9月10日(木) 「村上海賊の娘」 (和田 竜著)
『のぼうの城』から六年。四年間をこの一作だけに注ぎ込んだ、ケタ違いの著者最高傑作! 和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。折しも、娘の景は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる! 第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。
「のぼうの城」同様、今作も村上海賊が主人公とマニアックな観点で、村上武吉の娘、景が大の大人の男と対等に渡り合う姿が魅力的。登場人物は多いが、敵方も含め一人ひとりが個性的で、場面の転換もリズムよく、するすると読める作品となっている。こんな内容の記事を読んでいたからか興味深く読んだ。本の表紙を見ると、何故か内容も漫画チックな感じもする。
9月13日(日) 「水無川」(小杉 健治著)
<私が読んだ同じ集英社文庫ですが表紙が異なる>
子ども虐待。犯罪被害者…。社会派の書き下ろし。担任した児童が親の虐待で死亡し、教師を辞めた真壁。恋人の夏美は娘への暴力を止められず苦しんでいる。一方、夏美の隣人・野口はかつて…。親と子の深淵と再生を描く渾身作!(解説・小梛治宣)
本書の主題が「児童虐待」にあるのではないか、と当然思い込んでしまう。たしかに、「児童虐待」は本書の横糸ではある。だが縦糸にはもう一つの、そしてもっと激烈な「物語」が隠されていたのだ。(小梛治宣の解説より)
野口が小説の一登場人物の域を超えて、実存としての私の(そしておそらく読者の)心を占拠してしまった今、この結末しか有り得ないのではないか。私にはそう思えるのである。(小梛治宣の解説より)
9月17日(木) 「贖罪」(小杉 健治著)
河川敷の車から、男の死体が発見される。練炭自殺かと思われたが、不審な点があり、男と関係のあった銀座ホステス美奈子に容疑がかかる。弁護人の鶴見が調査を開始すると、彼女の周りで数名の男が死んでいる事が判明した。疑惑をもつ鶴見だったが、ある団体と美奈子の繋がりが浮かび…。悪女か、聖女か?魔性に翻弄されながらも真実を求めて闘う弁護士。長編ミステリー。渾身の書き下ろし。
京介は、最後には弁護人の解任という形で美奈子から拒絶されながらも、美奈子のアリバイを証明するために奔走する。果たして、美奈子が自らを犠牲にしても隠そうとしていた「真実」とは何だったのか。その背景には、自殺者が年間三万人にものぼるという「事実」があった。それが本作の根っことも言える。(小梛治宣の解説より)
9月17日(木) 「鎮魂」(小杉 健治著)
森塚翔太は、包丁で隣人を刺殺し、現行犯逮捕された。だが、凶器は被害者が持ってきたと主張し、殺意を否認。担当弁護士の鶴見は、接見のたびに供述を二転三転する森塚に不審を抱く。さらに森塚のDVから逃げている女性の存在が明らかになり…。阪神淡路大震災から20年の時を経て明らかになる驚愕の真実!償いとは何かを、犠牲者たちへの祈りを込めて描く、号泣ミステリー。書き下ろし。
この作家の本はかなり読んでますが、タイトルと内容が混乱する。タイトルで内容も思い出せないでいる?!
10月8日(木) 「第二図書係補佐」(又吉 直樹著)
僕の役割は本の解説や批評ではありません。自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。(まえがきより)。
お笑い界きっての本読みピース又吉が尾崎放哉、太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴る、胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収載。
一つ一つの作品に対して全く関係のない話から始まり、読み進んでいって繋がる。何とも不思議な魅力がある本である。
10月17日(土) 「日本のいちばん長い日」(半藤 一利著)
<本の表紙は文庫版>
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。
映画化されたので先ず原作を読んでおこうと思った。映画も見たくなった。
10月28(水) 「春風伝」(葉室 麟著)
<読んだのは単行本>
長州藩士・高杉晋作。本名・春風。攘夷か開国か。国論二分する幕末に、上海に渡った晋作は、欧米列強に蹂躙される民衆の姿を目の当りにし、「革命」に思い至る。激しい気性ゆえに脱藩、蟄居、閉門を繰返しながらも常に最前線で藩の窮地を救ってきた男は、日本の未来を見据え遂に幕府に挑む。己を信じ激動の時代を駆け抜けた二十八年の濃密な生涯を壮大なスケールで描く本格歴史小説。
葉室麟の作品は裏切らないし凄い。高杉晋作がらみで「世に棲む日日」(司馬遼太郎著)を読んでいるが、その次は葉室鱗の「冬姫」の予定です。
10月31(土) 「天に星 地に花」(帚木 蓬生著)
久留米藩領井上村。大庄屋高松家の総領・甚八と弟の庄十郎は父に連れられ、数千と集まる百姓たちの姿を目の当たりにする。突然下った年貢の増徴と夫役。百姓たちの怒りに火がついたのだ。天地を揺るがすような一揆寸前、稲次因幡家老が百姓救済を申し出て、一揆は回避されるが―。時が経ち、甚八は家督を継ぎ、庄十郎は自らの病をきっかけに医師の道を志す。黄金色に輝く稲穂、田植え唄、雨乞い、火祭。筑後平野に息づく、さまざまな人生の哀歓を描きつくす感動長編。
何気なく図書館で見つけた作品でしたが感動的な作品に満足。「日御子」も凄かったが、好きな作家の一人です。
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