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もんく [とある南端港街の住人になった人]

ここはアーミーじゃない

日本にはマネジメントと言うのが無いが、
マレーシアにはあるらしい。

あるか?無いか?と言うと、確かにあるかもしれない。
が、完全に100%、コンプリートリー勘違いしている。


それは何故か?
マレーシアのマネジメントは、
単に”命令する”と言う事に過ぎないからだ。

上から言われたら有無を言わさず、理由もクソも無く、
それをやれ、と言う事だ。
これをマネジメントと言うのか?、と言われれば、
確かに軍隊などではそうして皆さん動くわけだから
マネジメントでは無いとも言えない。


マレーシアでは人の上に立つと言うのは命令する身分になる
それ以外の何物でもない。
他の意味は全くない。

なので皆そうする。


土曜日の朝、朝礼をする。
現場の管理者、彼は元は作業員だった事があるので
言わば”叩き上げ”と言って良い人だ。
彼がその朝礼でよく言う事は、
「トイレなど、喫煙所以外でタバコを吸うな!」だ。

言うとしばらくは効果がある。
しかし1か月、2か月するうちにまた同じ事を言わなければいけない。
「喫煙所以外でタバコを吸うな!」


彼は正しい事を叫んでいる。
彼ばかりでなく、常に部下を持つ上司と言う身分の人間はそうする。
正しい事を言う。
大きな声で命令する。
また同じ事が起きるとまた叫ぶ。

マレーシアではこれ以外にマネジメントは無いと言って良い。


が、それでダメなものはダメだ。

誰も文句言わない正しい事を大きな声で叫ぶ。
その事自体に飽きるべきなのだ。
ダメなものはダメなのだから。

言われた時は良い。
次第に見ていないところで同じ事をする。
言われないと仕事をしなくなる。
問題が影にどんどん隠される。

正しい事を言う自体が影を濃くしてしまう。

ここで見ているからこの鉄砲を持って敵に向かって走れ。
戻ってくるやつ、止まるやつは後ろから銃殺だ。



現場管理人には
「ここはアーミーじゃない」と教える。
君にお願いしているのは命令”コマンド”ではなく、
”アレンジ”なのだと。
君は命令係でなく、サポートする人間なのだ。
だから組織図上で彼らの上にいるのではなく、
下から支える立場なのだ。

と言っても、これは文化に立ち向かうようなもので
なかなか治らないのである。
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