事象や概念に名前を付けることがずっと苦手です。語彙が乏しいということもあるし、対象の概念をあらわす言葉を脳のなかからうまく引っ張り出してこれないという感じです。
名前がないことはそれはそれで不便なのでとりあえず名前をつけはするのですが、しばらく経ってから「あんまり良くない名前だな……」とか後悔するということもよく起こります。
名前付けがうまくできないままになっている案件のひとつに「写真複製サイン」というものがあります。
堺筋本町駅・2019年3月
工事中の駅の仮囲いに設置されていた「写真複製サイン」
日本橋駅(都営地下鉄)・2010年9月
かつて同じ場所に設置されていたのだと思われるサインの写真が掲示されている
つまり、〈掲示されているサインの写真を撮影〉→〈その写真を印刷〉→〈それを掲示〉……というものです。オフィシャルのサインを「複製」する手軽な方法として写真と印刷を用いている、とも言えますね。
この手法、なぜだか好きなんですよね。野良サインのさまざまな実装方法の中でも写真複製サイン事例を目撃したときの嬉しさは特に大きい気がします。なんでなのかはよくわかりません。
新宿三丁目駅・2012年7月
色温度がおかしな状態で掲示されていたり、養生テープが印象的
色味調整・歪み補正・適切な大きさでの印刷などができていないと見づらくなったりもします。写真複製サインは一見手軽そうなのですが、公式サインに近い機能性を持たせるには技術や手間が要る……。
撮影場所不明・2013年3月
被写体が張り紙という事例
野良サインを「複製」しているという事例もまれに見かけます。
これって同じ張り紙をもう一度出力したほうが楽だしきれいな状態で掲示できるのでは……?この例に限って言えばWordで打ち直してもすぐ作れそうだし…… と、観察者目線では思ってしまいます。実際の作業者目線だとそうもいかず「写真で撮って印刷したほうが楽」という判断になってしまうものなのでしょうか。それだけこの手法が手軽かつ身近なものとして認識されているのかもしれません。
大阪駅(JR)・2016年1月
最後に、これまで見た中で一番すごい写真複製サインを紹介したいのですが……これも写真複製サインなのか……?
大阪駅(JR)・2016年1月
こちらが本来の姿
同じ駅の他のホームを見てみると、中が見えるようにガラス窓がついているタイプのエレベーターがあるのですが、最初の写真のホームにあるエレベーターだけはなぜかガラス窓がついていない。その代わりに「窓ガラスがついている場合の様子」が写真として掲示されている……というものです。
大阪駅(JR)・2016年1月
ぼんやりした写真が印刷されている
ここで「複製」しているのは「サイン」そのものではなく「窓ガラス」なのでこれまでの事例とはタイプが違うのですが、結果的に「ここにエレベーターがある」ということを知らせるためのサインになっている(おそらく……)のですよね。
話を戻します。「写真複製サイン」以上にいい名前のアイデアをお持ちの方はコメントやツイートなどで教えてください!(これが言いたかっただけ)
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