看護部の武矢江美です。
今日は精巣精子回収術(TESE)についてお話ししたいと思います。
精巣精子回収術とは主に無精子症の患者様や極度の乏精子症の患者様の精巣から直接精子を回収する手術です。
少し前までは無精子症の患者様の場合、妊娠自体をあきらめざるを得なかった状況であったのですが、この手術の確立により多くの患者様に妊娠という希望を見出すことができるようになりました。
無精子症には精子自体は作られているが精子を運ぶ精管が詰まっていて精液中に排出されない閉塞性無精子症と精子自体の造成に問題がある非閉塞性無精子症があります。
閉塞性無精子症のイメージ図
どちらの無精子症の場合も精巣精子回収術の適応となります。
ただし閉塞性無精子症の場合の精子回収率は約95%ですが、非閉塞性の場合の回収率は約20~40%です。
多くの場合は顕微鏡を使ってより状態の良い精細管を選んで採取し、その細胞の中に精子がいるかどうかを確認します。
こうして得られた精子は凍結保存されたり、同時に採取した卵と顕微授精に用いられます。
当院ではこちらの手術を日帰り全身麻酔下で行っています。
手術時間は約1時間半~2時間。精子がすぐに見つかった場合はもう少し早いこともあります。
入院の必要がないため、お仕事の関係で何日もお休みを取ることができない患者様も手術を受けていただけます。
また、同一クリニック内で泌尿器科の医師と連携をとって治療を行っているため、ご主人の手術日が決定すればその日程に合わせて奥様の排卵を調整し採卵も行えることで、採取された新鮮な精子で顕微授精ができます。
採取された精子が非常に少ない場合、凍結によるダメージで融解しても使えない可能性もあるため、同日に採卵をして受精をさせることでより良い受精卵を作ることができるのです。
このように無精子症と診断された患者様も妊娠への扉が閉ざされるわけではありません。
私たちスタッフは多くの患者様に妊娠という目標に近づけるよう、状態に応じていろいろな情報を提供させていただきます。
治療をお受けになる中で様々な疑問や不安が浮かんでくることも多くあると思いますが、そのようなときにはいつでもお気軽に声をおかけください。
以下の画像は当院で精巣精子回収術を行っている様子です
手術用の顕微鏡を使って精子がありそうな精管を探します
採取した組織を培養士が処理して顕微鏡で精子を探すスタッフに引き継ぎます
培養室のスタッフは顕微鏡を使用し精子を探します
医師、看護師、胚培養士、臨床検査技師、全員が力を結集して行う手術です。
無精子症でお悩みの患者様に希望の光が見えることを願って行っています。
医師の診療のもと、利益やリスクなどお話させて頂き、手術されるか否かを決定して頂けるよう支援しています。
お悩みの方は是非、ご相談くださいね。
最新の画像もっと見る
最近の「看護部」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事