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もんく [とある南端港街の住人になった人]

うちは猫飼ってない、けど預かっている

夕刻、昼寝から起きたつぶあんと散歩に出た。

トコトコ、トコトコ。
警備員のスーパーバイザーのA氏がカブに乗ってゆっくり近付いて来て言った。
もっと良い猫飼わないの?
毛の長いのとか。

加えて、
その猫はクチン・カンプンだね。
などと言う。

クチン・カンプン…直訳すると
村の猫、田舎の猫、つまり雑種みたいな意味だ。


別にそれで怒るわけじゃない。
だってうちの2匹はもともと前住んでいた隣の家に来た
野良猫の子供たちなのだから、単なる雑種に間違いはない。

それにここはこの地域でも高級住宅地なのだ。
近所のアニマル・クリニックに行くと
彼の言う毛の長い、要はペルシャ猫系猫がたくさん来ている。
うちみたいにどこにでもいそうな猫を連れてくる人は稀。


だからと言って別に引け目を感じる事は全くない。

他の家ではきっとペット・ショップで高いお金を出して買ったのだと思う。
そりゃ、お金出せばいくらでも血統の良い、見た目の良い猫は買える。
それはそれで良い。

でも、残念だけれど、うちの雑種猫たちの方がずっとかわいい。
それは他人には全然わからない。
わからないに決まっている。
だってうちの猫たちは特別なのだ。

見た目の事じゃなく、
うちの猫たちは前にいたポコと言う母猫からの預かりものだって事。
引越しの時に不幸にも近所の猫に追われてポコは行方不明になってしまった。
今いるつぶあん、きなこは母とは一緒に行けず残されてしまった。
生後半年位でようやくオッパイから離れたところで
それまで一緒に暮らしていたおばあちゃんの黒、母のポコとも
結局離れる事になり、半野生だったところから
こうして人間にごはんをもらわなければ生きられないようになってしまったのだ。

と言うか、してしまったと言う方が正しい。

なので、彼らは大切なポコからの預かりものなのだ。
知らない人からは猫を飼っていると思われているはずだけれど、
飼っているのではなくて、
預かっているのだし、一緒に生活している。


だからもっと良い猫を飼ったら、と言われても
いろいろな意味でその指摘は間違っている。
うちは猫、飼ってない。


(なぜか今日も偶然写真と記事の内容がちょっと合っている。)
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