リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

嘉徳のケンムン その壱

2005-11-09 10:45:15 | リュウキュウアユ研究会/奄美大島
2003年12月9日 ボクたちは嘉徳川の河口にいた。

 前日嘉徳川にリュウキュウアユの産卵場の整備に来たボクたちは、異様な光景を見ることとなった。

 西の岩盤のあたり、本来の河口付近は砂で埋まってしまっていた。
河口が狭まってしまう「河口閉塞」という現象だった。河口近くでは流れが大きく蛇行して渚と平行して海からはかえって遠ざかり、砂丘によって海とへだてられて大きなラグーン(潟湖)が形成されていた。

 河口閉塞によってラグーンが出来ると、リュウキュウアユの産卵にとって、2つ、困ったことがおきる。

 ひとつは、上流の水位が高くなり、産卵床が出来る平瀬が冠水してしまうこと。アユの卵は10日程度、河床の小石の中で孵化の時を待つ、その間、流れが止まってしまうと酸素が不足して死んでしまうんだ。

 ふたつめは、孵化したリュウキュウアユの仔魚が海に下れないということだ。孵化した仔魚はほとんど泳ぐ力が無い。河口では、川の流れと共に、潮の満ち干の力によって海を目指すのだが、河口が閉塞すると海への降下に支障が生じるのだ。

 ラグーンのあまりの大きさと、河口を遮る砂の量を見て、その日は宿泊地の古仁屋に引き返した。しかし、12月も半ばは過ぎ、台風の襲来も大降りの雨も期待できない状態で、その年の嘉徳川でのリュウキュウアユの産卵は期待できそうに無かった。

 産卵できないとどうなるの、リュウキュウアユは死んでしまうの?

 南のアユは本州のアユとは違って、一年で死んでしまわないものもいる。来年になれば、産卵する個体もいるだろう。
ただ、嘉徳から南にはリュウキュウアユはいないから、よその川から流れてくるアユにはあまり期待できない。来年の嘉徳川のアユはかなり少なくなってしまうだろうな。

 河口の砂をどけることは出来ないの

 ラグーンの端から渚までは30mあまり、しかも、途中は砂が盛り上がっている。
ただ、大きなラグーンはそれ自体の水を利用すれば、何とかなるかも知れない。

 つづく


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1 コメント

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似ていますね。 (masa)
2005-11-09 22:39:05
今年の嘉徳川の状況と2003年の状況、似てますね。川の蛇行の仕方、砂の堆積の仕方がとても似ている気がします。



河口が塞がっては、稚アユは海に下れません。あの嘉徳の海からリュウキュウアユは川に戻ってくるんですね。
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