リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

第67回 落ち鮎の季節 瀬張り網漁 長良川

2017-11-14 11:52:28 | ”川に生きる”中日/東京新聞掲載

長良川で行われている瀬張り網漁。現在の形にしたのは河渡橋下流を漁場とする山中茂さんたちのグループだ。

 

雨の後、長良川添いに下って「落ち鮎漁」を見にいった。流れの早い瀬に人々が立ち、竿を振るっている。

「果実のよく熟して樹から墜ちるのをアエルといい」と民俗学の祖柳田国男の著作「海上の道」にある。アエルはアユ、アユルなどと同じように使われたというから、秋に成熟して産卵のため川を下る魚を、アユとしたのはその生活の様を古人はよく知るからだろう。

落ちていくアユは、川の瀬頭に一旦留まる性質がある。そのような場所は産卵に良い場所だからだが、下流にはもっと適した場所があることを知ってか、アユは、数を増して、群れとなってさらに下流に向かう。

瀬にとどまるアユを獲る漁法として、「コロガシ」「ガリ」という餌無しの針で掛ける釣り方が各地の川で行われている。

長良川には他の河川では見られない「瀬張り網漁」という漁法がある。

瀬の上流側、川を横断して間をとって鉄筋棒を打ち込む。しなやかなロープを水面にわずかに当たるようにたわませて棒にくくり、両岸まで渡す。水中にはワイヤーロープを張り、白色のプラスティック袋を並べて帯状に隙間なく通す。

水面では、たわんだロープが、水流でペタンペタンと水を打ち、水中では白い帯が光を反射する。

川の中程を群れで下ってきたアユはこの仕掛けにおどろき、方向をかえる。水中の白い帯沿いに、浅瀬に向かって移動する群れめがけ、「ていな」と呼ぶ投げ網でアユを捕らえる。

 元々は水中には葉の裏が白い柳や笹を敷いていたというが、現在の形に工夫したのは鏡島大橋下流で漁を営む山中茂さん85歳、長良川漁協の副組合長だ。

 山中さんはアユの動きを目で追う。仲間に声を掛け、一斉にていなを投じた。網はするすると伸び、水面に水柱の弧を描き、アユの群れを絡めとった。

11月4日アユの産卵観察会を行います。詳細はブログ「リバーリバイバル研究所」

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