ココヨリトワニ

野球と文章書きに生きる男、空気王こと◆KuKioJYHKMのブログです。(人が死ぬ創作文があります、ご注意を)

クロスオーバーSS「涼宮ハルヒの仮面」 Bパート

2009-09-16 20:38:25 | 二次創作
「非常にまずい事態。涼宮ハルヒが拉致された」
「な……何ーっ!?」

ふらりと現れた長門は、さっそくとんでもない言葉を口にしやがった。
俺は決して小さくない動揺を感じつつも、長門からさらなる情報を引き出そうと試みる。

「おい、それはいったいどういうことだ長門!」
「今から十三分四十五秒前、女子トイレに入ろうとした涼宮ハルヒが何者かに連れ去られた。
 犯人は彼らと同様に、他の次元からこの世界に侵入した存在である可能性が高い」

あくまで無表情を崩すことなく、淡々と長門は語る。

「他の次元から……? まさか俺たちがこの世界に来たことと、何か関係があるのか?」
「ふん……。どこまで行っても俺は、世界の破壊者らしいな」

長門の言葉を聞いて、ユウスケさんは顔を青ざめさせていた。一方、士さんの方は自嘲的な笑みを浮かべている。

「長門とか言ったか……。ハルヒってやつがどこに連れ去られたかはわからないのか?」
「大まかな範囲の割り出しは可能。しかし、具体的な場所の特定には至っていない」
「充分だ、案内しろ」
「士さん、まさか……」
「当然、助けに行くさ。これでも、仮面ライダーだからな。やるべき事がどうとかいう前に、悪事が行われたのなら犯人をとっちめてやらなきゃならない」
「士、俺も行く!」
「当然だ」

士さんとユウスケさんは長門を連れ、なんの迷いも見せずに写真館から出て行こうとする。

「ちょ、ちょっと待ってください! 俺も行きます!」

二人の後ろ姿を見ていた俺は、気が付くとそう叫んでいた。俺なんかが行ったところでどうにもならない。そう考えていたはずなのに。

「……心配なのはわかるけど、相手はどんな凶悪やつかわからないんだ。
 誘拐って犯罪を実行してる以上、人畜無害なはずがない。危険なのはほぼ間違いないんだ。
 君は俺たちを信じて、ここで待っていてほしい」

ユウスケさんから帰ってきたのは、至極まっとうな言葉だった。まあ、当然のことだ。
俺は宇宙人でも超能力者でもないし、ましてや正義の味方でもない。ただの平凡この上ない男子高校生だ。
誘拐犯相手に、何かが出来るはずもない。
俺は、素直に引き下がろうと思っていた。だがその時、意外にも長門が助け船を出してきた。

「涼宮ハルヒに関連する事象である以上、彼の助けが必要な場面が存在する可能性は高い。
 私は彼を同行させることを推奨する」
「え? いや、でも……」
「別にいいんじゃないのか?」

長門の発言を聞いてもなお難色を示していたユウスケさんだったが、士さんの方はあっさりとO.Kを出してしまった。

「何言ってるんだよ、士! 彼は普通の高校生なんだぞ? どんな危険があるかわからないのに……」
「俺たちが守ればいい。たかだか高校生一人守れないぐらい、俺たちは弱いのか?」
「それを言われちゃうとなあ……」

ユウスケさんの顔に、諦めの色が浮かんだ。どうやら、この場は彼の負けと言うことで決着がついたらしい。

「しょうがない、君も連れて行くけど……。約束してくれ、危険だと判断したらすぐに逃げると」

もともと物わかりがいい人なのか、ユウスケさんはすぐに俺がついていくことを了承し、話を俺への忠告にスライドさせる。
俺は、無言でその言葉にうなずいた。

「長門さん、君もだ。道案内をしてるみたいだから連れて行かざるをえないけど、何かあったら君もすぐ逃げるんだ。いいね?」

続いてユウスケさんは、長門にも同じようなことを言い聞かせた。長門も、俺と同じようなリアクションを返す。
まあ長門の場合、俺と違って危険な場所に飛び込んでも何ら問題はないのだろうが。

「それじゃあ、そろそろ行くか。留守は任せたぜ、夏みかん」
「古泉と朝比奈さんも……。まああまり心配せずに待っていてください」
「わかりました……。士君もユウスケも、気を付けて」
「む、無茶しないでくださいね、キョンくん」

こうして我々四人は、夏海さんと朝比奈さんの声援を受けながら写真館を後にしたのであった。


◇ ◇ ◇


「ここにあったか」

今、俺たちは学校の駐輪場に来ている。そこには、見覚えのない2台のバイクが駐車されていた。
どうやらこれが、士さんとユウスケさんのバイクらしい。

「それじゃあ長門、道案内を……」

長門に話しかけた士さんの言葉が、途中で止まる。同時に、何ともいやな気配が周囲を包んだ。
生ぬるい日常生活を送ってきた俺でもわかる。これは、「殺気」ってやつだ。

「出てくるなら早くしろ。こっちは急いでるんだ」

士さんがそう言うと、物陰から二つの人影が姿を現した。

「うえ!?」

出てきた人影の姿を確認した俺は、思わず情けない声をあげてしまった。
なぜなら、出てきたのはシルエットは人型でも、おおよそ人とは似つかない姿をした化け物だったからである。
着ぐるみだと思いたいところだが、それにしてはあまりにも質感がリアルすぎる。
本物の化け物なんだろうなあ、ちくしょう。

「蜘蛛男にトカゲ怪人か……。たいした相手じゃなさそうだな」
「ここは平和な世界だから、長引かせると大騒ぎになる。早めに片づけるぞ、士」
「当然だ」

驚きを隠せずにいる俺とは対照的に、士さんとユウスケさんは平然と会話を行っていた。
やっぱり正義の味方というからには、こんな奴らにビビっていてはやってられないということなのだろうか。
というかあの化け物を見て「たいした相手じゃない」なんて言えるなんて、どれだけ修羅場くぐってるんですかあなた方は。
俺がそんな考えを頭の中に巡らせていると、士さんはどこからともなく奇妙なベルトを取り出して腰に巻き付けた。
一方ユウスケさんは、腰に両手を当てる。するとどういう仕組みなのか、士さんのものと似たベルトが虚空から出現した。

『KAMEN RIDE DACADE!』

士さんが、1枚のカードをベルトに差し込む。

「……!」

ユウスケさんが正面に伸ばした右手を左から右にスライドさせ、もう一度腰に手を持っていく。

『変身!』

そして二人が、同時に叫ぶ。すると士さんたちの外見は、劇的な変化を見せた。
士さんは前衛芸術というかなんというか、おおよそ俺のセンスでは思いつかないような奇妙なデザインの鎧を身にまとっていた。
まあ奇妙なのは顔の部分だけで、体は割と普通なのだが。
そしてマゼンタと黒の配色が、はっきり言って毒々しい。
対するユウスケさんは、立派な角と複眼が何処か昆虫を連想させる姿である。
体を見ると鋭角的なデザインの士さんと違い、生物的でマッシヴな印象を受ける。

「これが……仮面ライダーってやつか……」

ついつい、俺は口に出して呟いていた。目の前に現れた本物のヒーローから、俺は目を離せずにいる。

「行くぞ!」
「ああ!」

俺の熱視線を浴びながら、二人は化け物どもに向かっていく。
士さんはクモの化け物の前に、ユウスケさんはトカゲの化け物の前に立った。
そして、正義のヒーローと怪物の闘いが幕を開けた。

一番最初に動いたのは、クモだった。クモの姿に違わず、両手から大量の糸を出して士さんにかけようとする。
まあ本来クモが糸を出すのは尻からなのだが、その時の俺にはそこまで考える余裕はなかった。
士さんは腰に下げていた四角い物体を剣に変形させて、その糸をなぎ払う。
そのまま士さんは距離を詰めていき、蜘蛛に斬りつけた。
一般人ならその一撃であの世行き確実だろうが、蜘蛛は苦しげなリアクションこそするもののまだ生きている。
さすがは化け物ってところか。
ここでユウスケさんに視線を移してみると、こちらはこちらで善戦しているようだ。
幾度となく繰り出される尻尾の攻撃を回避し、的確に打撃を叩き込んでいる。さすがに戦い慣れているな。

『FINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE!』

ユウスケさんの見事な戦い振りに見惚れていると、士さんの方から何やら軽快な電子音声が聞こえてきた。
それにつられて視線を戻すと、士さんは若干日が落ちてきた空へ高々と飛翔していた。
というか、高っ! どれだけ高くジャンプしてるんだ、あの人!
人間業じゃねえ! いや、人間じゃないのか? ヒーローだから万事O.Kなのか?
そんなこんなで俺が驚愕に顔面を歪めていると、張り合ったわけでもあるまいがユウスケさんの方も空高くジャンプした。
こちらもまた、とうてい人類とは思えぬ到達高度である。
高跳びの選手が泣きながら逃げ出しそうな大ジャンプを決めた二人は、キックの体勢で落下してくる。
そのキックは見事に化け物二体に命中し、彼らを木っ端微塵に爆散させた。
いや、ちょっと待て。なんでキックで爆発する! ヒーローだからか? ヒーローだからなのか?
頭に疑問符を積載量オーバーまで詰め込む俺をよそに、元の姿に戻った士さんとユウスケさんはがっちりと握手を交わしている。
さわやかだなあ。ああ、さわやかな光景だ。

「しかしこいつらがこの世界にいるってことは……」
「やっぱり、俺たちが来たことがこの世界に異変を……」

しかしそのさわやかさもすぐに失せ、二人は何やら深刻そうな雰囲気を醸し出しながら会話をしている。
そのやりとりをただなんとなく見つめていた俺であったが、突如として二人が俺の方に視線を向けた。その表情は、何やら切羽詰まっている。

「危ない!」

その短い言葉を耳にした時、俺は別に方向を指定されたわけでもないのに後ろを振り返っていた。
後になってから考えてみると、本能的に危機を察知した結果なのかもしれない。
振り向いた俺の目に映ったのは、おそらくコウモリがベースになっていると思われる化け物のどアップだった。
ああ、俺死んだわ。
ここまで絶体絶命だと、かえって恐怖なんかは感じないらしい。
俺は自分でも驚くほど、あっさりとおのれの死を受け入れていた。
しかし運命の女神は、まだ俺を死後の世界へ旅立たせるつもりはなかったらしい。
次の瞬間、無数の爆発音と共に化け物は真横へスライドする。そして、お約束の大爆発。

「甘いねえ、士。見かねてつい助け船を出しちゃったじゃないか」

化け物が吹き飛んだのとは反対方向から、未知なる声が響く。
慌ててそちらに目を向けると、そこには士さんが変身したヒーローをさらに前衛的なデザインにして青く塗ったような物体が立っていた。
あれか、新ヒーローの登場か。
手に銃を持っているところを見ると、どうやらたった今この人がぶっ放した銃弾によってあのコウモリモンスターは倒されたらしい。
でもってその新ヒーローは、変身を解除して正体のハンサム顔を晒しつつこちらに歩み寄ってきた。

「海東……。お前、どこ行ってたんだ?」
「この世界のお宝を探しにさ。けど、駄目だね。この世界には、僕の魂に響くようなお宝はないみたいだ」

海東という名前らしいその新ヒーローは、話しかけた士さんに対しどこぞの超能力者と微妙にかぶっているようなそうでもないような人を苛立たせる感じの口調で答えた。
何か、俺たちが暮らしている世界そのものを否定されているようで少しだけ腹が立った。

「だけど、代わりに面白い情報を手に入れたよ。どうやらこの世界で、大ショッカーの残党が動いてるみたいだね。
 君たちの目的も、それに関係あるんじゃないのかな」
「大ショッカー……? なるほど、奴らがまだ動いていた訳か」

すいません、俺と長門がまったく話についていけてないんですが。
いや、長門の方は理解しているのかもしれないが、いつもの無表情を貫かれては判断が付かないというものだ。

「それで、奴らのアジトを突き止めてきてあげたよ。聞きたいだろう、ありがたく思いたまえ」
「本当ですか!?」

俺は、思わず声を張り上げていた。そう、いろいろ非現実的なことが続いて頭からこぼれ落ちそうになっていたが、今はハルヒが拉致されるという非常事態なのである。
ハルヒを連れ去ったのがその大なんとかだとしたら、捜査は一気に進展することになる。

「なんで君が一番反応するのかな。というか、君は誰だい?」
「ああ、すいません。初対面でしたね。俺は……」
「こいつはキョンだ。どうも、こいつの仲間が大ショッカーに拉致されたらしくてな」
「なるほど……。それは心配だろうねえ。まあ、僕にはあまり関係のないことだけど」

いや、あの、キョンは本名じゃないんですが……。士さん、聞いてます?

「そう言うわけで、俺たちはさらわれた涼宮ハルヒとやらを助けに行かなくちゃならん。
 アジトの場所ってやつ、教えてもらおうか」
「わかった。本当ならそう簡単には教えてあげないんだけど、今回は特別だ」

もったいぶった仕草で、海東は地面に地図を広げた。そして、ある一点を指さす。

「ここさ」
「港の貸倉庫か……。ありがちな場所だな」
「今回動いているのは、あんまり頭のいい連中じゃないみたいだからねえ」
「長門……。ここで合ってそうか?」
「この建物は、私が推測した候補地の範囲に含まれている。信頼できる情報と考えてかまわない」
「決まりだな」

口元にわずかばかりの笑みを浮かべ、士さんは改めて自分のバイクに向かう。

「行くぞ、お前等」
「あ、ちょっと待ってくれよ、士。道案内の必要なくなっちゃったけど、長門さんどうするんだ?」
「本人の好きにさせろ」
「このまま同行する。より円滑に涼宮ハルヒの救出を行うには、私が行った方がいい」
「でも、危ないよ?」
「大丈夫」

本気で心配しているであろうユウスケさんの気遣いを、長門は漢字三文字、ひらがなに直してもわずか六文字の言葉で一蹴してしまう。

「だから、好きにさせろって言っただろ。そいつはただ者じゃなさそうだしな。
 危なくなったら自分でなんとかするだろ」
「まったく、士はいいかげんというかなんというか……。仕方ない、ついてきてもいいけど、無理はしちゃ駄目だよ?
 俺と士で、出来る限り君たちに危険が及ばないようにはするけど」
「わかった」

ユウスケさんも渋々ながら、長門がついていくのを了承してくれた。
そして俺は士さんのバイクの後ろに乗り、長門がユウスケさんのバイクに乗る。

「それじゃあ君たち、頑張ってくれたまえ」
「ちょっと待て、海東。お前行かないのかよ!」

海東が放った見送る気満々の発言に対し、すかさずユウスケさんがツッコミを入れる。
いたって正常な判断だ。俺だって、初対面じゃなかったらそうしてる。

「今回の相手はたいしたことなさそうだからね。僕が力を貸すまでもないよ。
 アジトを教えてあげただけでも、充分協力したと思うけどねえ」
「それはそうだけど……」
「ほっとけ、あんなやつ。それより、出発するぞ。ヘルメットちゃんとかぶれよ?」
「あ、はい。わかりました」

俺と長門がヘルメットをかぶったのを確認すると、士さんはバイクを発進させる。
俺ははじめて体験するバイクの乗り心地に爽快感と不安の入り交じった感情を抱きつつ、脳の大部分では殊勝にもハルヒの身を案じていた。
ハルヒ、お前のことだから大丈夫だとは思うが……。無事でいてくれよ……。

こうして、俺たちのハルヒ奪還作戦は幕を開けたのであった。


次回予告

ハルヒ「ちょっと、どういうことよ! 主役のあたしの出番が、全っ然ないじゃない!」
キョン「落ち着けハルヒ! 次回はお前がちゃんと活躍するから!」
士「主役? 主役は俺だろう」
ハルヒ「何言ってるのよ、このモヤシ君は! 主役はあたし! あたしなんだってば!」
?「うるさい女はむかつくぜ……。なあ、俺ってそんな顔してるだろ?」
キョン「いや、あんた誰!? マジで!」
長門「次回、『ライダー症候群(シンドローム)』。じゃーんけーんぽん(グー)」
キョン「長門!? なんでそのネタやっちゃった?」

前半に戻る
次の話に進む
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クロスオーバーSS「涼宮ハルヒの仮面」 Aパート

2009-09-08 00:57:51 | 二次創作
ある日のこと。これといって面白味のない授業も終わり、俺はいつものように気がすすまないながらもSOS団の部室に向かって歩を進めていた。

「おや、ここで一緒になるのは珍しいですね」

その途中、古泉に出くわした。どうせ出くわすなら朝比奈さんとの方がよかったが、そんな愚痴を言ってもどうにもならないので現実を受け入れよう。

「涼宮さんはどうされました?」
「職員室に用があるから、先に行ってろだとよ」
「そうですか。では、素直に部室で彼女を待つことにしましょうか」

そんなたいして中身もない会話をしているうちに、俺たちは部室の前に着いていた。
いつものように、入る前にドアをノックする。

「どうぞ」

中から返ってきたのは、若い男の声だった。ここで、俺と古泉は思わず顔を見合わせる。
なぜならSOS団の男子団員は俺と古泉で全員なのであるからして、俺たちがここにいる以上、男の声が中から聞こえてくるという状況は考えづらいのである。
いちおう、アホの谷口や国木田やコンピ研部長氏が部室に来ているという可能性もゼロではない。
だが彼らは部外者だ。一人で部室にいるとは考えにくい。誰か他の団員と一緒にいるのならば、返事はそちらが返すべきではないのだろうか。
とまあいろいろ考えてみたわけではあるが、結局のところ結論は出ない。
ならば直接確かめてみるしかないだろう。俺はもう一度古泉と目配せすると、ゆっくり部室のドアを開けた。

「いらっしゃい」

……ありのままに今起こったことを話そう。

『俺は部室のドアを開けたはずが写真館にいた』
 
何を言ってるのかわからないだろうが、俺も何が起きたのかわからなかった。
俺は慌てて扉の外に戻り、確認作業を行った。だがたしかに、そのドアの前には「文芸部」の文字が掲げられている。
間違いなくここは、SOS団部室に成り果てたかつての文芸部部室であるらしい。
ええい、いったい何がどうなってるんだ!


◇ ◇ ◇


「私が作ったクッキーなんだけど、よかったらどうぞ」
「では、遠慮なくいただきます」
「……」
「あなたはいただかないのですか?」
「申し訳ないが、そんな気分じゃない」
「そうですか。では朝比奈さんはいかがされます?」
「あ、私はもらいます」

数分後。俺と古泉、それに俺たちのすぐ後にやってきた朝比奈さんは、光写真館の主である光栄次郎さんから紅茶とクッキーを振る舞われていた。
と言っても、俺はまったく手をつけていないが。何せ、この状況が不可解すぎる。

「それにしても、無数の世界をまわる旅ですか……」
「ええ、簡単には信じてもらえないかもしれませんけど……」
「信じるしかないでしょう。見慣れた場所がこんな有様になってたんじゃ」

俺が会話している相手は、栄次郎さんの孫娘である光夏海さんだ。
俺たち三人は、彼女からこの異常事態に関する説明を受けていたのである。
夏海さんの説明を信じるのならば、彼女たち一行はこの写真館ごと様々な世界を巡る旅を続けてきたらしい。
つまり、俺たちから見れば異次元人ということになる。
普通の人間ならこんな話、頭のネジが外れた人間の戯言と聞き流すのかもしれない。
だがすでに宇宙人と未来人と超能力者の存在を認めている俺としては、異次元人だけをつまはじきにするわけにもいくまい。
それに、ただの電波受信しちゃってる人間がこんな怪現象を起こせるはずがない。

「しかし……なぜ俺たちの部室があなた方の写真館に?」
「それはわかりません……。迷惑をかけているというのは理解してますが、私たちにはどうにも……」
「元に戻したいなら、俺たちがこの世界でやるべき事を果たせばいい。
 もっとも、それが何かがさっぱりわからないんだがな」

夏海さんの言葉を遮るようにして、新たな声がその場に響いた。
声のした方向に視線を向けると、どうやら声の主は奥の部屋から出てきた茶髪の男らしい。
うちの制服を着てるが、生徒なのか? 年齢的に少々無理がある気がするが……。

「あの人は?」
「門矢士君です。いちおう、うちのカメラマンということになってます」
「いちおうとか言うな」

夏海さんの紹介に、士という名前らしい男性は不満たらたらといった風情の反応を見せた。

「昼休みの間に少し校内を見て回ったが、この世界は平和そのものじゃないか。俺たちに何をしろって言うんだ」
「たしかになあ。仮面ライダーも怪人もいないんじゃ、俺や士がやらなきゃいけないことなんて見当付かないよ」

士さんの言葉に、いつの間にか部屋の中にいたもう一人の青年が相槌を打つ。
後で聞いたところによると、小野寺ユウスケさんというお名前らしい。
まあそれはおいといて、まず俺は自分の聞き慣れない単語について尋ねることにする。

「あの~、つかぬ事をお伺いしますが、仮面ライダーとは?」
「ああ、そっか。ライダーがいないんじゃわからないか。
 仮面ライダーって言うのは一言で言うのは難しいんだけど……。
 まあ悪と戦う正義の戦士だと思ってもらえればいいかな」

正義の戦士と来たか……。俺は自分の中でいやな予感がふくれあがっているのを感じながら、さらにユウスケさんに尋ねた。

「さっきの話しぶりからすると、あなた方も仮面ライダーなんですか?」
「まあね。俺と士も仮面ライダーなんだ」
「なるほど。ありがとうございます」

俺はいったんユウスケさんとの会話を打ち切ると、すぐ隣で暢気にクッキーなど頬張っている古泉に話しかけた。

「おい、どう思う?」
「何がですか?」
「しらばっくれるな。お前も想像ついてるだろ。昨日のハルヒの発言だよ」


◇ ◇ ◇


話は前日にさかのぼる。休日恒例の不思議探索に駆り出された俺たちSOS団は、当然の事ながらなんの成果も上げることなく帰路に着こうとしていた。
その途中、映画館の前を通りかかったところでハルヒがふいに足を止めたのである。

「おい、どうしたハルヒ」

そう言いながら、俺はハルヒの視線をたどる。その先にあったのは、とある映画のポスターだった。

「劇場版・超光戦士シャンゼリオンかあ……」
「ああ、これ聞いたことあります! 今、子供たちの間ですっごく流行ってるヒーローなんですよね!」

朝比奈さんが話を合わせにいくが、ハルヒは珍しく薄いリアクションしか見せない。
その視線は、ひたすらポスターに注がれている。

「正義のヒーローねえ……」
「おい、ハルヒ」

どうにもいやな予感がして、俺はハルヒに話しかけた。

「まさかお前、シャンゼリオンを探そうとかそういう突拍子のないことを言い出すつもりじゃあるまいな」
「何バカなこと言ってるのよ、キョン。いくらあたしでも、フィクションと現実の区別ぐらいつくわよ」
「だよな……。悪かったよ。俺の考え過ぎだった」

ここでいったん、俺は心の平穏を取り戻した。だが次の瞬間、その平穏は実にあっさりと崩れ去るのである。

「でもさあ……。フィクションの中のヒーローは実在しなくても、現実にだってヒーローがいてもいいと思わない?」
「は? すまん、ハルヒ。 お前が何を言ってるのかよくわからないんだが……」
「つまり、この世界には存在を一般に知られていない正義の味方がいるんじゃないかってことよ!
 ねえ、みくるちゃん! どう思う?」
「ふえええええ!? わ、私ですかあ?」

