時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

2015 バスク・バルセロナ紀行-10~サン・ファン・デ・ガステルガチェ<1> 白波洗う岩の島

2016-03-16 19:47:36 | スペイン
 アルミンツァでランチ&軽い散策を楽しんでから、バスクの海沿いを東へと車を駆り、今回の旅行を思い立った地へと向かいました。

 <<2015 バスク・バルセロナ紀行-09>

 書店でスペイン旅行関連誌に目を留めて、パラパラとページをめくっていた最中に、見開きで目に飛び込んできた風景に釘付けとなり、次の瞬間には、今回の旅行の第一目的地が決定!

 行程途中では、その美しい姿を高台から遠望することも叶った、眺めの良いドライブを30分程楽しみました。
 最終2㎞程の道程は徒歩で、日没までのひと時、奇勝の島への険しい地形を海へと駆け下りる小径をそぞろ歩きます。

 <サン・ファン・デ・ガステルガチェ>




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 アルミンツァ(Armintza)から車を20分程東へと走らせると、バキオ(Bakio)という小さな町を見渡す、眺めの良い高台へと至ります。
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 ここまでの道中、アルミンツァを発ってすぐ(車で5分位)の海沿いには、原子力発電所となるはずであった建物の廃墟が、周囲の崖に隠れるように、ひっそりと佇んでいました。
 アルミンツァからの距離は、数kmといったところでしょうか。
 テロ組織も絡んだり、死者まで出した激しい反対運動の末に、バスク州政府の指示があるまで、稼働の計画は無期限に停止されたとのこと(事実上の白紙撤回でしょうね)。
 打ち捨てられた不気味さ漂う雰囲気を纏う建物群のすぐ脇を、道路の進路に従い、走り抜けました。



 ビスケー湾(スペイン語:Golfo de Vizcaya バスク語:Bizkaiko golkoa/ビスカヤ(バスク語:Bizkaia スペイン語:Vizcaya)湾)に臨むバスク州(バスク語:Euskadi スペイン語:País Vasco)の沿岸一帯は、切り立つ断崖のような地形も多い中、バキオの市街地は、小さな砂浜を擁しています。
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 バキオの砂浜の先は再び断崖となり、これから私もその上を走ることとなる、バキオの街を抜けた道路は、その断崖へと続く斜面の上を、緩やかに高度を稼いで登っていく様子を見てとることができました。
 より断崖近くへと入り込んでいく、細い別の小道も、はっきりと視認できます。

 断崖が切れ落ちているすぐ先に、こちら側の陸地と繋がっている、小さな岩の島が見えていますね。



 その、岩の島をズームアップ。
 島の名は、バスク語で「城の岩山」を意味する、ガステルガチェ(Gaztelugatxe)。
 島の頂上に建てられた(見えているオレンジ色の屋根の建物)、洗礼者ヨハネ(ラテン語:Ioannes Baptista バスク語:Joan Bataiatzailea スペイン語:Juan el Bautista)に捧げられた礼拝堂の名称でもある、サン・ファン・デ・ガステルガチェ(バスク語:Gaztelugatxeko Doniene スペイン語:San Juan de Gaztelugatxe)の名で、一般的に呼ばれています。
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 真横から眺めると、魚のようにも見えるし、水面に頭を上げた何かの動物のようにも見えますね。

 アカチャ島(バスク語:Akatxa Irla スペイン語(アケチ島):Isla de Aquech)と呼ばれている島が、サン・ファン・デ・ガステルガチェに覆い被さるような形で見えています。
 サン・ファン・デ・ガステルガチェのすぐ背後にあるかのようなアカチャ島ですが、地図で確認すると、結構離れた海上に浮かんでいます。

 憧れの風景まで、もうあと少し!



