東京医療保健大学大学院での講義

2012-11-28 21:08:00 | 看護/医療全般
 東京医療保健大学大学院にケアマネジメント特論という科目があり、そこで2コマ(90分×2)で、「国際看護の動向からケアマネジメントを考える」というテーマで授業をした。坂本すが先生からお声をかけていただき、可能になった。
 
 前半は、1970年代ぐらいからの国際看護の議論の変遷をまとめ、特にこの10年の議論の動向、そして過去1、2年の収れんしているテーマについて説明した。このブログでもこれまでも紹介してきた内容も含まれている。

 1970年以降、欧米で始まった看護の政治的な動き(もちろんこれには社会経済的な背景があるのだが)は、国際的な議論のポイントを大きくシフトさせた。
 
 それが顕著になるのは1990年代で、看護実践や教育といった専門職問題に不可欠なものとして看護労働がクローズアップされ、それに伴い、制度管理(規制)の整備およびモニター、そして必要性に基づき修正するという議論が共通認識となった。

 そうした議論のシフトに伴い、根拠となる研究の視点も、実践や教育の改善によってよい看護職を生み出すというのではなく、いかに看護と看護職を強くすることにつながるのか、そしてそれが、いかにに医療全体の質と安全を向上させるのか、そのためにはどう社会に影響を与え、どのような社会政策を提案し実現させ、社会をよい方向に進めていけるのかにポイントが置かれるようになる。
 
 国際会議のシンポジウム、口頭演題、また査読つきの国際ジャーナルの論文のテーマを見ていると、研究の枠組みの頑強さだけでなく、著者らに上記の視点があることが必須であるという印象を持つ。つまり国際学会、ジャーナルでの採録を目指した場合に、外してはならないポイントである。

 受講した院生はみな、現場で活躍し、研究と実践をつなげることができる立場にいる優秀なモチベーションの非常に高い、社会人学生だ。16人で、人数的にもワークショップ形式の授業には最適である。質疑も活発、後半のグループワークも短い時間だったが、大きなテーマを適切に絞り、簡潔だが濃い内容の発表になった。私にとってもあっという間の大変有意義な印象に残る3時間であった。

 講義の後の実際のワーキングでは、冒頭で、environmental scan(環境精査)という周りの環境を概観する、ブレーンストーミングをで行った。現状の看護の諸問題に関係する政治経済社会状況に視点を絞っていくのに有効で、国際的なワークショップの導入部でよく使われる方法だ。

 写真は受講院生の松島さんが送ってくれた。松島さん、ありがとう。



 
 
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