哀れなことに、予想の斜め上の展開から話題を振られた朝比奈さんはこれでもかというぐらいに戸惑う。
まあ、そんな姿もまたかわいいのだが。

「で、でも、今の世の中で正体どころか存在すら気づかれずにテレビみたいな正義の味方やるなんて無理なんじゃ……」

朝比奈さんの意見は、実にまっとうなものであった。だがハルヒの無理は、そんな道理をいとも簡単に叩き折る。

「甘いわ、みくるちゃん! 一般の技術の上を行ってこそのヒーローなのよ!
 きっとあたしたちが知ってるような科学技術より数倍優れた技術をヒーローは持ってるんだわ!
 それを使って、情報を完全に隠蔽しているのよ!
 あるいはアメリカ政府あたりがバックに付いていて、徹底的に機密保持を行っている可能性も捨てがたいわね!」

まったくついていけていない俺や朝比奈さんをよそに、ハルヒはさらに熱弁を振るう。

「残念だけど、今のSOS団は団員たった五名の小規模団体……。ヒーローの情報操作能力に立ち向かうにはあまりに戦力不足だわ……。
 けどいずれSOS団を天下に名だたる巨大組織にした暁には、きっと社会の闇に潜んだヒーローを見つけ出してみせるわ!」

恐ろしく熱のこもった台詞を吐くハルヒ。俺はそれを、ただ生暖かい目で見守っていたのであった。


◇ ◇ ◇


とまあ、ここまでが昨日の出来事である。

「つまりあなたは、こう言いたいのですね。涼宮さんがヒーローの存在を願ったために、異世界のヒーローである彼らをこの世界に呼び寄せてしまったのではないかと」
「ああ、そうだ」
「その涼宮さんっていうのは、いったい……?」

俺たちの会話を聞いて、疑問に思ったのだろう。夏海さんが、ハルヒについて俺たちに質問をぶつけてくる。
それに答えるのは、古泉の仕事だ。

「涼宮ハルヒさんは、僕たちが所属するSOS団という団体のリーダーです。なかなか魅力的な方ですよ」
「そんな情報はいい。そいつが俺たちとどう関係あるのか話してもらいたいんだ」
「せっかちですねえ。そう言われなくとも、今からお話しするつもりだったんですが」

士さんの催促に見る者を微妙に苛立たせるスマイルで返し、古泉はなおも続ける。

「彼女は自分では気づいていませんが……。この世界を自分の願望通りに変化させる能力を持っています。
 つまり、彼女が心の底から願ったことは現実に起きてしまうわけです」
「なんですか、それ。それじゃまるで……」
「ええ。神にも等しい力です」

夏海さんの口にしようとした言葉を、古泉は平然と肯定する。
さすがに衝撃を隠しきれない様子の夏海さんだったが、士さんにとってはたいしたインパクトではなかったらしい。

「だいたいわかった。つまりは、その涼宮ハルヒとかいう奴が鍵を握ってるわけだな。
 なら、さっそく会いに行ってやろうじゃないか。俺がやるべき事の手がかりがつかめるかもしれないからな」

言うが早いが、士さんは写真館というかこの部屋を出て行こうとする。
どうでもいいがこの部屋、明らかに広くなってるよな? どう考えても、教室一つ分の広さに収まるスペースじゃないぞ。
物理法則はどうなってしまったんだ。この部屋自体の空間が歪んでるのか?

「待ってください、士君!」

俺がそんな戯言を頭の中に巡らせていると、夏海さんが士さんを呼び止めた。

「なんだ、夏みかん」
「その涼宮さんが今どこにいるのか、わかってるんですか?」
「……」

数秒の沈黙の後、士さんは視線を俺に向けてきた。

「そこの少年、案内しろ」
「いや、会ってどうなるものでもなさそうというか、会わせるとまずいというか……。
 それに俺は少年じゃなくて……」

俺が自分の名前を士さんに告げようとした、まさにその時。一人の少女が写真館に姿を現した。
言わずと知れた我がSOS団の最終兵器、長門有希である。

「おう、長門か。遅かったな。お前ならもう理解してるかもしれないが、今ちょっと非常事態で……」

俺はやってきたばかりの頼れる少女に現状を説明しようとしたのだが、長門はそれを全く気にも留めずとんでもないセリフを口にした。

「非常にまずい事態。涼宮ハルヒが拉致された」
「な……何ーっ!?」

続く
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涼宮ハルヒのあっちこっち9 ~秋の放課後編~

2009-09-05 22:08:18 | 二次創作
ハルヒ「……キョンは?」
みくる「さっき『少し教室で待ってて』と言って何処かに行っちゃいましたよ」
長門「何やらイベントの予感がする」
   「私は迷わずここで選択肢『彼を探す』を選ぶ」

→探す
 待つ
 お持ち帰り

ハルヒ「選択肢?」
みくる「選ぶとどうなるんですか?」
長門「彼と……」
ハルヒ「キョ……キョンと?」
みくる「キョンくんと?」
長門「さて、探しに行こう」
ハルヒ「その続きは!?」
みくる「気になって待ってられないですっ!?」

◇ ◇ ◇

長門「発見」
キョン「お?」
古泉「おっと、見つかってしまいましたか」
長門「二人はこんな所で何をしているの?」
古泉「学校に日頃の感謝を込めて掃除です」
長門「じゃあその背後に隠した袋の中身は、何ジャガ? 何サツマ?」
古泉「これは――先程女の子に『手作りです』と貰ったんです」
長門「その手作りチョイスは間違っている」

◇ ◇ ◇

長門「焼き芋? 二人だけで楽しもうなんてずるい」
古泉「皆さんもすぐに呼ぼうと思ったんですが、彼が――」
ハルヒ「キョンが!?」
長門「そんなに私たちのことが嫌い? ひどい……」
ハルヒ「嫌い!?」
キョン「そんなことねえよ。実は――落ち葉掃除は俺たちだけでやって、枯葉集めてから皆呼ぼうと思ってたんだよ。ばれちまったな」
長門「……」
   (土下座)
キョン「なんで土下座してるんだ!?」

