のんこ昔ばなし

隠れ家的な。

地震、雷、火事、親父の時代

2013-03-01 10:59:21 | 懐かしの写真館

夫とその弟の幼少期、これしか残っていない貴重な1枚。

亡き夫の父、おじいちゃんが撮ったもの。

おじいちゃんは、朴とつな人で、馬力があるが気短で、人と群れることが嫌いな一匹狼気質だった。

個人でトラックの運転をして家族を養っていた。

有限で石材を扱う建材店を営んだこともある。

子供らへの接し方も、いまどきパパとは大きく異なり、昔の親父そのものだったようだ。

子連れで出かけかねればならなかった日。

自転車の後ろに座布団も縛らずひょいと幼い夫を載せ、走り出したはいいけれど、幼子の夫はうまく捕まることができず転がり落ち。

泣いていたがる息子のえり首をウサギを持つようにつかみあげてまた、どすんと後ろに座らせ、

「しっかりつかまってろ!この小僧!」とげんこつをくらわした。

さらに泣くとまた殴られそうで嗚咽をこらえて必死に荷台の枠につかまった、と夫は述懐したことがあった。

それを見ていた近所の衆が「まぁず、もうらしいことをするじゃねぃかい。」と声を上げたのを覚えていて

「そうだよ、俺はもうらしい(かわいそう)んだ」とひそかに理不尽に納得がいったとの話。

そんなおじいちゃんだが、愛し方が下手なだけで、子煩悩だった。

昼夜働く、その原動力は、女房子供を腹いっぱい食わせたい、その思い。

貧乏でも飢えることはなかった、腹を空かせて切ない日はなかったと夫は父親の愛を受け止めていた。

この写真を見ると、おじぃちゃんの愛が見える。

たぶん、トラックに子らを乗せて走ったんだろう。車で寝ていた子たちをたたき起こして、
ほれ、そこに立て!と立たせて、撮ったんだろう。

子供らは、なんのことやらねぼけたまま、いうとおりにしたので、ポーズもカメラ目線もない。(笑)

甘い言葉かけなど無縁ながら、当時貴重なフィルムを、子供たちのために使った。

カメラを通した、おじいちゃんの父親目線が、愛おしい。

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