茜色の憂鬱

2015-04-23 15:52:57 | ポエム

この淋しい思いを

歌にしたいけど

今は出来ない。

見上げた夕暮れの遠い空、

叫んでみても

僕の声だけが虚しく響く

さようならに込めた

虚しい思いに

苛まれる日々が

通り過ぎてゆく。

 

裏腹な思い

素直な言葉を拒絶して

僕を痛めつける。

何故かその人が

愛おしくなれば

なるほど、

母に悪態をつく

子供のような

自分になってしまう。

そして

取り返しが付かなくなって

やっと素直になれるのだが

もうすべてが終わってしまう。

 

この淋しい思いを

歌にしたいけど

今は出来ない。

見上げた夕暮れの遠い空、

叫んでみても

僕の声だけが虚しく響く

さようならに込めた

虚しい思いに

苛まれる日々が

通り過ぎてゆく。

 

虚しくなって

自分を不憫に思い

自分の人生が

悲しくなってくる。

全てが許されるのなら

もう一度、

僕の思いがあの人に届き、

あの人の許しを請いたい。

だって僕にはあの人しか

居ないんだよ。

これが本当の気持ちさ。

淋しい夕暮れに吹く風よ

お願いだ伝えておくれ

 


淡い懐かしさ

2015-02-01 10:56:49 | ポエム

幼い昔の御伽の国の淡い懐かしさ

 

心の底からいつも戻りたいと

 

思っている。

 

大人になって 鉄の様な欲望に支配され

 

忘れ去られてきたようで

 

本当は何よりも欲しかった

 

  遠い記憶の彼方に彷徨していた

 

幼い頃の宝物

 

ひとりでに自分の傍に置いて

 

 いつも覗いてはほくそ笑むでる。

 

今はその宝物が大事だったように

 

  淡い懐かしさが心の中を

 

洗い流してくれる。

 

これからの生き方を

 

安穏な快楽と許される逃避の

 

世界に身を任せたくなった。

 

年を取ってようやく解かった。

 

何も産まない、独りよがりの

 

淡い懐かしさに心が馴染んでゆくことを。


心の中の塊

2015-01-26 12:12:25 | ポエム

心の中の塊

             渡辺 蓮

私の心に息づく郷愁へのあこがれ

何よりも満たされていた頃の

心地よい、懐かしい風景が

まだ、心の奥底に潜んでいる。

それはもう、きっとこれからも

心の中だけに取り残されて

思い起こそうとしなければ

鉛のように重く固まっている。

私だけじゃない、きっと、

みんなの心にも

その鉛は重く固まっているはずだ。

だけど、誰もそのことに気づいていない。

私たちは目の前の生活に追われ、

それを維持してゆくことに

翻弄されてしまう。

そして、

世の中の流れに巻き込まれてゆく

でも、

みんなが持っている

本当はみんなの心が欲しがっている

大事な潤い、心の糧のようなもの

鉛の塊は何もしなければ

心の奥底で暗く固まって

心に重く圧し掛かっているに違いない

そして、それを感じたまま

次の世代の心に

得体のしれないものとなって

受け継がれてゆく。

受け継いだものはただただ、

厄介なものとしか思わないであろう。

だから、心の中を感じてほしい

鉛の塊が溶けはじめるまで

感じてほしい

熱い思いで懐かしむことで

鉛は心の中でドロドロに溶け込む

心地よい、懐かしい風景

言葉に言い表せない

寂しいけど心が楽しくなるような思い

受け継がれた

古来の人々も変わらぬ

心に馴染んできた

日本の美しい思いが、

見えてくるに違いない。

そして、それは、こちらから思い起こせば

やさしく、いつでも、迎えてくれる。

その時、心の中は

初体験のような

それでいて癒される

懐かしさに陶酔してゆく

一度味わえば、誰もが、虜になる

日本古来の情緒の世界だ。

誰もが思い起こさなくなった

心の潤いである

遥か昔を懐かしむ思い

自然を愛おしく思う心

限りある命を哀れみ尊ぶ思い

先人から受け繋がれた

日本の美しい思いは

我々の心の中に重く圧し掛かっている

暗い塊となって

   

 


寒波到来の新年。本格的な冬の最中、誰の心にも降り継ぐ雪景色

2015-01-04 21:59:56 | ポエム

                       

心の中の雪景色

     渡辺 蓮

 

遠い彼方の昔から

心の中に雪が降る。

 しんしんと降り続いて

 

雪が積もる。

田畑も野原も

川も木々も

降り積もる雪に

姿を消してゆく

目の前は雪の景色が

何処までも続いている

遠くには霞んだ

なだらかな山々の稜線が

空との境を曖昧にして

やがて消えてゆく。

空も大地も雪の中

いつまでも、

何処までも

雪が降り続く

遠い彼方の昔から

心の中に降り続く



バスの停留所

2014-12-25 23:23:38 | ポエム

バスの停留所

渡辺 蓮

時間に来ないバスを

苛々しながら待って いる。

もう10分も経っているのに

遠くの方にも姿が見えない。

気になりだすと度々、

バスの来る方角を窺い始める。

それでもバスの姿は見えない。

この時間ならとっくの昔に駅に着いている。

だけど、今から歩くのも癪に障る。

気持ちはどんどん苛立ちはじめる。

隣のおじさんの顔を一瞥してみた。

平気な顔をして平然と微動だにしない。

『バスはあてになりませんね』

と言うと

『バスを待つときはあてにしては

いけませんよ。あてにするから

苛々するのですよ、私はもう30年以上

待っていますよ』

と話してきた。

怪訝そうな顔でおじさんの話を

聴いていたら、

『来るか、来ないか、解からないバスを

待っていると時間は無駄に過ぎてゆくが、

必ず来ると信じて待っているとバスはいつしかちゃんと現れますよ。

そんな思いで私は30年経ってしまったのです。』

 

このおじさんは、まさか三十年も来ないバスを待っているのだろうか。

そんなことはあり得ない。

そのうち、バスの方向指示器の音がした。

『ほうら、来たでしょう。』

しかし、もう20分も経っていた。

時間通りに来なかったけど、

バスはちゃんと現れた。

 


風の精・雪の精

2014-12-23 09:12:21 | ポエム

 

 

 

 

 

 

風の精、雪の精

渡辺 蓮

夜の帳が降りる頃、

森や山は月明かりに照らされて

静かに風の精が遠い空から舞い落ちる。

胸騒ぎの様なざわめきが、

辺り一面に繋がってゆく。

木々の葉を揺らし、

草叢を撫でながら、

湖水に波紋を伝え

風の精がやってきた。

淋しい季節の装いを

月明かりを頼りに

丹念に拵えてゆく。

葉影の虫はじっと堪えて

静かに息を潜めている。

風の精は時々、ため息をついて

立ち止まる。

出来栄えが気になって仕方がない。

淋しい色や艶やかな色が

月明かりの下で一緒に見える。

色の違いをどうやって出せるのだろうか

悩んでしまう。

最初はきっとまだ分かりづらい。

翌朝、陽の光に照らし合わせ

その晩に少しづつ、色を重ねて

淋しい季節を織りなしてゆく

そして、日ごとに寒くなり

陽の射す時は短くなって

深まりゆく淋しい季節の様子が

とても見事に完成しました。

風の精はまた、急いで

遠い空に帰ってゆきました。

残された淋しい風景は

どんどん色褪せて、

荒涼としてきます。

仕舞には木枯らしが吹き始め、

やがて、

白い季節に変わります。

夕暮れの街の明かりが、

ぽつん、ぽつんと灯る頃、

野山には雪の精が舞い降り始めます。