の飲食店では珍しく早朝まで営業していた店で、深夜になると来店者が増えてくる不思議な店であった。農村地帯なので住人は早寝早起きかと思ったら、深夜に飲酒したくなる人も多いらしい。奥さんがフィリピン人で調理を担当し、日本人の店主が配膳を担当していた。経営者が変わったので店名が変わったのか、経営者は同じなのだが単に店名を変えただけなのかは聞きそびれた。


スナック「ラピス」

2023-06-02 13:09:43 | 日記

 カウンター席は3席、ボックス席は10席の店で、島では一番小さいスナックである。元は雀荘だった店舗を改装してスナックにしたようある。前回の旅行の時、私はこの店に入店しなかった。前回の旅行の時に撮影した写真を確認したところ、NOMO(その後、「のら」に店名が変更された)の右側に小さな「ラピス」の看板を見つけた。あまりにも小さく目立たなかったので、私は気づかなかったようだ。開店して11年目とのことで、私の前回の旅行の直前に開店したらしい。
 開店してから2年ほどして現在の場所に移動したとのこと。前の店舗があった場所は在所集落の中央であったが、歓楽街の通りに面していなかったので酔客の「道線」にはならず、集客が悪かったようだ。このため、歓楽街の中央にあった雀荘が空いたので移転したのではなかろうか。現在の店舗の左右にはスナック、居酒屋が並び、酔客が入りやすい環境にある。飲食店では、店の立地によって繁盛するかどうかが大きく左右される。小さな歓楽街であるが、飲食店が良い立地を求めて移動することは多いらしい。