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凧上げも獅子舞もなし羽根つきの音すらもなし松の内

2012-01-08 14:28:07 | その他
あっという間に松の内も過ぎてもはや正月気分はありません。

この頃は元日から何でも商いを始めてしまうのでまるっきり普段
と同じ日常です。昔といえば正月の三が日はどこもやっていなくて
シーンとしていたもんです。時折聞こえる羽根付きの音や、獅子舞
の笛の音。子供たちはコマを回したり凧を揚げたりしているという
のが正月の町中の光景で、家の中ではおせち料理にお屠蘇で新
年を寿ぐってのが決まりごとでした。

黒豆、昆布巻き、蒲鉾に数の子と定番の正月の縁起のよい食材に
もちろんのことお雑煮。餅は暮の内に届いた伸し餅を包丁で食べ
やすい大きさに切っておく。余分にもらったりすると水に漬けて
おくし、鏡餅なんざ干からびて割れるまで放って置いて、これを
火鉢で焼いて醤油をつけて、熱いところを口に中に放り込んで
ホグハグ言いながら食べたものでした。

若い女の子たちは髪を結ってもらい晴れ着を着て新年のご挨拶に
出かけ、正月のゆったりした空気の中にも華やかさが溢れていた
ものです。

下町は木造の家屋が多かったせいか、各玄関先には長い竹を立て
新年を迎え気分も改まった中に、獅子舞がやって来るのを楽しみに
待っていました。中学生の頃に二人組の三河万歳を見たことも
ありましたがもはやあんな昭和の正月は味わうことはないのでしょう。

我が家では3日か4日に親戚が集まり、百人一首をやるのが恒例
で、夜遅くまでワーワー言いながら取り合いをしたものでした。
散らしに源平。お手つきをすると向こうから一枚貰わなきゃならない。
「お~えやまァ」なんて上の句が読まれたしにゃ、偉いスピードで
あっちこっちから手がすっ飛んできます。汗びっしょりになって
百人一首を楽しんだものです。

あ~懐かしいなあ。ああいう正月はいかにも日本的な情緒の溢れる
雰囲気で大好きでした。気分が高揚したものです。風情がありました。

いかにも正月を祝う、って感じで希望みたいなワクワク感で満ちて
いました。あちこちで年の初めの挨拶で何度も頭を下げている光景が
見られました。三が日が過ぎても日本橋や銀座や浅草に出れば日本
髪を結い和服を着た女性が随分多く見られたものです。

まだ都電が走ってましたからね、空いている車内の緑の色の座席に
華やかな和服の女性が腰掛けているとこれがまた絵になるんです。

つり革が皮でね、電車が揺れると同じ方向につり革が一緒に揺れて、
チンチンと鳴って「次は呉服橋イ~」なんて車掌が知らせる。
ゴトンゴトンと都電が正月の静かな町を走って行く。安全地帯の上で
やがて来る都電を待つ振袖姿。日本髪に稲穂が揺れて破魔矢を持っ
ていたりしてね、何とも風情のいいものです。正月の風物詩でした。

もうああいう情緒溢れる光景は見られないのですかねえ。
実際に見た光景なのに何だか新派の舞台みたいな印象になって
残ってしまっています。

モノは今みたいに何でもありゃしなかったけど、人心が豊かで
良い空気の情緒がありました。昭和の昔の正月は本当に風情が
ありましたね。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まだ文もせず天の橋立 (NN)
2012-01-09 12:31:30
あけましておめでとうございます。

年末は箪笥のある部屋の大掃除。
大晦日は朝から日本髪でバタバタ。
元日だけボーとして2日は浅草、3日は
赤坂へ初詣。夫婦で着物の二日間でした、

親戚が関西へ旅行中で今年の正月は恒例の
百人一首をやれずちょっと淋しい感じも
なきにしもあらずでした。

尤もいまだに下手で「むすめふさほせ」の
一枚札はいまだに取れず、目の前にある
5,6枚の札を必死になって死守するのが
せい一杯です。

娘さんたちとそろってカルタ取り。ご家族で
良いお正月を過されましたね。

暖かくなるまで釣りはお休みです。昔は
3月に芦ノ湖まで行ったものですが。

今年もよろしくお願いいたします。

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生野の道もとほければ (猿も出でず)
2012-01-08 21:50:09
ご無沙汰しております。
本年もよろしくお願い致します。
釣りの話もですが下町の話も興味津々。
奥方様の丸髷、素敵です!
当方、流通業なので昨年まで元日から仕事していたくちですが、今年は異動で大晦日から三が日休みで久しぶりにゆっくりし、実家に行って百人一首やりました。
酔いも回ってなかなか取れず、娘たちにかないませんでした。
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