10月28日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
こわさを知る
人はそれぞれにこわいものを持っています。子どもが親をこわいと感じたり、社員は社長をこわいと思ったり、世間がこわいと思ったりします。しかしそれとともに、自分自身がこわいという場合があります。ともすれば怠け心が起こるのがこわい、傲慢になりがちなのがこわいというようなものです。
私はこのこわさを持つことが大切だと思います。こわさを常に心にいだき、おそれを感じつつ、日々の努力を重ねていく。そこに慎しみ深さが生まれ、自分の行動に反省をする余裕が生まれてくると思うのです。そしてそこから、自分の正しい道を選ぶ的確な判断も、よりできるようになると思います。
筆洗
2013年10月27日 (東京新聞TOKYOWeb)
▼秋の夕刻には感情をかき乱す魔力がある。スーパーで、老婦人が一人、ネギを買っている姿を見ているだけで、寂しくなる。小学校の下校の音楽なのか、遠くから聞こえてくる『新世界より』の第二楽章に鼻の奥の方が熱くなる
▼あの曲には、日本語の歌詞がある。『遠き山に日は落ちて』。音楽家の堀内敬三さんが大正時代に書いた。仕事を終えて、家族の元へ帰るうれしさを歌っている。<いざや楽しまどいせん>
▼「まどいせん」。最近はまず聞かない。まどいとは「団居」「円居」と書く。車座になることで、家族だんらんの意味がある。夏の歌だろうが、曲と歌詞は寂しい秋の夕刻に似合いすぎている
▼寂しい秋ばかりではない。三十一日はハロウィーンである。古代ケルト伝統の先祖の霊を迎える火祭りは米国経由で日本にもやってきて、子どもが仮装する日として定着しつつある。魔女や怪物の衣装を着た子どもの姿は楽しい
▼頼みたいことがある。その夜、仮装した子らを連れて、近所の一人暮らしのおじいさん、おばあさんの家を一軒でいい、回ってもらえないだろうか。「お菓子をちょうだい」と子どもに言わせてほしい
▼高齢者の単独世帯は二割を超えている。秋の夜に寂しい思いをしている人もいる。あのスーパーのおばあさんの家へも行って、ほんのちょっと「団居」を分けてもらえないだろうか。
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