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On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

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2010-01-12 21:06:25 | OnTheRoad第3章
 サトウさんにしかできないことがある。アネキはイラスト、お母さんは料理が得意だ。僕に何ができるのかはまだわからない。本当は大学を出るまでに見つけなければいけなかったのかもしれない。「25にもなって、やっと働くのが面白くなってきたんだ」と言うのはスズキさんにキスしていい?と聞いたときより勇気が必要だった。

 「男には勝負に出なきゃいけないときがあるんだ」と言ってから「いい息子がいてオレは幸せだー」とお父さんが叫んだ。住宅街で大声を出すのはどうかと思うし、お父さんは酔うほど飲んでない。わかってるけど僕はうれしかった。
 「お父さんが大きな声を出したのもお母さんには内緒だぞ」と言われて、お父さんと2人だけの秘密が2つになったと気付いた。

 「ユカの結婚は早いと思ったけど、立派に母親をやってるようだな」とポケットの中を探りながらお父さんが言って、タバコを探してるんだと僕は思った。でも、「タバコ、また吸えば?」と聞いてみたら、お父さんはちょっとバツが悪そうにポケットに深く手を突っ込んだ。「家では吸わない。リコンされたら困る」


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