ふらふら日記

物足りない日常にふらふら、怪しい読書にふらふら、激しい映画にふらふら、美味いメシにふらふら、そんな感じの自己満足日記。

映画覚書2014 #28

2014年07月12日 16時14分00秒 | 映画めらめら

「渇き。」
2014年 日本
監督 中島哲也
出演 役所広司 小松菜奈 妻夫木聡
めらめら度★★★★☆ 映画館 T17H11

告白」は、エグかったなァ。レイトショー鑑賞だったけど、そこそこ客が入っていたから普通なら映画終了後にザワザワと話し声が聞こえて来るハズなのに、あの時は、劇場全体が嫌ァな後味に押し潰されているかのように静かだった。300回ぐらい劇場鑑賞をしているが、あんな異様な雰囲気を体感したのは、あの時だけだ。ただ単にグロい後味の悪さと違って、鬱屈しそうな感覚だったんだよねェ…。

あれから4年、中島哲也監督が、またも後味の悪い映画を作りやがった。キャッチコピーは、「愛する娘は、バケモノでした。」「あなたの理性をぶっ飛ばす劇薬エンタテインメント!!」の2パターンで、いかにも中島哲也ちっくだ。再び、あの嫌ァな後味の悪さを体感すべく、期待と不安を抱えてレイトショー鑑賞に行って来た。結論から言うと、鬼畜系である。「告白」とは、ちょっと色合いの違う後味の悪さだ。

主人公の元刑事を筆頭に、登場人物の殆どが狂ったクズ野郎で、劇薬エンタテインメントというキャッチコピーそのままである。クズがクズを傷つけて、クズがクズを犯して、クズがクズを殺す…。真人間な僕としては、観ていてムカムカしっ放しでしたよ。でも、登場するクズ野郎が、大抵、酷い目に合うか殺されてしまうので、妙な爽快感があった。勧善懲悪じゃないが、因果が巡ると気持ち良いもんだ。

あえて賛否両論を狙ったような過激さが、なんかこう、あざとくて鼻に付くんだけど、良くも悪くも、中島哲也監督のエグるような演出は、強烈である。急にアニメーションになったり、オシャレな音楽PVみたいになったり、極彩色ベタベタのCGを挟んだり、元CMディレクターらしい心象的で抽象的な映像演出は、正直、嫌いなんだよねェ。なのに、過激な展開に魅せられて、ドキドキするほど夢中になってしまった。

クズ野郎どもは、どいつもこいつも何かに渇いていて、それを癒すために、快楽を欲し、クスリを欲し、権力を欲し、血を欲しているんだけど、実は、なにより愛情を欲しているって感じなんだよなァ。グロい鬼畜系ではあるが、逆説的に愛情を描いていると言えなくもないような…。毒にも薬にもならない薄っぺら恋愛映画なんかより、このぐらい徹底した毒の方が、返って愛を知る薬になるのかも。
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