人形町壽堂の黄金芋

壽堂

以前にも書いたかも知れません。

日本橋は人形町の京菓子司㈱壽堂の銘菓、黄金芋（こがねいも）。

水天宮の交差点からすぐのところにある。店の中は狭い。暖簾を
潜ればすぐショーケースにぶつかり、三人も並べばそれでいっぱい
でつかえてしまうほどだ。大昔は小さな小上がりでもあり座売りだ
ったのかも知れないがここは今でも日本橋区の名残りを残す小宇
宙。昔が香る。後ろから和服姿の花柳小菊さんが入って来そう。

黄金芋は見た目は小さな焼き芋に見えるが、ニッキの香りが味わえ
る上品な甘さの焼き菓子でおつかいものに最適。美味しい日本茶と
一緒に味わうと趣が深い。風情のある和菓子だ。


バラ売りはジップロックに入っている。下の紙袋に入れてくれる。

四季精果録と称する紙袋に書いてある口上書きが泣かせる。

「大方高雅諸君の御嗜好に適候様にと日々愚案を凝らし
　清新なる甘味を精製仕候処幸ひにも貴意に叶い候にや
　日に増し御用の数繁く相成難有奏謝候　（以下略）」

西京御菓子舗　　　　　　　　　　　　　水天宮際　寿堂　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿るじ敬白

とある。恐らくは明治は３０年代あたりだろうか。


久々に黄金芋を頂きました。品の良い甘さが口の中に広がる。続いて
口にする濃い目の日本茶の味が引き立つ。しっとりとした餡子にニッキ
の香りがプーンと来る。昔からこの味だ。法事用に箱入りのものをふた
つ買い求めた。




人形町や浜町は子供の頃からの馴染みの町だ。昔からの名店の味が
変わらないのは嬉しいもの。ほっとする想いに茶柱が立つ。

浜町公園にはかつて屋外プールがあって夏になると中学校の帰りに
自転車でよく通った。水がいつも冷たかったのを覚えている。