◇ ◇ ◇

みくる「私たちもお掃除お手伝いします!」
ハルヒ(こくこく)
キョン「いや、皆はゆっくりしてていいよ」
古泉「僕たちだけで終わらせますから大丈夫ですよ」
みくる「そんなの駄目ですっ! 皆でお掃除して皆で食べた方が美味しいと思います!」
    「だから私たちにもお手伝いさせてください」
古泉「朝比奈さん――そんなにお芋がお好きでしたか」
キョン「え、そっち?」
みくる「そういう意味じゃないですっ!」

◇ ◇ ◇

キョン「周りも綺麗になったしもう十分かな」
古泉「ですね。これだけあれば十分でしょう」
キョン「じゃあ焚き火始めるか」

【チャッカマンとスプレー】

古泉&長門『ヨガ』(ゴオオオオオ)
      『ファーイヤー』
みくる「はわわわわわわわ」

キョンに怒られた……

【決して真似をしてはいけません】

◇ ◇ ◇

キョン「ジャガイモほくほくで美味しいな」
古泉「サツマイモも甘くて美味しいですよ」
みくる「これならいくらでも食べられそうです」
ハルヒ「みくるちゃんの胃は宇宙?」
みくる「そんな広大な胃袋は持ってないですっ!!」
長門「私の胃袋は途中」
キョン「消化の!?」
古泉「僕の胃袋は夢中です!」
みくる「消化にですかっ!?」
ハルヒ「……」

◇ ◇ ◇

長門「こっちに栗がある」
古泉「ああ、忘れてました……ではなくて、先程女の子に『手作り――』」
キョン「それはもういいっつーの」
長門「栗投下」
古泉「ちょっと、長門さん! 栗を装填しないでください!」
みくる「焼き栗は危険ですよーっ!!」
長門「危険」

(バチッ)(カッ)

長門「でゅくしっ」
キョン「栗に狙撃された!?」

◇ ◇ ◇

喜緑「あ、こら! 皆さん何やってるんですかーっ!?」
古泉「あれを」
キョン「ふむ」
    「長門」
長門「確保」(ガシ)
喜緑「ほへ?」
キョン「古泉」
古泉「上手に焼けました」
喜緑「へ? え、え?」
古泉「さあ、遠慮なさらずにたーんと食べてください」
喜緑「なんですかなんですか、なんなんですかー!?」

◇ ◇ ◇

キョン「先生、お芋美味しいですか?」
喜緑「え、ええ。とっても美味しいです」
古泉「先生は――此処に何をしにいらしたんでしたっけ?」
喜緑「えと、注意しに?」
キョン「先生が――今お召し上がりになっているのは?」
喜緑「や、焼きたてのお芋……です」
古泉「共犯者です」
喜緑「ええええええええええ!?」
みくる「あの、許可は貰っているそうなので」

◇ ◇ ◇

喜緑「先生をからかっては駄目ですよ!!」
キョン「芋握りしめながら言われても……あ、先生、ほっぺたにかけらついてますよ」
喜緑「ありがとうございます……って、さりげなくごまかされてる気がします!?」
古泉「彼の気配りを疑うなんてひどいですよ、先生」
   「元に戻してしまいましょう」
キョン「ふむ」(ぴと)
喜緑「付け直されましたー!?」
長門「何か珍しい組み合わせのコント」
ハルヒ「……」
長門「涼宮ハルヒ?」
ハルヒ「ほっぺいいなあ」(じぃー)
長門「!?」

◇ ◇ ◇

ハルヒ「……」(ぴと)
    「……よし」
    (これでキョンに……)
みくる「あ、涼宮さん。ほっぺにお芋のかけらついてますよ」
ハルヒ「――――っ!?」(ズゥ~ン)
みくる「私、何かしちゃったですかーっ!?」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コラ4コマ「キョンがハルヒちゃん手作りの何かを口にしたようです」

2009-09-04 00:09:31 | 二次創作
何となく作ってしまった。
端が微妙に揃ってないのは所詮素人の仕事ということで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涼宮ハルヒのあっちこっち8 ~先生とみんな編~

2009-08-30 12:43:52 | 二次創作
長門「前方に先生発見」
キョン「おー」
ハルヒ「今日は遅刻じゃないようね」
長門「先生」
みくる「おはようございます」
キョン「どもー」
喜緑「皆さんおはようございま――」
(つる)
喜緑「すー!!!」
長門「バナナで転んだ」
みくる「私はじめて見ましたっ!!」
キョン「感動した、すごい!!」
ハルヒ「心配しなさい」

◇ ◇ ◇

キョン「しかし、盛大にすっころんだな」
長門「滑るまでの一連の動作に無駄がなかった」
キョン「この感動は皆に伝えるべきだろうか」
長門「私たちの胸に仕舞っておくべき、宝物として」
みくる「あ、あはは」
長門「それにしても、あんなことをやってのける人がいるとは……」
キョン「ああ、俺もあんなことをやるのは他に――朝比奈さんだけだと思う」
ハルヒ「あー」
みくる「ふはっ!?」

◇ ◇ ◇

みくる「そんなことないです。私はバナナで転んだ事なんてないですっ」
キョン&ハルヒ『……』
みくる「あっ! 先生ー、大丈夫ですかーっ?」
ハルヒ「走ると危ないわよ」
キョン「大丈夫だろ」
(つるん)
みくる「ひゃーー!!」

長門「朝比奈みくる、恐ろしい子……」
キョン「本日二度目の感動がここに……」
ハルヒ「……」

◇ ◇ ◇

ハルヒ「水たまりが凍ってたのね」
キョン「しかしこのタイミングで踏むか。朝比奈さん、無事ですかー」
ハルヒ「あ!」
(コケ)
キョン「――っと」
    「ハルヒまで何してるんだ」
ハルヒ「う、うるさい~」
長門「……」
   「何か妙な疎外感が……」
キョン「こけたいのか?」
みくる&喜緑『…………』

