この正月は静かだったけれど、年が明けてみるともう街は中国暦の新年の準備に入っている。2011年の明けはまるでそれが予行練習であったかのようだ。日曜市もいつもより少し多くの店が出ていた。日用品や食品以外に正月用品を売っている。お飾り、みかん、贈り物類、中国語の新年の歌のCDまで売られている。スーパーマーケットでは例によってティッシュボックスやコピー用紙の包み紙まで真っ赤に変わった。いつもドリアンを売る屋台がミカン屋さんに変身している。マレーシアの本当の新年はこれからだ。

他の民族の新年に比べて、中国暦の新年は物の消費が特に多いように見える。
特に他と違うのはお飾りが多いことだ。提灯、造花、壁や天井から吊るすらしき日本人には何かよくわからないものが山ほど売られる。ほとんどが真っ赤でそこに金色の装飾が施されている。多分使い捨てにされるであろうお飾りは紙やプラスチックでできている。
大昔はそうした量産品は無かったのだろうけれども今は何でもそうしたものが手に入る。伝統を重んじる中国人にとっても材質へのこだわり、伝統的手法へのこだわりは無いのだろう。そうして今は中国で作られた大量のプラスチック製の伝統的お飾りが市場を占領している。
試しに2リンギットのプラスチック・ウサギ、グミ入りを買ってみた。はるばる中国から傷だらけの顔になって到着したウサギだ。イチゴ味のグミが入っていると書いてあるのに中身はパイナップル味だった。パイナップルも(形が)おめでたいので許されるはずだ。

日曜市にインド人家族が来ていた。おじさん、おばさんと中学生位の息子さん。
インド人のおじさんは買い物袋から1mほどのラタンを1本飛び出させている。
キャサリンさんが聞く。これは何ですか? これはね、子供がいたずらした時などにペンペンと叩くものだよ。えっ、これで叩いちゃうの? そうそう、いたずらしたら厳しくしないとね。じゃあ、君も(中学生を指して)たたかれちゃううの? おじさんが遮って言う。いやいやこれは私の息子だから.....
(あれっ? じゃあどの子を叩くつもりなんだろう?)