日本中どこでも川の部品の名前は、「瀬」とかあ「淵」で共通している。おかしいと思っていたことがあった。奄美に通うようになって、奄美や沖縄には違う呼び名があることを知りました。そこで、ボクは二風谷にアイヌ民俗研究家を訪ねたのでした。
淵の名は!
南の島というと、美しい海とサンゴ礁を思い浮かべるかもしれないけれど、奄美大島など、日本の南西諸島を流れる川の素晴らしさはもっと知られても良いと思う。
森に始まる流れは、葉の分解した褐色の色素をわずかに溶かし、緑濃い木々の間を下る。開けた川面にさす木漏れ日の中で光る魚は、リュウキュウアユだ。水中マスクをかぶれば、ひんやりとした流れの中には見続けたい光景が広がる。
アユは川の中流部分に多くすむ。自然の川の中流では蛇行して、深く流れの緩やかな所と、浅く速く流れる所ができる。深い所を淵(ふち)、浅い所を瀬と呼ぶ。淵の反対側には砂礫(されき)がたまり川原ができる。淵の前の川原は、人々が川へ降り利用する場所となった。そのため、各地に名前の付いている淵は数多くある。
川の深い部分を淵と呼ぶのは全国で共通すると思っていたが、奄美
では淵のことを「コムゥリ」、沖縄では「グムィィ」と呼ぶ。もしかして、アイヌ語でも別の言葉で表すのではないかと、北海道の二風谷(にぶたに)(平取町)にアイヌ民族研究家の萱野茂さんを訪ねたことがあった。萱野さんがまだ参議院議員になられる前の事だ。
「淵はモイ。静か、ということ」
瀬についてもアイヌの言葉があるという。平瀬は「チャラセ」、早瀬は「ケッペレッペ」だそうだ。釣り人は平瀬をチャラセと呼ぶことがあるが、もともとはアイヌの言葉なのかもしれない。萱野さんは言った。「ポロモイ。ポロは大きなという意味」
沙流川のポロモイでは、アイヌの神聖な儀式が執り行われていたという。その特別な土地と大きな淵も、今はダム底に沈んでいる。
お礼を言って帰る私に、萱野さんがこう言った。「若い方。川の名前もいいが、ダムの壊し方を研究してください」。真剣なまなざしだった。(魚類生態写真家)
「淵はモイ。静か、ということ」
瀬についてもアイヌの言葉があるという。平瀬は「チャラセ」、早瀬は「ケッペレッペ」だそうだ。釣り人は平瀬をチャラセと呼ぶことがあるが、もともとはアイヌの言葉なのかもしれない。萱野さんは言った。「ポロモイ。ポロは大きなという意味」
沙流川のポロモイでは、アイヌの神聖な儀式が執り行われていたという。その特別な土地と大きな淵も、今はダム底に沈んでいる。
お礼を言って帰る私に、萱野さんがこう言った。「若い方。川の名前もいいが、ダムの壊し方を研究してください」。真剣なまなざしだった。(魚類生態写真家)
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