ホイッスル・ブローイング(Whistle-blowing)

2013-02-12 23:49:44 | 看護/医療全般
  現在、メディカ出版の『産業看護』という隔月の専門ジャーナルに、「保健指導が変わる!実践・対人コミュニケーションスキル」を連載(全9回)している。隔月発行で、産業看護職を対象にした雑誌である。ちょうど、編集者の藤野さんに、最終回の原稿を出した。最後のテーマは「交渉する」。4月末に発行の予定である。前回までの連載では、企業内の保健面接の効果を高めるために、対人コミュニケーションの理論とスキルをどう活用するかをとりあげた。最後に「交渉」をテーマにしたのは、仕事の中で、予算の確保、他部門との調整など、本格的な交渉のスキルが不可欠になると考えたからだ。機会があれば、お読みいただきたい。



 さて、話は変わる。表題の訳は「(内部)告発、通報*」。今、女子柔道のナショナルチームの選手らが監督の体罰問題をJOCに直接、文書で訴えたことが話題になっている。
(2006年公益通報者保護法が施行されて、「通報」という表現が使われている。「告発」は密告に近くネガティブない印象が強いのだが、結果的に組織改善につながっている点から、「通報」が使われるようになっている。ここではそのまま、「ホイッスル・ブローイング」とする)

 whistle-blowing、あるいはwhistle-blowerという言葉で印象に残っているのは、10年前ぐらいのICN関連の資料だった。その後も、国際看護関係の英文資料には、頻度は多くないけれど出てくる。protection of whistle-blowers(通報者の保護)の必要性が指摘されていた。理由は、特に欧米では、医療の世界でホイッスル・ブローワーがナースであることがあるからである。現場で患者を一番ケアしているのはナースである。患者のアドボカシー、つまり患者の権利擁護と代弁のために行動し、その患者に対する不法/不適切な処置には是正を求めるという結果になっている。

 交渉は、正規のルートにおいて互いが交渉に入ることを合意して、win-winの解決を目指していく。交渉のセオリーの前提は、両者(3者以上のときもある)のPower(力)が対等であることになっている。力の差がありすぎる場合の交渉のルールは、ハーバードビジネスレビューにはない。

 正規の訴えのルートがない場合、あるいは、こちらの方が圧倒的に多いのだが、何度も声を上げても採りあげて精査してもらえないような状況(組織やシステムが強固で、圧倒的力がに大きい)のときは、最後の手段(a strategy of last resort)として、ホイッスル・ブローイングになる。

  医療の場におけるホイッスル・ブローイングとして、ナースと医師に関するの記述が、ICNのもの以外に、オーストラリアやアメリカからいくつか出ている。内容は一般的な場合にも共通するものになっている。次回は、その内容を紹介する。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 通訳マラソン | トップ | 海外の論文:看護/医療にお... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

看護/医療全般」カテゴリの最新記事