JASS事務所ブログ

JASS事務所のスタッフがつづる事務所ブログ。業務以外に千代田区のこと、身近なこと、綴っていきます。

「東京2025デフリンピックに向けた国際手話通訳者及び手話言語通訳者養成研修会」を受講して

2025-01-08 20:27:52 | 国際関係

開催まで1年を切った東京2025デフリンピック。昨年6月~11月にかけて全日本ろうあ連盟主催で「国際手話通訳者の人員確保のため、国際手話通訳者(ろう者)と手話言語通訳者(きこえる人)をペアで養成」(全日本ろうあ連盟の開催要項から一部抜粋)する研修会が行われ、国際手話クラスではこの研修の話題が持ち切り!受講された会員の方にご寄稿いただきましたので、皆様もぜひお読みください。「よぺ」さん、ご寄稿、誠にありがとうございました。本番での活躍を楽しみにしています!(事務所)


私は昔から手話通訳に興味がありました。米国留学時、アメリカの「聴覚障害を持つ医療従事者の協会」が開催する全米大会が開かれたときに日本人が参加するとのことで、手話通訳を依頼されたことがあります。しかし、ヨーロッパからの参加者がいて、国際手話も必要となりました。私はアメリカ手話言語(以下、ASL)を流暢に使えますが、国際手話の方は全く知らなかったため、通訳がなかなかうまくいかず、トラウマになった記憶があります。そのため、この研修会があることを知ったとき、手話通訳の仕事をしたい気持ちがあったものの、一歩をなかなか踏み出せずにいる自分がいました。すると、日本ASL協会の関係者から、「この研修会はあなたに合ってるんじゃない?やってみたら?!」と背中を押してもらったこと、また、この研修会の募集要項に「本講座に参加することで、 東京 2025 デフリンピック本番の通訳を依頼することを約束するものではございません。」という記述があり、できるところまではしてみようと、受講を決意しました。 

研修会はきこえる人とろう者とでカリキュラムが別々に設定されており、ろう者の方は全部で50時間(オンライン14時間、対面36時間) 。6~7月はオンラインの講義、10〜11月は東京で対面実地研修をしました。
初めての対面研修は10月12日~14日で、リトアニアとインドネシアからそれぞれ1人ずつろう講師が私たちのために講義をしてくれました。私と一緒に受講した受講生も、私と同様に国際手話そのものを見ることに慣れていない人ばかりでした。手話通訳の講座とはいえ、普段の会話ではなく、専門的な内容の講座を国際手話で受けることは、絶対に理解ができないと思いました。しかし私はASLができること、日本手話言語の力も相まって、国際手話で話されている専門的な内容をほぼ読み取ることができました。トムとジェリーのアニメや「H3 World TV」*という国際手話のニュース動画を日本手話言語で表現したり、Herluf Bidstrup(ハールフ・ビストルップ)というデンマークの漫画家が描いた漫画の内容を国際手話で表現したりする練習もしました。国際手話表現のわからない単語があった時は、講師に直接聞いたり、ほかの受講生に聞いたりしました。
講師に国際手話で質問する際、うまく表現できず、もどかしい思いをしたこともありましたが、3日間国際手話のシャワーを浴びた結果、国際手話力が上達するのを実感しました。
ほかの対面研修では、きこえる通訳者と国際手話通訳と日本手話言語通訳の共同通訳の研修でした。音声日本語⇔日本手話言語⇔国際手話の通訳の練習とともに、国際手話通訳者と日本手話言語通訳者の呼吸の合わせ方の練習もしました。国際手話→日本手話言語(図①)はほぼできましたが、日本手話言語→国際手話(図②)の通訳は難しかったです。


