今年もあとわずか、年月が過ぎるのは早いですね。
さて、今回は「喫煙と不妊」についてお話ししたいと思います。
不妊の問題には様々な要因が考えられますが、たばことも密接な関連があることをご存じでしょうか
生活習慣における最大の妊娠へのリスク因子は喫煙といわれています
たばこを吸う女性は吸わない女性よりも排卵率が低下しており、不妊症治療においても成功率が低くなると言われています。
また、妊娠に至るまでの年数も、吸わない女性よりの3.4倍長くかかります
極端な例では、不妊に悩んでいた人が禁煙しただけで妊娠することが出来たという報告もあります。
喫煙すると、卵管末端で卵子をとらえる能力が低下し、卵巣の排卵機能も低下します。
体外受精の際にも喫煙女性から採取された卵は、非喫煙女性から採取された卵より受精率が低くなる傾向にあります。さらに、喫煙による子宮内膜血流低下から子宮性不妊症も発生し、着床しにくいことが報告されています。
妊婦の喫煙と流産の関係については、1日20本以上の喫煙によって流産リスクが1.7倍になるなどの報告があります。
また、胎児期に母親の喫煙に暴露された女性は、将来成人してからの不妊症発生率が高いという報告もあります
また、喫煙は多くの先天異常と関係しています。
例えば、脳のない新生児が生まれる「無脳症」は妊婦の喫煙によって発生しやすくなり、発生率は喫煙量と相関します。
同様に喫煙男子においても精液中にタバコ関連化合物が検出され、酸化によるDNA障害との関連が疑われています。喫煙をしている人はしていない人に比べ、精子の数は、10%~17%減少し精子の運動率を低下させ、また数を減少させるとも言われています。
喫煙者でなくともパートナーがタバコを吸えば、受動喫煙者となり、害は、喫煙者に比べてそれほど変わらないと言われています
卵子の染色体異常が、受動喫煙を受けていない非喫煙者では5.1%だったのに対し、受動喫煙を受けている非喫煙者はは13.0%と報告があります。
喫煙していても、何の問題もなく赤ちゃんを授かっているご夫婦もいらっしゃいます
おそらく、様々な背景と喫煙が関連し合って異常な状態を引き起こすのではないかと考えられます。
喫煙している人が皆、不妊症や流産を起こすわけではありませんが、正常な妊娠を妨げる大きな要因になっていることは確かなようです。
赤ちゃんが欲しいけど、なかなか授からないという場合には、健康のことも考え、禁煙してみたり、それが急には難しいようであれば、少しずつ節煙してみたりするのも有効的かと思います。
今できることをみつけ、少しずつ生活習慣に変化をつけてゆくのも必要なことかもしれません。
夫婦や周りの方々の協力を得ながら、一歩一歩前に進めていけたらいいですね
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