On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

2-48

2010-01-07 21:22:21 | OnTheRoad第2章
サトウさんは、帰った子たちが使った湯飲みを1つずつ台所に運んでいた。ショーケースにいっぱい並んでいたこだいふくは、1山はなくなり残りも数えるほどになっている。

閉店時間まであと30分あるのに、こだいふくばかりでなく他の和菓子もだいぶ少なくなっていた。高校生たちはもの珍しそうにサトウさんが作った和菓子を見て、「オジサンが作ったんすか?」とか「この店って今日開店ですか?」と聞いていた。

最後のこだいふく1袋は、さっき僕が呼び込んだ茶色いマフラーの女の子が買って帰った。うっすらと化粧もしている女の子は「こう見えても茶道部だから」と言った。入部の動機は甘いものが好きだからだそうだ。

甘いものが好きな茶道部の女の子が帰ったあと、サトウさんと僕は看板の灯りを消して湯飲みを洗ってからお茶を入れて、最後まで飾ってあった紅白の大福を1つずつ食べた。甘いものが好きだといった女の子の気持ちがわかる気がした。和菓子にはたしかにお茶が合う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。