第7話-10

　「社長、お言葉ですが、パチンコでヒーローが打ちのめされるということはプレイヤーの負けを意味します。ここは攻略法を学んで、下らない台を作ったメーカーに大損させて台を撤去させるのが一番かと思いますが」
　部長のいない間に一挙に汚名挽回とばかりに、高槻は言った。「インターネット上では、様々な攻略法が流れています。私と課員の中田で必勝法を必ず見つけ出します。それまで、討ち入りはお待ち下さい」

　たかがパチンコの中とはいえ、レンジャーズに負けるのはいけ好かない。しかし、ＣＲシックスレンジャーズの台をどこのパチンコ店も置かなくなり、レンジャーズの人気が下がるのに越したことはない。

　「完全な攻略法が見つかれば、ネットで高値で売れます。売り抜けてから台を撤去させれば、我が社に大きな利益をもたらすことにもなります」

　収益が上がるという高槻の発言に、社長はひどく心を動かされた。
　「パチンコが得意で、我が社に絶対的な忠誠を誓える社員だけを、乗り込ませよう。誓約書を取り付けた上でだ。
　君は、情報戦略部の？」

　「部長の代理で参りました。情報課長の高槻です」
　「こんな大事な時に、部長は何をしてるんだ」
　「新たな戦略を練るために社外の人と会っています」
　本当は息子とナイターです。高槻はこっそり呟いた。