第7話-17

　ＪＲの駅からはかなり外れた街道沿いの大型パチンコ店に、黒いリムジンが駐まったのは、平日の朝９時半だった。開店待ちをするため、釣り用の折り畳み椅子を持った１０人の男達は、パチンコ店のドア前に並び手際よく椅子を広げて座った。２人の男が　ジュースの販売機に行って、１０本の飲み物を買ってきた。
　男達は楽しそうに話すでもなく、手帳やパチンコ雑誌を見つめている。

　店内清掃をしていた若い店員が店長に連絡した。２階の事務所から外を見た店長は、「集団で詐欺行為をする恐れあり。奴等の挙動には十分注意するように」と店員に指示し、朝礼で全員に伝えようと決めた。

　オフでジーンズを見に行く途中、青山は黒いリムジンと開店前のパチンコ店に並ぶスーツの男達を見掛けた。また、なんか悪さをするつもりかもと思い、青山はバイクを駐めた。「青山です。パチンコ店マンカイにザイトが来ているようです。骸骨じゃなくて普通のスーツだけど、あのリムジンが駐まってます。買い物の前にちょっと覗いてみます」
　青山は黄に連絡した。村崎は今日は市外の公園に清掃に行っている。
　「わかったヨ。なんかあったら駆け付けるから、すぐ電話して」
　黄が答えた。ザイトがどんな悪巧みをしているのかは分からないけど、県民の安全は必ず守る。青山は拳を握り締めた。