On The Road

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2010-01-06 21:15:43 | OnTheRoad第2章
次のバスがとまって、クレープを持った女の子がおりてきた。メガネの男子がなぜかうれしそうな顔で続く。僕はこだいふくを差し出しながら「お疲れ様、今日はいいことありましたか?」とさっきより大きな声を出した。
メガネ男子は「推薦で大学受かったんです。ダメ大学だけど」と笑って答えた。「3つ下ったところの大学です」
僕の母校だ。「キミは後輩だよ。お茶でも飲んでいってよ」と僕はガラス戸をあけた。
マミちゃんたちはこだいふくを1袋ずつ持って「オジサン、またね」と店を出ていった。サトウさんはニコニコして女の子たちを見送った。

僕の後輩になる男子の後で、小柄なセーラー服の女の子もなでしこに入ってくれた。部活帰りの高校生とときどきすれちがうけど、こだいふくを受け取るとその場で食べてしまう子が多い。
僕は中学生のときは部活に入らなかった。中学の部活はスポーツ系か吹奏楽しかなくて、やりたいことがなかったからだ。
高校では同じ中学だった友達に誘われて陸上部に入ったものの、3年間続けても大会で入賞したことは一度もない。でも、部活のあとの空腹感はわかるから、中学生がこだいふくを1口で平らげてしまうのはいやじゃなかった。


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