対面研修のほとんどで、神様が私に試練を与えたのか(笑)、私のグループのろう者がみな欠席しており、私一人で通訳作業をすることが多かったです。でも、私はその分長い時間、通訳の練習ができるとポジティブに考え、頑張りました。
今回の研修は50時間でしたが、来年度のデフリンピックに向けて通訳をするには、まだまだ力が及びません。今後は個人で世界ろう連盟の手話動画や、国際手話のできる外国人が日本に来たときに、積極的に交流をして国際手話の力を少しでも上げていけたらと思っています。(よぺ)

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事務所注*H3 World Tv 
https://h3world.tv/
国際手話でニュースを発信しているインターネット動画サイト
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国際手話でウクライナ交流会

2024-07-03 19:15:05 | 国際関係

「ウクライナろう者交流プロジェクト」が企画するウクライナろう協会(the Ukrainian Society of the Deaf)の会長、副会長ご一行の4箇所講演企画(東京・名古屋・奈良・岡山)。

5月29日の当協会での企画は、「国際手話で交流を」と考え、イリーナ会長には、参加者は「国際手話学習者」であること、「国際手話で会話してほしい」とお願いしました。会長は全員に声かけして、間違っていても優しく誘導する様子に、彼女の素晴らしいリーダーシップを垣間見た思いでした。
ウクライナに、そして世界に平和が早く訪れますように。
参加者から感想を頂いたので掲載いたします。「ばに」さん、ご寄稿ありがとうございました!


5月29日(水)、ASL協会に素敵なゲストが来られました。
ウクライナろう協会(the Ukrainian Society of the Deaf)の会長イリーナ・チェプチーナさん(上写真左端)、同協会副会長タチアナ・クリフコさん(同中央)、そして群馬で避難生活をされているボズコさん(同右端)の3名です。
日本各地での講演会のための来日でしたが、この日は多忙スケジュールをぬって「交流会」という形で開催されました。

参加者は20名くらいでしたが、ろう者及び国際手話の研鑽を積んだ方がほとんどで、私のような国際手話ピヨピヨ聴者は数名。交流会なので通訳は付かず、必死に読み取りました! 

前半の1時間は講義形式、後半はグループトークで交流を楽しみました。
ウクライナ紹介や日本でのカルチャーショックについてのお話があり、和やかな時間が流れていました。ボルシチの手話は「指文字のUの中指を少し曲げる形」でした。イリーナ会長は「床(布団)で寝るなんて!?と思ったけど、ボズコさんはすっかり馴染んでいるよ」とユーモアたっぷりにお話されていました。休憩を挟んで後半は2グループに分かれて質疑応答の会話を楽しみました。一人ひとりへの質問もあり、和やかな楽しい会で、参加できて良かったです。
どの言語も同じだと思いますが、言語を学ぶためにはその国の文化や習慣、歴史背景など合わせて学ぶ必要があると思います。国際手話での交流は第2外国語同士での会話なので、お互いが歩み寄って理解しようとする楽しみがあることを実感しました。
東京2025デフリンピックに向けて、さらに磨いていきたいです。

(ばに)

 

 


「初の世界ろう者会議参加は刺激がいっぱい!」

2023-09-13 10:31:07 | 国際関係

世界ろう連盟が主催し、4年に1度開催される「世界ろう者会議」。第19回目の開催となる今年は7月11日から5日間、韓国の済州 (Jeju/チェジュ) 島で開催。参加されたSYさんからご寄稿いただきました。ワクワク感が伝わってきますね! ご寄稿ありがとうございました。

第19回世界ろう者会議(韓国)のHPはこちらhttps://www.2023wfdjeju.com/en/home/
(寄稿:国際手話中級コースⅡ受講生 SYさん)



(写真左/WFD参加時に配られたエコバッグ、タグ、パンフレット、メモ帳)(写真右/販売されていた韓国手話シール)


  会場のConvention Center
私にとって、人生初のWFD会議参加! 当初、主人の韓国出張やチェジュ島に友人が引っ越した事も重なり決めたのですが、実際に参加してみると、今までにない貴重な経験や刺激沢山あり、大変感銘を受けました。

