心の中の塊

2015-01-26 12:12:25 | ポエム

心の中の塊

             渡辺 蓮

私の心に息づく郷愁へのあこがれ

何よりも満たされていた頃の

心地よい、懐かしい風景が

まだ、心の奥底に潜んでいる。

それはもう、きっとこれからも

心の中だけに取り残されて

思い起こそうとしなければ

鉛のように重く固まっている。

私だけじゃない、きっと、

みんなの心にも

その鉛は重く固まっているはずだ。

だけど、誰もそのことに気づいていない。

私たちは目の前の生活に追われ、

それを維持してゆくことに

翻弄されてしまう。

そして、

世の中の流れに巻き込まれてゆく

でも、

みんなが持っている

本当はみんなの心が欲しがっている

大事な潤い、心の糧のようなもの

鉛の塊は何もしなければ

心の奥底で暗く固まって

心に重く圧し掛かっているに違いない

そして、それを感じたまま

次の世代の心に

得体のしれないものとなって

受け継がれてゆく。

受け継いだものはただただ、

厄介なものとしか思わないであろう。

だから、心の中を感じてほしい

鉛の塊が溶けはじめるまで

感じてほしい

熱い思いで懐かしむことで

鉛は心の中でドロドロに溶け込む

心地よい、懐かしい風景

言葉に言い表せない

寂しいけど心が楽しくなるような思い

受け継がれた

古来の人々も変わらぬ

心に馴染んできた

日本の美しい思いが、

見えてくるに違いない。

そして、それは、こちらから思い起こせば

やさしく、いつでも、迎えてくれる。

その時、心の中は

初体験のような

それでいて癒される

懐かしさに陶酔してゆく

一度味わえば、誰もが、虜になる

日本古来の情緒の世界だ。

誰もが思い起こさなくなった

心の潤いである

遥か昔を懐かしむ思い

自然を愛おしく思う心

限りある命を哀れみ尊ぶ思い

先人から受け繋がれた

日本の美しい思いは

我々の心の中に重く圧し掛かっている

暗い塊となって

   

 


空のように

2015-01-26 11:50:28 | 文化人類学

空のように 

          渡辺 蓮

僕は君に出会うために生まれてきたよ。

そして、僕は空のように君を包んでいるよ。

君がどんなに遠くにいても

僕はいつも繋がっているよ。

君がどんなに辛くても

僕はいつもそばにいるよ。

この果てしない空が続く限り君の悲しみは、

雨となって僕はこの大地を濡らすだろう。

僕は君に出会うために生まれてきたよ。

そして、僕は海のように君を愛しているよ。

君がどんなに痩せ我慢しても

僕はいつもわかっているよ。

君がどんなに隠していても

僕は深い心で感じ取るよ。

この母なる大海原がどこまでも広がる限り

君の苦しみは、嵐となって僕は全てを消去るだろう。

僕は君に出会うために生まれてきたよ。

そして、僕は大地のように君を支えているよ。

君がどんなに挫けそうになっても

僕はいつも諦めないよ。

君がどんなに後ずさりしても

僕はいつも君に着いてゆくよ

恵みの大地がある限り君の失望は、花となって咲き乱れ僕は希望を君に与えるだろう。

僕は君に出会うために生まれてきたよ。

そして、僕は空のように君を包んでいるよ。

 


寒波到来の新年。本格的な冬の最中、誰の心にも降り継ぐ雪景色

2015-01-04 21:59:56 | ポエム

                       

心の中の雪景色

     渡辺 蓮

 

遠い彼方の昔から

心の中に雪が降る。

 しんしんと降り続いて

 

雪が積もる。

田畑も野原も

川も木々も

降り積もる雪に

姿を消してゆく

目の前は雪の景色が

何処までも続いている

遠くには霞んだ

なだらかな山々の稜線が

空との境を曖昧にして

やがて消えてゆく。

空も大地も雪の中

いつまでも、

何処までも

雪が降り続く

遠い彼方の昔から

心の中に降り続く