 更に車で20分弱、バキオの街を通り抜けて斜面を駆け上がり、断崖の中腹にある小さなパーキングスペースに車を駐車。
 最初、まだ先と勘違いして、そこを通り過ぎて少々進むと、道路が行き止まりの通行止め;
 その手前にあった、謎のオブジェです。

 一応、広場のように整備されてはいましたが、何を意味するのかも不明で、案内の看板らしきものもなし。。。
 もちろん、訪れる人も皆無でした。

 パーキングスペースへと引き返します。



 パーキングスペースから礼拝堂まで、片道2㎞程の距離は、徒歩での最終行程となりました。
 サン・ファン・デ・ガステルガチェのすぐ海際まで車で行けると思っていましたが、駐車したパーキングスペースから少し下った先では、徒歩でしか通行できないよう、道に柵が立てられていました。
 断崖の中腹にあるパーキングスペースからは、礼拝堂を戴く岩の島の絶景が!
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 眼下の木立越しに垣間見えている、島への小径との距離感と高低差に、眩暈が…w
 時刻は既に15:00を過ぎ、暗くなるのも早い冬のこの時期(11月下旬)、予約してあるホテルまでの行程も考えて(できれば明るいうちに到着したい)、島へ渡ることを諦めようとも考えましたが、この旅を決意させた場所への思いは絶ち難く、(まだ島へ向かう人もいたこともあり)覚悟を決めて、島へと向かうことにしました。



 ガステルガチェの案内標識。
 バスク語メインの表記となっていますね。

 サン・ファン・デ・ガステルガチェを含めた周辺の海岸一帯は、生態系の保護エリアとなっているようです。
 (バスク語:Babesturiko Biotopoa 英語:Protected Biotope)
 サン・ファン・デ・ガステルガチェは、「スペインの最も美しい風景」にも選ばれたことがある、景勝スポット。
 自然環境が保護されるというのも、当然のことでしょうね。

 標識には、スペイン語が併記されているのですが、そのスペイン語の部分だけ、黒く塗り潰された痕跡が…;
 バスクとスペイン(スペイン語:España バスク語:Espainia)との、因縁の絡んだ複雑な関係が、このようななところにも現れていることを、改めて実感しました。。。



 片道2kmの道程を、黙々と進みますが、島は中々近付いてきたようには感じさせてくれません…!
 それでも、海に佇立している美しい風景には、心を癒されます。
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 島の頂に礼拝堂を建て、ここを巡礼の地とした先人の心境も、適度な険しさ(運動不足の身には、非常に堪えましたが(爆))の小径を往くうちに、なんとなく理解できる心境となっていました。



 断崖に打ち寄せる鮮やかな白波と、曇天にくすむ、島と海。
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 晴天時であれば、紺碧の海原がまた素晴らしい絶景を演出すのでしょう。
 しかしながら、この日のような雲の多い下での風景は、こうした天候が多いと聞くこの地らしい、素晴らしい眺めでした!

 灰とも青ともつかない、空との境界もぼやけたような、海の微妙なグラデーションや、色付いた断崖の斜面にも目を奪われながら、一歩一歩礼拝堂への径を進みます。
 ぼやけた感じと鮮明さとのコントラストも、味があって、いいものですね♪



 20分程歩き続けて、ようやくサン・ファン・デ・ガステルガチェのそばまで辿り着きつつあることを、実感することができるようになりました!
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 礼拝堂へと至るこの小径、パーキングスペースからは下る一方ではなく、小刻みにアップダウンを繰り返す道中、復路が思いやられました(^^;)

 行く手に見える、恐怖の九十九折り…;
 パーキングスペースの方向へと戻っていく、すれ違う人々は、あれを上って下りてきたのだなぁ…と、思わず尊敬の眼差しを向けてしまいましたw



 バスクでも、晩秋は紅葉の季節。
 断崖を覆う草木が色付き、彩り豊かに険しい自然を染めています。
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 このアングルだけ眺めていると、自然の中に独りポツンと取り残されたような錯覚に陥りそうになります。

 アカチャ島、こうして眺めてみると、すんぐりむっくりとした格好が、中々ユーモラスですね。
 波打ち際に散乱している大小の岩の欠片らしきものは、やはり、すぐ背後の崖からの落石でしょうか。。。



 遂に、サン・ファン・デ・ガステルガチェへと渡る石の橋の袂近くまで、辿り着きました。
 島へ向かって右側には、波によって穿たれたのでしょうか…トンネル状に島の岩を貫いている、2つの洞窟が、目を引きます!
 目を凝らしてみると、島の左側にも、右側のそれよりも遥かに小さいながら、島を貫通している洞窟があるようですね。
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 パーキングスペースからここまで、休み休み歩いて、30分近い時間が経過、16:00にも近付いていますが、幸い、まだ暗くなる兆しはありません。

 改めて気合を入れ直し、島の礼拝堂への、九十九折りのラストスパートへと挑みます。

 <2015 バスク・バルセロナ紀行-11>>



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