初日のregistrationとオープニングセレモニー、2日目、3日目のお昼まで参加しました。
オープニングセレモニーでは、世界中のろう者や手話通訳者達が、各国の言語(手話)を尊重しながら国際手話でやり取りをしていました。私も様々な国の人達と国際手話で通じ合えた時は、喜びでいっぱいになりました。日本から来たと伝えると、2025年東京開催予定のデフリンピックに行きたいという人達が大勢いて嬉しかったです。以前ワークショップで出会った海外の手話通訳士との再会も感動でした。会場内での待ち時間やブース内、ランチのオーダー時、分科会で隣になった人達と友達になり、今も時々ビデオ通話やチャットをしています。このような機会がなければ出会えなかった人達。
素敵な宝物(者)です!!


ワークショップは、私は主に日本人の講演と手話や教育について興味がありましたので、選んで参加させて頂きました。同じ時間に参加したい講演もありました。個人的にスペイン語が大好きなので、でスペインのろう者のことも知りたくて講演を見に行ったのですが、途中日本人の講演が重なってしまい、抜けなければならない場面もあり少し残念でした。


2日目の初めに、ウクライナ協会のイリーナ会長が、人道上の緊急事態及び危機における人権のご講演をされました。終わった後、日本ろうあ連盟理事長が、WFD理事長の立ち合いのもと、彼女に募金を手渡しました(上写真)。日本人として本当に嬉しかったです。

ご講演の内容は経験、体験談が多々あり、本当に戦争はあってはならない、同時にこのような事態になった場合、ろう者の人権や情報保障など切実な問題として考えさせられました。


日本人の講演はどれも印象に残り新たな発見がありましたが、私が一番胸に響いたのは、明晴学園の榧校長の講演です。 

「Deaf education of the Deaf, by the Deaf, for the Deaf: 15 years of Meisei Education」(ろう者の、ろう者による、ろう者のためのろう教育:明晴学園の15年)
子供達の個性や能力を見つけて伸ばすために、一人一人を尊重しながら教える姿勢やその懸命さに深く心を打たれました。講演直後に、明晴学園の生徒さんたちも壇上に上がって挨拶していましたので、私も思いっきり大きく手を振りました。 海外の方々も大きく拍手(手話)しており、会場が一つになった感じでした。(上写真)
演者各国の手話、国際手話、韓国手話と英語での音声付きでしたが、通訳者の迫力に圧倒され、内容が頭に入らず魅入ってしまうこともしばしば。国際手話の醍醐味を味わうことが出来たり、日本手話や韓国手話の共通表現を探したり、非常に充実した時間でした。
またWFD会議を通して、ろう文化、手話言語、人権、教育、人道的危機の場合の情報保障など、沢山の課題に直面していると改めて痛感しています。今回の参加によって、グローバルな視野を持ち、分かり合い受け止め合えるような「場」や「機会」を得ることが大切だと、身を持って感じました。より一層コミュニケーションが取れるよう、国際手話の習得に努めたいと思います。  
「一期一会」…、素敵な出会いとかけがえのない経験出来た、実りある楽しいひと時に感謝しています。

  懐かしのMichael前講師(左)と再会も(右から2人目がSYさん)


  済州 (Jeju/チェジュ) 島の韓国手話

(右利きの場合)右手で島の形を表現し、左手の手のひらを上向きに添えて波を表現します。(左右に揺らす)
日本の「島」の手話に似ていますね!
島の形、中指は、済州島の中央にそびえる一番(韓国でも一番)高い山、漢拏山(ハルラサン)。人差し指、薬指で周りに山が連なっているイメージ。
手話モデル:Vance Deatherage

 

 


座学+実践が大事ですね

2023-04-28 15:03:03 | 国際関係

日本ASL協会のスタッフから国際手話受講生向けにガイド依頼の打診があり、4月13日と14日の2日間、オーストラリア人ろう者をガイドさせていただきました。

初めは13日だけの予定でしたが、東京の複雑な交通機関に不安を感じておられていたので急遽14日もガイドすることになりました。
13日は浅草&両国周辺と東京駅丸の内駅舎、14日は「義」ラーメンとスカイツリーを案内しました。
ご高齢の方だったため、適度に休憩を取り入れながら、ゆっくり行動しました。黄砂の影響なのか、スカイツリー展望デッキから富士山が見えなくて残念でした。

