硝子のスプーン

そこにありました。

『零~紅い蝶~』、ようやくクリア。

2013-05-04 18:35:42 | ゲーム関係
ゲーム『零~紅い蝶~』をクリアしました。ED『紅い蝶』見ました。
この先、ネタバレあります注意でっせ! ネタバレ上等な方はどうぞカモンウエルカム。
※長いです! こんなに長く書くつもりはなかったのですが、とにもかくにも、『零~紅い蝶~』の私なりの感想、解釈は、こういう感じでした。あくまで、私の主観で物事を考えていますので、「そこは違うよ」と突っ込みたい方もおられるでしょうが、そこは広い心と優しい微笑で、ご理解くださいませ。







ということで、『零~紅い蝶~』、クリアしました。
うん。まあ、うん。あれですよね。一言で言うならば、まあ、ね。

あのエンディングはねえよ。

しか、ないですね。


(※↓こっから本格的なネタバレ開始↓※)

私だけかもしれないけど、プレイヤーとしては、澪と繭を助けようと思って、それが目的で、そのついでと言っちゃなんだけど、仕方ないから除霊して回ってただけで、村人を怨念から解放して成仏させるのが、目標じゃなかったわけですよ。
それなのにですよ。
何故に、澪が繭を殺して、ごめんねごめんねって泣きながら、紅い蝶になった繭を追いかける姿を見なきゃならんねん。私の今までの頑張りは何のためだったの。そりゃあ、思わず画面に向かって盛大に「ハァ!?」って言っちゃうよ。言いたくもなるよ。
村人の立場で考えれば、これがハッピーエンドなんだろうけどさ。あと、八重紗重からしても望んだ結末だろうし、もーしかしたら、澪繭にとっても、心のどっかで望んだことだったのかもしれないけどさぁ。
あくまで私にとっては、完全なる鬱エンドでした。いやマジで、あんだけ頑張らせておいて、あのエンディングはねぇよ。←しつこいw


私なりの解釈による、このゲームシナリオの骨組みをお話しますとね。(※射影機、また、楔(稀人?忌人?)云々については、省略してます)

舞台となる皆神村で、古くからずっと行われていたのは、この村の地下洞窟にある虚と呼ばれる穴、別名、黄泉への門を塞ぐための儀式なんですが、それは、双子御子の年長のほうに年少を絞殺させて、死んだ年少者の魂を生きた年長者の肉体に同化させることで(魂の一体化。双子は元々ひとつの魂から分裂しているという迷信に基づいたもの)、強い霊力を持った守り神にして、黄泉の門から湧き出る瘴気から村を守るといったものでした(年少者の遺体は、贄として虚へと投げ込まれます。この遺体が穴を塞ぐ扉の役目なのかも)。また、絞殺する際に、首を強く圧迫することから死体に出来る赤い痣が、蝶の形に似ていることから、死んだ弟妹御子の魂は紅い蝶になって村を守るとも言われていたようです。
ストーリーの鍵となる、八重と紗重の双子姉妹(八重が姉、紗重が妹)も、その儀式の双子御子として選ばれていたわけです。

しかし、この儀式、兄姉が弟妹を殺せば必ずしも成功するとは限らず、双子のどちらか一方の気持ちに躊躇いがあると魂の一体化が失敗するらしく、実際に八重紗重の前の双子御子である樹月と睦月(こちらは男の双子)は、兄御子の樹月の心に迷いがあった(弟を殺すことにどうしても躊躇いがあったと思われる)ために、失敗しています。その失敗のせいかどうかは分かりませんが、その当時、黄泉の門の瘴気が溢れ出しそうになっていたことから、余計、八重紗重の儀式が、村人には重要視されていたようです。

また、八重と紗重は、顔こそそっくりなものの性格は対照的だったらしく、八重は行動的で外交的だったのに比べ、紗重は消極的で内向的な性格で、八重に精神的にかなり依存していた様子でした。体が弱く、八重のように活発でない紗重は、「いつか自分は八重から置いていかれる」という不安ゆえに、「八重とずっと一緒にいたい。儀式で八重とひとつになれば、ずっと八重と一緒にいられる。早く八重とひとつになりたい」という、つまり早く儀式の日になって八重に殺してもらいたいという願望を、子供の時分から密かに抱いていたようです。

