1月7日(土) 「ロスト・ケア」(葉真中顕著)
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奧に響く痛ましい叫び――悔い改めろ! 介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味……。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る! 全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
1月11日(水) 「貝に続く場所にて」(石沢麻依著)
第165回芥川賞受賞!第64回群像新人文学賞受賞のデビュー作。
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。
1月12日(木) 「君のクイズ」(小川哲著)
『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』。一作ごとに現代小説の到達点を更新し続ける著者の才気がほとばしる、唯一無二の<クイズ小説>が誕生しました。雑誌掲載時から共同通信や図書新聞の文芸時評等に取り上げられ、またSNSでも盛り上がりを見せる、話題沸騰の一冊です!
生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。
読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!
1月14日(土) 「この世の喜びよ」(井戸川射子著)
幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼び覚ましていく表題作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。
ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。
1月17日(火) 「書店主フィクリーのものあたり」(ガブリエル・セヴィン著)
再読
島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち――フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、すべての本を愛する人に贈る物語。
1月19日(木) 「戦火のバグダッド動物園を救え」(ローレンス・アンソニー著)
バグダッド陥落後、貧窮した市民たちが市の中心にある動物園を略奪しているという。南アフリカの自然保護活動家である著者は、何か役に立ちたいと単身イラクへ乗り込むが、そこで目にしたのは想像を絶する悲惨な光景だった。大半の動物は殺されて食べられ、ライオン、クマなど残された動物たちも、不衛生な檻で飢えと渇きのなかにいた。園内は戦火と略奪で破壊され,水を汲むバケツにいたるまで盗まれていた。混乱と危険のなか、知恵と機転で餌や物資を入手し、地元のスタッフやアメリカ軍と協力しながら、少しずつ動物園を立て直す著者。しかし、問題はどんどん増えるいっぽうだった…戦争に巻き込まれた罪なき動物たちを救うべく奮闘する著者の情熱があふれる感動のノンフィクション。
1月21日(土) 「野原」(ローベルト・ゼーターラー著)
朝日新聞 1/7 <死者の声が照射する我々の「生」>
悲しみとは、生の躍動――。人の尊厳に迫る、このうえなく静かな長篇小説。
ミリオンセラー『ある一生』で国際ブッカー賞候補となったオーストリアの作家が、小さな町の墓所に眠る死者たちが語る悲喜交々の人生に耳を傾ける。たゆまぬ愛、癒えない傷、夫婦の確執、労働の悦び、戦争、汚職、ならず者の悲哀……。失意に終わる人生のなかにも、一瞬の輝き、損なわれることのない人間の尊厳がある。胸を打つ物語。
1月23日(月) 「ある一生」(ローベルト・ゼーターラー著)
吹雪の白い静寂のなかに消えていった、あの光景。アルプスの山とともに生きた、名もなき男の生涯。雪山で遭難したヤギ飼いとの邂逅に導かれるように、20世紀の時代の荒波にもまれながら、誰に知られるともなく生きたある男の生涯。その人生を織りなす、瞬くような忘れがたき時間が、なぜこんなにも胸に迫るのだろう。80万部を超えるベストセラー、英語圏でも絶賛! 現代オーストリア文学の名手が紡ぐ恩寵に満ちた物語。
1月24日(火) 「この父ありて 娘たちの歳月」(梯久美子著)
朝日新聞 12/10 <愛憎からの出会い直しを丁寧に>
石牟礼道子、茨木のり子、島尾ミホ、田辺聖子、辺見じゅん……。
不朽の名作を生んだ9人の女性作家たち。唯一無二の父娘(おやこ)関係が生んだ、彼女たちの強く、しなやかな生涯。
『狂うひと』『原民喜』『サガレン』など、話題作を発表し続けるノンフィクション作家が紡ぐ、豊穣たる父娘の物語(ナイン・ストーリーズ)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます