が、だからと言ってそれ以上のものでもなし。
ストーリーは、これは制作側はよく考えて設定しているのだろう、そうなると逆に見せられる方はそれについて行くのが難しい。こうなったきっかけがちょっとだけ説明されるけれども、同時に映像の無い大昔の言い伝えと映像のある伝説が混入していて時間の奥行きが掴みにくい。
主人公が何をどうして一人だけこんな考え方をするに至ったのか、その、有る意味予定調和的な優等生人格と能力に大きな違和感を持たざるを得ない。もちろん主人公であるからある程度どんな映画作品でもそうではあるから、そのあたりを批判すると叱られてしまうかとも思うが。
テーマ的にはまあ、無いとは言えないものだろう。
特に最近は多くの人が都市生活者であると言って良いほどに便利な生活をしている。そうした状況は人を何も考えなくて良い状況に置く。と言うより、人は望んで何も考えず何も苦労せずに生きるに必要なものを手に入れる、つまり身体の省エネルギー状態を望むものなのである。こうした状態がメジャーになればどうしても反作用的にアンチを訴える者が出てくる。人が置き忘れてきた何々がどうのこうの…という例のアレだ。
それにしても、便利な中で生活し始めた人間はその便利さの源泉が何から来ているか、そうした事に見向きもしない。であるからたまにはこんな作品を見せて思い出させようと言うのは全く悪い事とも言えない。ただ、アンチを訴え、自然の猛威との共存を訴えたにせよそこに何らかの解決策があるのか、と言えば否、である。
勇気を持って戦い、犠牲を少ないままに猛威を反らせたにせよ、実際に必要な解決策が示されるわけではない。学校の壁に自然を大切にと標語を書いて貼る。そこまでである。誰も反論できない美しいスローガン、なのだ。消化不良である。残念ながら。
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