午前7時に起床する
カラリと晴れて明るい朝だ 寒さは変わり無い
昨夜セットしておいた炊飯器がピィ〜と鳴いたのでわっぱに詰めてしばし蓋をしておく
煮干しで出汁を引き三浦大根と鳴門わかめで味噌汁を作る
ロシア産の紅鮭を焼いてわっぱ飯の上に乗せる 沢庵を三切れ添える
いただいた岩手の自家用米はただでさえ甘くて美味いのに
わっぱに詰めてしばらく置くといっそう美味くなるのが面白い
そういえば経木で作った駅弁の米の美味さったら無かった
薄い蓋にへばりついた米も残さず剥がして喰いたくなるほどの美味さだった
いまでも経木の駅弁というと色々あるのだろうが身近なところでは崎陽軒の駅弁だろうか?
新幹線で関西に行く時は崎陽軒のしゅうまい弁当と決めているけれど
それは崎陽軒のしうまいが好きなのではなくて経木の飯を喰いたいからだ
ほど良く水分が抜けた米の美味さったら無いからね
生まれて初めて駅弁を喰ったのは松山から鳴門に引っ越す際の予讃線の車中だったと記憶している
ちょうど7歳になった頃だった
窓側に座り膝の上で拡げた幕の内弁当には鰆の焼き物と卵焼きが入っていた
好き嫌いが激しくて普段なら食べない焼き魚をパクパク食べられたのは
窓を流れる見知らぬ景色や陶器で出来たお茶入れの物珍しさだけではなくて
経木に詰められた米の美味さのおかげだったのも良く覚えている
弁当を喰い終わり鈍行の旅に飽きてしまった頃「あっ!」と兄が窓の外を指差し
ほら!「あそこで鵜飼をしてるよ!」と言った
目の前にはちいさな渓谷があり数人の人影が見えたが
すぐに通り過ぎたのでそれが鵜飼だったのかその時は判らなかった
きっと飽きっぽい私を慰めようとついた兄の嘘だったのだろうか
虚実が綯い交ぜになって現実の世界は出来ている
それが芸術だと知ったのはもう少し経ってからだった
今日からまた虚実を交えて芸を説く仕事が始まる
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