「右側通行」「左側通行」という内容の案内表示は、駅のなかでよく見かけるかと思います。この記事では、階段部分(床や蹴込部分)でそうした案内をしている事例を見ていきます。
新宿御苑前駅・2017年11月
トラテープを踊り場の床に貼っているケース
本町駅・2016年10月
黄色いテープを踊り場の床に貼っているケース
矢印で進行方向を表現することは一般的だが、床を区切るように線を引いておくと「歩いていいエリア」が面として現れてくる感じがする。
日本橋駅(Osaka Metro)・2016年10月
大きな矢印を浮かび上がらせようとしている事例
矢印を粗い点線で表現しているのを見た。これで人々は気づけるのか……!? と思ったが、初めて行った私が気付けたのだし意外といけるかもしれない。
品川駅(JR)・2019年1月
「のぼり Up」「くだり Down」と書かれたシールはJRの駅でよく見る汎用的なもの。ふつうは3枚目の写真のように壁に貼って使うものなのだが、ここでは階段に貼ってしまっている。
半分にすればちょうど蹴込の部分に収まる。張り紙を手作りする手間を省けるし、いいアイデアだな……と思った。もっといっぱい貼ったところを見てみたい。
赤坂駅(福岡市地下鉄)・2018年2月
壁タイプと蹴込タイプの複合型。
蹴込に貼ったものは下から昇ってくる人にしか見えない。上から降りる人に伝えるには天井・床・壁の面を使う必要があり、ここでは壁に貼り付けている。下の方に配置しているのは階段を降りる人の視線の位置を考慮したということでしょうか。優しい……。
高田馬場駅(JR)・2017年7月
ここから下は、階段全体を使って視覚的表現をしている事例。
高田馬場駅の階段では一段飛ばしで矢印が配置されていた。これだけたくさん貼っていても、階段全体に対しての専有面積はまだ小さい方で、訴求力は弱い(写真でみた印象で言ってるだけなのですが……)。
新松戸駅(JR)・2019年12月
矢印シールを全部の段に貼り付けていた。上から見た感じだと、やや迫力が出てきている感じがする。踊り場の床にも矢印がいっぱい。
三鷹駅・2018年2月
矢印だけでなく、赤・青の色面で力強くゾーン分けをしている。かなり迫力があるし、ここまでやればさすがに認識せざるを得ない感じがしてくる。掲示物本体は駅員さんの手作りではなく、ちゃんと業者に発注して作ったように見える。
新宿駅・2016年12月
壁に掲示されている「右側通行」の手作りポスターも見逃せないが、今回は天井に注目してほしい。
天井からサインを吊るすのはありがちな手法だが、ここでは天井の面に直接「くだり」ゾーンを描画している。天井がある程度平らでなければできない方法だし、現地をよく観察した結果として出てきたアイデアといった感じがする。
なんとかして通行をもっと整理したい、どうしたらいいんだ、と悩みに悩んだ末に思いついた手法なのではないだろうか……といったストーリーを勝手に思い浮かべる。サインの迫力の裏に日々の苦労が感じられなくもない。
上野駅(東京メトロ)・2015年8月
単純な「のぼり」「くだり」の区分ではない、一見すると謎の色分け。
左側のイエローとネイビーは、天井から吊るされているサインに対応しているみたい。イエローは「出口」で、ネイビーは「日比谷線への乗り換え」ということだろう。色面の上には矢印が配され、左側通行であることを表現している。
手すりの右側のエリアには、ふつうなら「くだり」を示す下向き矢印を置きたくなるところだが、ここでは「左に寄ってくれ〜」と念じているかのようなパターンが描かれている。直感に訴求してくる感じというか……。単なる矢印の場合とこのパターンの場合で効果がどれくらい違うのか検証してみたくなる。
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