↓ 東京駅で説明をする宮本一郎講師(右)とオーストラリアろう者(左)

東京駅で説明をする宮本一郎講師(右)とオーストラリアろう者(左)
オーストラリア手話、指文字の読み取りが難しかったですが、一緒にガイドを担当した方にたくさん助けられ、スマホの動画や写真、簡単な英単語の筆談をしながらコミュニケーションを取りました。2日間一緒にいるうちに話したい事が大体分かるようになって嬉しい気持ちになりました。

初めての外国人ろう者のガイドで、とても緊張しましたがいい経験になりました。国際手話を知らない外国人ろう者への対応の仕方、ガイドのやり方、説明のやり方等々、たくさん勉強になりました。座学だけじゃなくて、実践することが大事だなと改めて思いました。また機会がありましたら、お手伝いさせて頂きたいと思います。(Tera)


来日する外国ろう者が皆、国際手話を知っているわけではありません。自分が学んだ外国手話(ASLや国際手話)が通じないときにどうするか、工夫を繰り返すことで段々通じてきますね。ありがとうございました。(事務所)


8年ぶりのハワイとASL

2023-03-01 19:34:14 | ASLクラス

コロナ拡散以降、行けなかった海外への旅行も、日本政府の規制緩和、また、多くの国が団体観光客を受け入れ再開。行きやすくなりました。
受講生のMさんがハワイへ飛び、ASLで交流を実現させてきました!旅行と楽しそうなASL会話の様子が伝わってきます。ぜひお読みください。


私がASLを学ぶ目的は、ハワイにいる友人Aさんのパートナーと直接ASLで話をしたかったからです。Aさんとは30年くらい前に手話で情報交換する旅行グループで一緒でした。その後、Aさんはハワイの日系ろう男性と結婚し、現地に住んでいます。その後Aさんたちが日本に来たり、私たちがハワイに行ったりして交流してきました。私がAさんたちに最後に会ったのは8年前にハワイに行った時ですが、彼には日本の手話では通じずAさんにASLへ翻訳してもらっていました。それでASLを覚えたいと思ったのです。

今回、年末に家族4人と友人1人の合計5人でハワイに行きました。そしてAさんたちにも会うことができました。日常会話程度ですが、彼と直接ASLで話をすることができとても嬉しかったです。

「ワイキキは物価が高いから、そこのスーパーで水やビールを買った方が良い。」
「スタジアムではSWAPMEETINGをやっている。」
「初詣はあそこの神社に行く」
などとASLで教えてくれました。
パロロ本願寺での餅つきや、パンチボール(世界大戦で戦死した軍人のお墓)にも行って説明をしてくれました。
(展示している細かい内容は写真に撮ってグーグル翻訳を使いました。)



ハワイ旅行ですが、物価も高くなり、ランチは$10~20、ディナーだと$30以上かかります。($1=137円) チップの相場が18~20%になっていてびっくり。
ワイキキには丸亀製麺もあり、$6くらいなのでいつ行っても行列でした。無料のピンクトロリーを使ってアラモアナの近くにあるウォルマートやドンキホーテで食材を買い、朝食はコンドミニアムで自炊して節約しました。私は友人とゴルフ、家族はショッピングや食事を楽しみました。最終日はレンタカーを借りてオアフ島半周。ハワイの平等院で御朱印(写真上)をもらって除夜の鐘をつき、北部で人気のフミズシュリンプでランチ、マツモトシェイブアイスで3色かき氷も楽しみました。
今度Aさんたちが日本に来た時は、ASLで歌舞伎などを紹介したいと思っています。
(RM/上級ASL(土))