輸出するにはいろいろ面倒な事があるようで、まず困るのが箱だ。木箱の場合、ISPN No.15と言う規定に沿って処理された木を使った箱か、1層が6mm以下の合板などの絶対に虫がいない材料を使ったものでなければいけないそうだ。
これは以前から分かっていたことで、エンジニアからあるサプライヤに用意できるか聞いていたが、出来てきた箱が普通の木箱で防虫処理もしていないものだった。もともと合板で作れば良いのだから買ってきて社内で作れば良いと言っていたのになぜかこうなった。で、仕方ないのですぐに板を買ってくるように言うが、購買任せだったり、購入経験が無いとかつまらない事で手間取っている。
仕方ないので隣の家具工場にお願いして大判のチップボードを2枚いただいてきた。合板でないのでちょっと弱いかもしれないが、補強すればどうにかなるだろう。と言うわけで、作業員の今日の仕事は箱を完成させるだけになった。他の事は何もしなくてOK。
なぜなら、また明日から通常の仕事に戻ることになっていて箱なんか作っている暇はないのだ。
マレーシア的にはエンジニアもテクニシャンも、たぶん多くのスタッフは会社の目的意識とか危機感とかを共有しないらしい。もし今日、箱を作らなかったらもうこんなに贅沢に作業員を使ってやることなんて絶対できなくて、もしかしたら彼ら自身でノコギリとか金槌を持ってやらなければならないのに。
また、輸出すると言うような通常と違う仕事をするときに何か調べるとか、特別な何かを用意するみたいな事、つまりやった事がない仕事と言うのは、これに限らずほとんど不可能だったりする。特にマレーシアでサラリーマンを職業に選ぶような人はこの傾向が顕著だ。
ところで、ニュースによればマレーシアの労働者の過半数が外国人になった(ここ)と書いてあった。うちの工場について言えば、過半数どころか大半が外国から来た人になっている。スタッフを合わせてもたぶん80%位は外国人だと思う。かれらはもちろんマレーシアの最低賃金で働いている。つまり、安く生産しようと思うと、もうマレーシア人は雇えなくて、外国人を連れてくる以外に方法は無いと言うこと。
今はスーパーマーケットでもレストランでもみんな外国人が働いている。前にも書いたけれど、台湾スナックのチェーン店で料理や給仕しているのはバングラデシュ人あたりだったりして、平気なの?、本当に台湾の料理が出てくるのかと疑ってしまうほど。(大丈夫だけれど) 今のマレーシアは本当にそんな感じなのだ。労働のウィンブルドン現象と呼んでも良さそうだ。
そう言う中で、それを管理することになるマレーシア人、それがこんな状態なのだから生産的に仕事を動かすのはかなりやっかいだ。かなり有名な会社でも普通の事務仕事すら満足に出来ないのを知っているのでなんと言って良いのか....と言う感じだ。
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