入院したときのこと

2013-01-29 11:24:18 | 看護/医療全般
  2か月間のブログdormantであった。

 12月初め、通訳繁忙期の最後に、手術で11日間、某私立医科大学の分院に入院しした。悪性でなかったのでホッとした。年内残りは自宅で静養。ただ、正月準備は無理のない程度にやって、家族でそろって楽しく過ごした。1月は、大学の授業の残りと、学期内に海外出張や入院で休講にした時間の補講を入れた。特に大東文化大学大学院の通訳プログラムでは、2コマ受け持っているので、集中訓練を、3日間行って、昨日、無事終了した。


 手術は生まれて初めてだった。だから全身麻酔も初体験。入院も出産のときだけで、病気では経験がない。10月終わりに要手術と主治医から告げられた時、病気に対する不安とともに、「なんで一年で一番忙しいこの時期に」という思いと、11月末まで入っている仕事を如何に支障なく終わらせて手術に臨むかと、いろいろな気持ちが交錯していた。術後、すべて終わって結果も聞いてホッとした。いろいろブログに書きたいこともあったのだが、少々疲れて、dormant状態に入ってしまった。

 今日は入院の時のことを書く。
 
 入院した病院では、健診でよく受診しているところだ。外来だけは慣れている。入院時、病棟に一歩、足を踏み入れるときには、遠い昔、看護学生で最初の臨床実習の初日の朝の時のように、ドキドキした。

 疼痛管理(Pain Control)と創傷ケア(WOC、Wound Care)、感染管理(Infectious Control)は、隔世の感があり、以前とは比べ物にならない進歩であった。

 術創については、抜糸不要の処理にカラヤヘッシブといわれるハイドロゲル創傷被覆・保護材を使っていた。術後3日間の点滴が抜けたらシャワーOKで、とにかく局所の清潔と循環を促し、回復は早かった。点滴は閉鎖式。だから院内感染の温床といわれた三方活栓はなく、側注(点滴のメインのルートの横から別の点滴をつないだり静脈注射を行うこと)もプラグで接続するので、感染やはずれる心配はない。
 
 術後の疼痛管理のために、術中に全身麻酔をかける前に硬膜外チューブを挿入し、硬膜外麻酔が継続された。これは確かに完全に痛みをブロックし、麻酔が覚めてからもまったく痛みがない。快適だったのだが、数時間経過した後から、悪心、嘔吐が始まり、ついには胆汁を吐き出した。副作用が効果を超えてしまい、耐え切れず、硬膜外チューブは抜管。ただ、その後も痛みはなく、頓服内服のロキソニンを使うこともなかった。もともと、私の嘔吐の閾値低いようで、体調変化があるときに吐いてしまう傾向があるのでそうしたことも関係するのだろうが、今回の硬膜外麻酔は、合わなかったようだ。

 気分の悪い時、ナースが背中をさすってくれる。本当にホッとする。ケアする手のぬくもりは、暗闇の中で頼りにする光であるというのは、経験して実感する。病院のナースのケアは、患者満足度を高める主要素だということは、このブログでも書いてきたし、海外の論文でも調査結果をもとに臨床ケアの質と安全の議論では必ず出てくる。

 それだけ価値の高いケアを提供している。今回の病棟ナースらのケアはよかった。この病院への受診をリピートしようと思ったのだが、退院の時、病院玄関に張ってある病院幹部の写真をみてがっかりした。看護部長が最後に置かれている。微笑んでいるが、他の写真に比べてちょっと自信なさそう。病院長の横は各診療科の部長(医師)がずっと並んで、その末尾に看護部長が来ているのだ。

 アメリカの病院見学の話を持ち出したくはないが、病院幹部の写真の撮り方は、明らかに差がある。やはり呈示の仕方が考えられているのだ。写真の顔の大きさと角度、影の作り方、服装(全員ダーク系のスーツでそろえる)も基準があるようで、どの人を見ても温和な中に威厳があって、この病院に任せておけば大丈夫という印象が伝わる。

 かたや一方、件の病院玄関の写真は医師は白衣に聴診器を首にかけた姿で胸から上の写真、看護部長はユニフォームを着ていて上半身がもう少し写っている、つまり写真の大きさは同じだが顔と身体全体が小さくなっている。自信なさそうに見えたのは角度をつけずに真正面から撮って顔の大きさが小さいことにあるようだ。写真の下には氏名と研究業績が記されている。でも、看護部長は名前だけ。

 患者が必要とする看護への配慮を増やすには、看護とナースの存在感を高めることが不可避だ。その必要性を説明して好ましいやり方を主張していくのは、ナースしかいない。英語でいうとinterventionになる。「介入」ということなのだが、「ちょっと待って、そのままではよくない。こうすべきだ」と自分の立場を主張する発言をすることだ。これは求めてしかるべきことだ。病院のケアの質でゆるぎない不可欠な要素が看護だからだ。具体的なケアの話はもちろん大事だが、病院玄関で患者を始め外部の人間が見る写真のありようについては、撮り方や掲示の順序など基準を決めるなり、今一度、見直した方がよいと思う。今回の入院で、そう思った。

  

 
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