◇ ◇ ◇

キョン「先生と朝比奈さんは大丈夫ですかー?」
みくる「は、はい、大丈夫です」
喜緑「朝からついてません」
キョン「――お? 前にいるの古泉だ。こんな所で珍しい」
古泉「おはようございます」
みくる「あ、おはようございます」
ハルヒ「今日は朝から勢揃いね」
キョン「合流というか遭遇って感じだけどな」
長門「エンカウントと言うとそれっぽい」
ハルヒ「退治したくなるわね、そう聞くと」
長門「なぜ私を見る……」

◇ ◇ ◇

キョン「古泉はあんなトコ突っ立って何してたんだ? 誰か待ってたのか?」
古泉「いえ、悲鳴に振り向いたらあまりの白さに驚きまして」
キョン「それはどういう意味だ?」
長門「先生の下着、白だったような」
喜緑「下着!? 何の話をしてるんですか!?」
古泉「男なら仕方ありませんよね」(キリッ)
キョン「俺に同意を求めるな」
みくる「ふ、ふふ、二人とも――フレンチです!!」
キョン「ハレンチですね。というか俺も?」

◇ ◇ ◇

キョン「にしても先生、昔からよく転ぶよな」
古泉「僕はもう見慣れた光景になってますね、流石に」
喜緑「!?」
みくる「お二人は先生と昔から知り合いなんですよね」
古泉「ええ、姉の経由で」
喜緑「二人は、私や園生が困っていたらいつも助けてくれたんです」
キョン「助けていたというか……」
古泉「無垢な少年から見ても危うかったんです、昔から」
ハルヒ・長門・みくる『あー』
喜緑「あれ!? そういう反応!?」

◇ ◇ ◇

ホームルーム

喜緑「今日はですね、先生から皆さんへ温泉旅行のおみやげがあります」
クラス全員『おー』
喜緑「生菓子なので出来れば早めに食べてくださいね」
長門「先生、旅行はもしかして彼氏と?」
喜緑「……一人……旅……」
長門「地雷を踏んだ?」
キョン「ああ、踏み抜いたな」

◇ ◇ ◇

キョン「というかフォローしろ、フォロー」
長門「わかった」
   「朝比奈みくる、よろしく」
みくる「えぇっ、私がですか!?」
キョン「……いいけどさ」
みくる「え、えと、せ、先生……結婚は、酒場ですよ!!」
長門「墓場」
喜緑「墓場!? ひぃ!?」
キョン(とどめ……)
ハルヒ「面白い人ね」

◇ ◇ ◇

放課後

喜緑「誰かー、まだ残ってる人いますかぁー?」
一同(仕事押しつけられる!!)
みくる「?」
キョン「散れ!!」
(シュン)
喜緑「!?」
みくる「ふぁー!? 皆さんが消えましたー!?」

◇ ◇ ◇

喜緑「私のクラスの生徒たちは一瞬で何処にー!?」
みくる「長門さん、キョンくん、涼宮さーん!?」
長門「朝比奈みくるだけ逃げ遅れている」
ハルヒ「まあ……みくるちゃんだし」
長門「彼女を救出に行ったら?」
キョン「抱きかかえて逃げて来いと?」
ハルヒ「抱きっ!!! ダメッ」
キョン「はい?」
長門(ヤキモチ。ほほえましい)

◇ ◇ ◇

みくる「それで先生、何かあったんですか?」
喜緑「あのですね、皆さんに資料室の片づけを手伝って――」
ハルヒ&キョン『断る(ります)』
喜緑「欲しいんです」

みくる「…………」

喜緑「生徒の素行が悪く――!?」
みくる「ふぇ!? 素行!?」
キョン「まてい、そこの職権乱用ティーチャー」

◇ ◇ ◇

キョン「これは片すの大変そうだな」
ハルヒ「まったく片づいてないから余計にね」
キョン「先生、足下気をつけ」
喜緑「きゃー!!」
(がしゃーん)
みくる「先生大丈夫で、ひゃー!!」
(がしゃーん)
長門「コンボが繋がった」
ハルヒ「ここに来た目的分かってる?」
キョン「……片すの大変そうだな」
ハルヒ「……片づいてないから余計にね」
キョン「というか帰っていいか」
ハルヒ「ダメ」
みくる&喜緑『…………』

◇ ◇ ◇

喜緑「皆さーん」
キョン「はい?」
喜緑「けっこう綺麗になりましたし今日はもう十分です。お礼に準備室でお茶でも出しますよ」
キョン「んじゃ、ごちそうになります」
ハルヒ「いただくわ」
喜緑「皆さん何飲みます?」
ハルヒ「紅茶」
キョン「玄米茶」
長門「コーヒー」
喜緑「統一してください!?」

◇ ◇ ◇

喜緑「それでキョンくん、彼女は出来ました?」
キョン(ブッ)
    「突然なんですか!?」
喜緑「だって、キョンくんも一樹君も青春真っ只中じゃないですか。一樹君今日いませんけど」
長門「先生、先生」
喜緑「なんですか?」
長門「彼はもう恋の指名手配をされている」
喜緑「盗んだんですか!? 盗んだんですね!?」
キョン「何の話だっ!!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成野球ライダー

2009-08-23 22:02:53 | 二次創作
とある国の片田舎、ディケイド市に存在するプロ野球チーム「ディケイドライダーズ」。
今、このチームは結成以来最大の危機を迎えていた。
突然の親企業の倒産。なんとか新しいスポンサーを見つけチーム消滅は免れたものの、この混乱で多くの選手が他球団へ移籍してしまう。
残されたのはチーム存続ギリギリの人数だけ。しかも、他球団から毛嫌いされた問題児が多数。
このままでは今すぐの解散は免れても、いずれチームは消滅する。
そんな考えが関係者の中で広まる中、一人の青年が入団テストに現れる。