ですが、八重はそれを望んではいませんでした。八重は進歩的(というのか)な女性だったようで、この村の古いしきたり(双子御子の儀式)に疑問を抱いており、また、妹の紗重をそのために殺さねばならないことが、どうしてもいやでした。そこで、先の儀式の兄御子である樹月の協力を得て、村からの逃亡を試みます。勿論、紗重も一緒です。
紗重は八重と違い、儀式に疑問をもつどころか逆に、儀式で八重に殺されることを内心夢見ていましたが、八重が行くなら私も、と言った感じで、逃亡に同意したようです。
当然、生まれ育った村ですし、家族や友人もいるのですから、自分達が儀式から逃げたらこの村はどうなるのだろうという不安や心配は、心に深くあったでしょう。それでも、八重は紗重を殺したくなかったし、紗重は八重と離れたくなかった。誰に彼女らを責める権利がありましょうか、否ですよ。
しかし、何故か手を繋いで逃げるということをしないこの双子姉妹は、森の中ではぐれてしまい(というか、紗重が足を滑らせて崖から落ちた)、紗重はそのまま村に連れ戻されてしまいました。

ここで、第一の悲劇の種が生じました。
儀式には双子御子が必要不可欠でしたが、黄泉の門からの瘴気がどんどん激しいものになってきていたことから、村人達は、最悪八重が戻らなくても、紗重一人で儀式を行おうと間違った決断をしてしまうのです。そのことが、どんな災いを招くかも知らずに。

そして、第二の悲劇も起きます。
八重紗重姉妹が、次の双子御子に選ばれたのは、自分達の儀式がうまくいかなかったせいだと責任を感じて、二人の逃亡に協力した樹月が、計画が失敗したことを知って、己の無力さを呪って自殺してしまったのです。(樹月は伝統どおり儀式を行ったにも関わらず、弟・睦月の魂と一体化すること(=睦月を紅い蝶にすること)が出来ませんでした。そのこと(自身で弟の首を絞めて殺したこと、その命を無駄にしてしまったこと)でも、彼は既に、相当に自分を責めて責めて心が病んでいました……)
しかしながら、そんなことは露も知らない紗重は、儀式前にせめて一目でいいから樹月に会って、一言でいいからお礼と謝罪を伝えたいと、軟禁されていた村長(祭主)の家を何とか抜け出します。けれど、必死の思いで辿りついた樹月の家の蔵で紗重が見たものは、首を吊って息絶えた樹月の変わり果てた姿でした。
シナリオ中、はっきりとした描写は出てきませんが、紗重はどうやら恐らく、樹月に淡い想いを寄せていたようで、そんな相手のむごい亡骸を目の当たりにして、ただでさえ人に依存しがちな紗重の弱い精神が、耐えられるはずもなかったのです。

そして第三の悲劇は、八重と紗重の心のすれ違いにあります。
具体的に言うと、八重が戻らなかったことと、紗重が最後まで八重が戻って自分を殺してくれることを望んでいたこと、このふたつです。
八重が何故戻らなかったのか、八重の心理描写が詳細に描かれていないのではっきりと知ることは出来ませんが、ゲームの冒頭で、「ごめんなさい」と繰り返し一人泣いていたこと、ゲーム中盤(?)で出てくる八重の手記に、「ずっと一緒にいようね、紗重」と記されていること、終盤で、「今度こそ一緒にいきましょう」といっていることから考察しても、紗重のことが大事じゃなかったなんてことはないはずです。八重にとって紗重は、大事な妹、家族として大切な存在だったと思われます。
一方、紗重は、姉妹愛や家族愛と呼ぶには少し度を越した感情を八重に対して持っています。しかも、その感情は、儀式の前に起こった数々のことにより、更に深くなっていました。恐らく、幼い頃からべったりと八重に依存してきた弱い心が、樹月の死という強いストレスによって、激しい執着へと形を変えてしまったのでしょう。
紗重の心の中には、儀式で命を落とすその瞬間までどころか、命を落としたその後までも、「何故戻ってきて私を殺してくれないの? 何故私とひとつになってくれないの? ずっと一緒にいたいのに。ずっと一緒って約束したのに」という、八重に対する強烈な執着心しかありません。

そうして、第二、第三の悲劇が(恐らく)呼び水となって、第一の悲劇の種が、最悪の形で芽吹いてしまったのです。
片割れを欠いた双子御子、本来なら姉御子の手によって捧げられるべき妹御子の命を首吊りという形で捧げたこと、異例に異例を重ねた儀式の結果は、なんともおぞましいものでした。
元々、黄泉の門が緩みかけていたことも関係したのでしょうが、紗重の八重に対する常軌を逸した執着心は、その死と共に強力な負の念となり、その影響によって、黄泉の門に充満していた夥しい瘴気、つまり長年に渡り代々ずっと封じてきた亡者の念が一気に解き放たれてしまったのです。
紗重の魂は恐ろしい怨霊として蘇り、一夜のうちに村人達は一人残らず全員、恐怖の中で無残な死を遂げました。しかし、紗重の望みどおり、八重が戻ってもう一度儀式をやりなおさない限り、村人が死に絶えようとも、紗重の負の念が鎮まることはありません。怨念と怨霊が渦巻く地で、紗重は八重が自分を殺しに戻ってきてくれるその日まで永遠に、あの儀式の夜の惨劇を繰り返すだけの、禍々しい悪霊と成り果ててしまいました。

やがて、村で起きた惨劇のことも、村自体のことすらも、言い伝えになるほど時が流れ。
季節は、夏。
澪と繭、何も知らない、けれども、悲しいくらい内面が八重と紗重によく似た双子の姉妹が、運命の導きか、紅い蝶に誘われて、怨念の巣食う地へと足を踏み入れてしまうのです。(そこからやっとゲームスタートです)


シナリオの骨組みは、こんな感じですね。
プレイヤーは澪の立場でシナリオを進めていき、隠されたその骨組みを少しずつ読み解いていくことになります。 

澪繭姉妹の年齢は正確には知りませんが、見た目からして、十四歳くらいでしょうか。顔がそっくりなので、間違いなく一卵性でしょう。とても可愛らしい顔立ちをしていますが、笑顔らしい笑顔が出てこないため、どこか寂しげというか儚げで、また、エロティックな雰囲気を持っている子達です。そこまがまた、このゲームの不気味さを増す効果を果たしているともいえます。(※姉妹百合っぽい描写がないとは言い切れませんが、けしてお色気ゲームではありません(笑))

姉の繭は子供の頃、姉妹二人で遊んでいたときに足を滑らせ転落し、その怪我が原因で、足をひきずって歩くようになりました。
また、繭は繊細な一面があり、俗に言う『霊媒体質』でもあります。そして、明確には描写されていませんが、何故か彼女は澪に対して、姉妹の情を越えて依存しているように思える面が、ゲーム中、度々感じられます。
一方、妹の澪は、繭ほどの霊感の強さはありませんが、繭に触れると繭が視ている『目には見えない世界』をイメージ写真のように視ることができます。
また、彼女は繭の足の怪我に責任を感じており、いつも繭のことを気にかけ、「ずっと一緒にいる」と約束もしています。

さて。
現代では双子の場合、先に産まれた方を「兄、姉」としますが、昔は後に産まれたほうが「兄、姉」でした。これはご存知の方も多い事実ですね。ということは、現代で姉に当たる繭は、昔ならば妹なのです。紗重と同じ、妹。そして、現代では妹である澪は、八重と同じ姉の立場になります。

霊媒体質の繭は、序盤から早々にして、度々、血塗れの着物の女性=紗重に憑依されます。恐らく、かつて皆神村があった場所へと人を誘う紅い蝶を繭が見つけ、魅入られたように後を追ったのも、紗重の干渉によるものでしょう。繭の中にある、澪への妙な依存心が、紗重の八重に対するそれとシンクロした結果かもしれません。
また、澪も繭を追って森へと入った後、鳥居(皆神村の怨霊を封印している幽界の門?)の前で、ひたすら懺悔の涙に暮れている八重らしき着物の女性の幻覚を見ています。

澪は、繭がそうやって紗重に憑依されて、ふらふらふらふら一人でいなくなるたびに、彼女を探し見つけ何とか二人で村から脱出しようとするのですが、紗重の、村人達の、そして澪繭姉妹以前に、何の因果かこの村へと迷い込んでしまい、二度と生きて出ることが叶わなかった不運な人達の怨念が、それを許してくれません。
黄泉の門が壊れ、怨念に村が包まれた惨劇の日からずっと、紗重の念によってあの儀式の夜を繰り返している村人達にとって、澪繭姉妹は、八重紗重姉妹=双子御子=儀式の生贄にしか見えておらず、一人逃げた八重=澪を怒りの形相で捕まえようとしてきます(儀式失敗の原因が八重の逃亡にあることから、村人達にとって八重は憎悪の対象なのです)。地縛霊や浮遊霊も、隙あらば、あの世に引きずり込もうと襲ってきます。
しかし、それより何より最悪なことは、紗重が完全に、繭に自分を、澪に八重を重ねてしまっていることです。

「………ズット一緒ニイヨウッテ約束シタノニ」
「マタ私ヲオイテイクノ………?」
「オ姉、チャン」

繭の口から繭じゃない声でこの言葉が出たとき、大体分かっていたにもかかわらず、本当に心底ぞっとしてしまいました。

普通ならば精神が参ってしまってもおかしくない状況下で、澪はそれでも、繭と二人逃げ出そうと奮闘します。繭も、ゲーム中盤までは何かあるごとに「澪、一緒にいて」「澪、一人にしないで」「澪、置いていかないで」と、エゴイズム全開で澪にべったりですが、終盤には、紗重に完全憑依されながらも意識の片隅で必死に、「来ちゃだめ、逃げて澪」と、訴えてきます。
しかし、澪繭姉妹の心の強さより遥かに、紗重の怨念のほうが強かったのでしょう。
そしてやっぱり、繭の心の中に、紗重とシンクロするものがあったのでしょう。

結局、澪は、紗重の念によって一種の夢遊病のような状態に陥って、紗重の望みどおり双子御子の儀式を行ってしまいます。つまり、澪は、紗重=繭を、その手で絞殺してしまったのです。
繭の遺体は、村人達(の怨霊)によって虚=黄泉の門に投げ込まれ、そこで夢遊病状態から醒めた澪は、己がしでかしたことを知り、絶叫&錯乱状態になりますが、時既に遅し……。繭は、この村の言い伝えどおり、紅い蝶になってしまいました。
こうして澪繭姉妹を代理に儀式をやり直したことで紗重の怨念は鎮まり、皆神村の長い長い惨劇の夜は、ついに終わりを向かえ、朝が、太陽の光が、村に差し込むのです。

このシーンの綺麗さは、一見の価値があると思います。
昇る朝日、虚から飛び立つ紅い蝶の群れ、怨念から解放された村人達の御霊が浄化されていく様……。そこに素晴らしいタイミングで挿入される雰囲気ぴったりのエンディングソング……。とても演出が見事で、映像もとても綺麗なエンディングです。

が、しかし。
私は正直、感動している余裕も余韻もありませんでした(笑)。
「は? これで終わり? え、これ、もしかしてバッドエンド?」という疑問に、プレイヤーが頭をぐるぐるさせている間にも、澪は、繭と思われる紅い蝶を追いかけながら、ごめんなさいごめんなさいって泣きまくってるし、ずっと澪繭を生きて村から脱出させるために頑張っていたプレイヤーにしてみれば、納得いかないなんてもんじゃないEDです(笑)。
冒頭にも書きましたが、八重紗重や、他の怨霊の立場で考えると、これは紛れもないハッピーエンドなんでしょうが、プレイヤーの立場から言わせれば、鬱エンド以外の何ものでもありません、マジで。
難易度ハードでもいいから、『皆神村の怨念を解いて二人揃って無事に脱出』という別EDが用意されていればまだいいのですが、なめこから聞いた&ネットで調べた限り、PS2版では、『無事に脱出』EDはないそうで……。なんでやねん。(※箱版には追加されているそうです。てか、最初から作れよ、そのED)


それはともかく、ここからストーリーの核の考察。
儀式後、繭が紅い蝶になったということは、儀式は成功したわけですよね。ということは、澪繭姉妹の気持ちにズレがなかったということになるわけで。
繭が深層心理で、澪とひとつになりたいと思っていたことは、ゲームをプレイすれば読み取ることが出来ます。そんな繭の弱さを知った上で、澪もまた、深層心理でそんな繭を受け入れていたということになるのです。

私は双子ではないので、双子の人の気持ちは正確には分かりませんが、双子の人にとってもう一人は、別個人ではなく、自分自身って感覚が強いのでしょうか。片割れっていうくらいですもんね。実際、同級生に双子(二卵性)がいますが、彼女達も子供の頃、片方が喘息持ちで入院中に発作を起こしたとき、喘息持ちじゃないほうが家で、息苦しさに目が覚めた、なんて不思議な体験をしたそうですから、もしかしたら潜在的に、何か理解を超える特別な結びつきがあるのかもしれません。

でも、それにしても、紗重&繭の片割れに向ける思いは、双子特有の結びつきやら絆やら、そんなものを遥かに越えて、残酷なまでに純粋なエゴイズムの塊です。そして、それを受け入れる八重&澪の感情もまた、恐ろしいほど盲目的な自己愛に満ちているように思えます。
そもそも、死ぬことでひとつになるなんて、死に耽美な幻想を抱きすぎだし、死を使って相手を永遠に縛りつけようとするなんて、自己愛に溺れた自分勝手すぎる束縛以外の何でもない。
しかしながら、思春期の繊細な少女である繭には、それが分からず、まるで酷く甘美な真実のように思えたのでしょう。思春期の女の子の夢見がちな自己中思想ほど、危ういものはないですからね。澪も、繭と同じく思春期の少女ですから、自分に依存する弱い繭を庇護するうちに、間違った自己愛を育んでいたのでしょうね。彼女には繭の足のことに対する負い目もありますから、余計、自己犠牲精神に溢れた自己愛に取り付かれていたのかもしれません。
一方、八重紗重姉妹ですが、彼女達が儀式の時に何歳だったかは知りませんが、紗重は体が弱くて内向的な性格だったらしいですから、村の人達との社会的な関わりも少なく、精神的に未成熟だったのでしょう。八重についての描写がゲーム中殆どないために、彼女についてはよく分かりませんが、恐らく八重もまた澪と同じように、弱い紗重を庇護するうちに、間違った自己愛の中に生きていたのかもしれません。

つまり、片方だけが片方に依存していたわけでなく、双方が双方に依存し、その依存にお互いが執着していたわけです。

他者への執着、そして執着されることへの執着。
澪繭、八重紗重に限らず、樹月と睦月や、紫と薊。また、儀式に対し強迫観念にも似たこだわりを見せる村人達もみんな、そうです。みんな、自分ではないものへの依存が激しく、それに対する執着心が強いのです。

このゲームの核は、「人間が持つ執着心の恐ろしさ」なのではないでしょうか。
俗人ならば恐らく誰しもが、大なり小なり何かに対して持っている執着心。その真の恐ろしさを、怨念や怨霊といった日本人が昔から恐れ怯えるもの影に巧妙に隠しつつも、強く表現している作品だと私は感じました。


うん。長いね。
こんなに長く書くつもりはなかったのですが、気がつけば、長くなってた。ごめんなさい。
とにもかくにも、『零~紅い蝶~』の私なりの感想、解釈は、こういう感じでした。あくまで、私の主観で物事を考えていますので、「そこは違うよ」と突っ込みたい方もおられるでしょうが、そこは広い心と優しい微笑で、ご理解くださいませ。

『零~紅い蝶~』、和風ホラゲーとして私は、なかなかいい作品だと思います。EDは納得いきませんが、そういうコンセプトの元に作ってあるのなら、ハッピーエンドを見たいというプレイヤーの心もまた、一種の執着心であり、恐ろしいものなのかもしれません。
興味を持たれた方は、是非プレイされてみてはいかがでしょうか。ホラゲーですから怖いのは怖いですが、トラウマで夜眠れなくなるってほど、はちゃめちゃに怖いものではありません(人によるでしょうけどw)。私的には視覚恐怖よりも、聴覚恐怖のほうが、精神的にやられました。
プレイトータル時間は、難易度ノーマルで、約十二時間。下手でごめん。ちなみに、ランクはEでしたが、何か?(笑)。
「二周目、やるでしょ?」と、なめこから言われたけど、正直、「ううーん」って感じです。頑張ってノーマルでクリアしたので、クリア特典で色々やりこみ要素が追加はされたものの、あんな救いのないEDみせられてテンション下がった状態で、幽霊激写しても特に楽しいと思えない気がする。射影機の操作が上手で幽霊撮影が好きな方は楽しいのかもだけど、私は、射影機の操作も下手だったし、幽霊撮影も苦労したし、もういいかな。
次はなんかもっと、お気楽で爽やかで明るいゲームがしたいですわ~(笑)。





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