大阪府立野崎高等学校オフィシャルブログ

大阪府立野崎高等学校を紹介するブログです。教職員からのメッセージや新着情報を提供していきます。

ある日の図書館 ~その4~

2012年12月10日 23時24分42秒 | 図書室

ある日の図書館 ~その4~

試験が終わったようだ。

図書館のある特別棟にも、生徒たちの声が響き始めた。

定期考査中は、選択授業の取り方によって

生徒一人ひとり、終了時間がまちまちだ。

 

午前中は、いくつものグループが

机の上に、色とりどりのファイルやノートを広げて

頭を寄せ合っている。

多少ザワザワしていても、ここで一緒に勉強する方が

一人で挫けてしまうより、きっといい。

 

「今日、ここ何時まで開いてる?」

提出締切の時間を気にしつつ、友達から借りた大量のプリントを

ものすごい勢いで写している生徒がいる。

「やる時にはやるんだね」と言うべきか

「同じするなら、テストの前にやっとこうよ」と言うべきか

「持つべきは、いい友達だね」

と言うべきか

 

ひと固まりのグループの一人が、手招きしている。

「先生、何の先生?」

手っ取り早く、手近なところで、とりあえず質問してくれるのだが

正直、忘却の彼方のものも、ある。

「職員室で聞いてきたら?」

しばらくして戻ってくると

「わかったでェ~」と、得意そうに教えてくれた。

なるほど、そうだったのか。

ちょっぴり、頼もしく見えたよ。

 


ある日の図書室~その3

2012年06月25日 18時04分26秒 | 図書室

ある日の図書室



「静かにして!」

図書館が一番賑わう昼休み、N先生の声が飛ぶ。

ここのところ、昼休みの利用数は30人を切ることはない。

 

新任のW先生は、週に何度か、生徒たちの様子を見にふらっとやって来る。

曜日を知っているのかな。自然と生徒たちが集まる。

「先生、授業わからん」「これ、知ってる?」

ウキウキ、ドキドキ、キャッキャッ

図書館としてあるべき姿が何なのか、わからないけれど

少し甘酸っぱい匂いのする、確かなエナジーがそこにはある。

 

その一方で

広い空間を独占して、まったりと過ごせた頃を恋しがる生徒たちもいる。

「居心地エエで、って去年宣伝しすぎたわ」

ありがとう。そんなこと言わないで、また来てね。

君たちの顔が見えないと、N先生が寂しがっているよ。


ある日の図書館 ~その2~

2012年06月08日 18時12分33秒 | 図書室

N氏提供



もう何年前になるのだろう。

2年生は修学旅行へ行っていた。

しかし、毎年、どの学年にも参加できない生徒たちがいる。

彼らはその期間中、毎日図書館へ登校することになっている。

自習課題に取り組む人、終えて本を読む人、くすくすと笑い声も・・・

そこには不思議と穏やかな空気が漂っている。

 

N君もその中のひとりだった。

「先生、僕が撮った写真見てくれませんか」

君の声、授業中は、ほとんど聞いたことがなかったよ。

差し出された小さなアルバム。

空、雲、影、猫、自転車・・・

物言わぬ対象物の中に、かすかにN君の声がした。

「素敵だね」

その中に図書館を写した数枚の写真があった。

ふだん見慣れた書架の本が、まるで風格ある古書のように

図書館を守っているN先生手作りの小物たちも

まるでアンティークのような佇まいで

そこに収まっていた。

「この写真、図書館に飾ってもいい?」

それ以来、N君の写真は、図書館からも飛び出して

文化祭展示、校長室前廊下の写真部常設展示へと

どんどん居場所を広げていった。

 

あれから数年、N君は今、

本校卒業生K氏の写真館で働いている。

学校行事ごとに、卒業アルバム用の写真撮影に同行して

カメラマンとしてやって来る。

人っ子ひとり写っていなかった、あの頃の君の写真。

今は、野崎高校生たちのはじけるような笑顔が写っているね。

N氏2

 N氏提供


ある日の図書館

2012年05月14日 11時24分02秒 | 図書室

 4限終了のチャイムが鳴り、昼休みに入ると、図書館にひとりふたりと生徒たちがやって来る。
もうお昼ごはん食べたの?

 10~15分も経てば、20人余りの生徒たちが思い思いの場所を陣取っている。

 一番人気の場所は、部屋の片隅に敷いた6畳の畳スペース。
壁を背に足を投げ出したり、仰向けに寝転がったり・・・。
マンガ(日本が世界に誇るサブカルチャー!)は時間を忘れさせてくれる。

 いつも生徒たちが群がっているのは、5台のパソコン・コーナー。
お気に入りの場所があるのか、その台のパスワードを借りにカウンターへ来る。
1台を囲むように2、3人が同じ画面を覗き込んでいることもある。

 図書館を仕切っているのは、N先生。ほとんど開校以来ずっと、この部屋を守っている。
今日は「何か読みたい」という生徒と一緒に、お薦め本を探している。
どうやら気に入る一冊が見つかったようだ。
「どんな本でも三分の二以上読まないと面白さはわからない」N先生が声をかける。

予鈴。「じゃ、また明日」「また来るわ」放課後も開いているよ。