「こ、こんなボール見たことない……」
「あなた、何者ですか?」
「通りすがりのエースピッチャーだ、覚えておけ!」

門矢士。一切の経歴不明のこの男は、背番号「10」を背負いライダーズの一員となる。
こうして新たなスタートを切ったライダーズだったが、その道のりは前途多難であった。


「俺たち、もう仲間じゃないか!」

士の女房役にしてチームのムードメーカー、小野寺ユウスケ。


「僕は父さんじゃない。でも、父さんを超えたい!」

偉大なる名プレーヤーを父に持つ少年、ワタル。


「いいざまだな、レンさん」

移籍したかつてのチームメイトを恨む男、辰巳シンジ。


「エースにふさわしいのは俺だ! 譲ってたまるか!」

エースという立場に固執する若き投手、剣立カズマ。


「ここが僕の居場所です。だから、僕が守ります」

誰よりもチームを愛する若手のホープ、尾上タクミ。


「あまり俺に関わるな……」

チームメイトとの関わりを避ける孤高の職人、芦河ショウイチ。


「俺は最初から最後までクライマックスだぜ!」

短気で無鉄砲、だが心根は優しい助っ人外国人、モモタロス。


「おばあちゃんに言っておいてくれ。俺はまだまだ頑張れると」

家族愛に生き、走塁を司るリードオフマン、ソウジ。


「そう気を張るなよ。人生楽しくいかないと!」

実力はあるが、やる気なし。飄々としたベテラン選手、ヒビキ。


「さあ、お茶でも飲んで」

緊迫感まるでなし。しかしいざというときは頼りになる……かもしれない監督、光栄次郎。


「ただでさえチームのピンチなんですから、みんな仲良くしてください!」

そして栄次郎の孫にして球団スタッフ、チームのまとめ役、光夏海。


それぞれの個性がぶつかり合い、ライダーズは揺れに揺れる。

そして、揺れの原因はチームの外にも。


「お前のせいでこの試合は破壊されてしまった!」

なぜか士を嫌う審判、鳴滝。


「ここでの1点……すっごく欲しい」

チームを転々とする自称・士のライバル、海東大樹。


「ぶっちぎるぜ!」

突如現役復帰を発表したかつての名選手、南光太郎。


「私は全ての野球選手にとって迷惑な存在なのだ」

球界の裏で暗躍する謎の男、ガイ。


果たしてライダーズは数々の困難を乗り越え、優勝の栄光を手にすることが出来るのか。

「平成野球ライダー」、始まりません。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「あっちが十面鬼なら、こっちは三面拳だ!」

2009-08-16 12:38:58 | 二次創作
先週に続きやってしまった。だが私は謝らない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベースボールライドゥ、パワプロォ!

2009-08-09 10:18:42 | 二次創作
今週の野球ユニフォームを着た士を見たら、つい作ってしまった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涼宮ハルヒのあっちこっち7 ~普通の一日編~

2009-08-06 00:21:24 | 二次創作
ハルヒ・長門・みくる(ガヤガヤ)
(ぽふっ)
ハルヒ「!?」
キョン「――お? 何だ?」
ハルヒ(す~っ)
    「……キョン。邪魔」
キョン「この声はハルヒ?」
長門「!」
   「今匂いで分」
(ドゴッ!)
長門「べはっ」
キョン「今日も朝から元気だな」
みくる「あ、あはは」

◇ ◇ ◇

古泉「長門さんいますか?」
長門「ん、何?」
古泉「放送室のマイクの調子が悪いそうなので、見て欲し」
長門「わかった」
キョン「早!!」
ハルヒ「有希は何でもありね」
古泉「変わった人ですよね」
キョン「お前が言うな」
みくる「類は友を呼ぶってやつですねっ!!」
キョン「それ変って認めてますよ、朝比奈さん」

◇ ◇ ◇

ぴんぽんぱんぽーん

長門『あー、マイクテス、マイクテス』
みくる「長門さんの声です」
長門『教室内の皆様、正面向かって右側をご覧ください』
キョン「右?」
みくる「右?」
谷口「右?」
朝倉「右?」

…………

長門『壁です』

ぴんぽんぱんぽーん

クラス全員「壁かよ!」

◇ ◇ ◇

キーンコーンカーンコーン

キョン「急ぐぞぅ」
古泉「おや、あなたも今日は購買ですか?」
キョン「ああ。急に購買のてりたまサンドが食べたくなった」
古泉「では行きますか」
キョン「おう」

(窓から飛び降りる二人)

喜緑「二人とも廊下は飛ばない!」
長門(新しい……)

◇ ◇ ◇

みくる「涼宮さん、これよかったらどうぞ」
ハルヒ「ありがとう。いただくわ」
古泉「……」
キョン「どうした古泉? ボーっとして」
古泉「ええ、なんと言いますか」
長門「私も一ついい?」
みくる「どうぞ」
古泉「女性が三人寄ると――」
キョン「かしましいだろ?」
古泉「いやらしいと思いませんか」
ハルヒ「……」
キョン「そんなセンス俺にはねえよ!」

◇ ◇ ◇

キョン「あれ? 長門は? 見当たらないけど」
みくる「さっき放送室に行ったみたいですよ」
ハルヒ「まだ終わってなかったの?」
みくる「最後にもう一度点検しておくそうです」
    「長門さんは機械に強くて少し羨ましいです」
ハルヒ「みくるちゃんは携帯電話も使えなさそうなイメージがあるわね」
キョン「たしかに。TV番組の録画予約とかできなさそうな」
みくる「どうして知ってるんですか、キョンくん!?」
ハルヒ・キョン「やっぱりそうなのかー」

◇ ◇ ◇

ぴんぽんぱんぽーん

長門『あ、あー。マイクテスマイクテス』
キョン「また長門だな」
    「今度は何だ」
長門『……』
みくる「そんな身構えなくても」
長門『……』

ぴんぽんぱんぽーん

クラス全員「終わりかよ!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぐらっぷらーん ちゅるやさん

2009-08-04 00:14:15 | 二次創作
発作的に作ってしまったコラ。
詳しくは前の記事参照。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする