それで今回は「鈴木家の嘘」を選んでみた。英語での題名はLying to Mom (お母さんへの嘘) 。
いろいろある中でこれを選んだのは、他の作品がどうも若い人向けばかりだったので年長者も楽しめそうなものにしたかったから。それにこの鈴木家、映画のなんとか賞をたくさん取っていると書いてあったし。
それで、どうだったかと言うと、メタ情報読みなさいてんこ盛り作品だった。簡単に言うと、行間を読みまくれって事になっている。本当にこれ、現代人が読める作品なのか? よほど小説読んでいる人なんかでないとわからないんじゃないかな?
だって、要点になるようなポイントが全く説明されていない。シリアス作品にしたらエラいカッコ良いものになっていたかも知れないが、コメディタッチで包んでしまっているから全くもって読むのが難しくなっている。
長男っが自殺した原因、引きこもりの原因、お父さんが何やってた(定年?)人か、妹はトレーニングしかしてないが大学生?、近所の人とはどんな関係?、その他登場人物についてもほとんど詳しくは紹介されないし、自殺した兄はどんな本をあれだけ読んでいてそこに彼のどんな考え方が反映されていたのかなど、結局最後まで何の問題解決も提言も無し。
つまり観ていてわからない。わからないって所にポイントがあって、つまりメタの所が読まなきゃいけないテーマ的な事になっているらしいと脳みそをちょっと引いた視点に置いて気付く。
それで、ただわかるのはほとんどの人が良い人で愛情深いと言う事のみ。
結局のところ、これって、今の日本の現状そのものじゃないの!って事。毎年3万人近く自殺していて、引きこもりの人もたくさんいて、皆それを認識しているのに何もできず見ているしかない。原因はきっとその周囲にいた自分個人にあると自分を責める。つまり個人の問題として認識されて社会としてはそこから一歩も進まないまま。
解決策は生き残った家族と個人がその出来事を自分なりに解釈して納得する事しかない。妹は自助サークルに入る。父は少ないヒントを基に歩き廻る。母の妹はもう気持ちを切り替えて次へ行くしかないと言う。記憶の戻った母はそれは自分のせいだと考え、妹も自分の言葉が原因だったと考える。父も子への接し方がいけなかったと解釈。
日本中の誰も手も足も出ず。...それが現状。家族に愛があって解決する事でもなし、誰もアドバイスできるでもなし、と。採りようによっては痛烈な社会批判の社会派映画なのだけど、この作りからすると誰もそうはとらないと思う。
ちゃんと考えるなら、これ、鈴木家だけにやらせて家族に愛があって、お兄ちゃん死んじゃったけど仕方ないね、チャンチャン、にしといたらダメだろ日本!て映画のはず。家族の在り方とかそんなのじゃダメだったんだから。
数年経たないうちに「裏 鈴木家の嘘」作って欲しいな。
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