陽水の"招待状のないショー″というアルバムがある。
このアルバムのリリースは、1976年3月25日で単純計算すると私がまだ18歳の高校生の時である。 この頃を思い返してみると、高校生だった私は毎日毎日、好きな音楽ばかり聴いて勉強もろくにせず遊んでばかりの生活だったように思います。けど、グレテいたわけでなく、言わば音楽好きのオタクという風情でした。結果ご多分に漏れず学校の成績も低空飛行の墜落危機状態と、本当に情けない有様でした。音楽の他は、あまり興味がわかなかったので生活力やコミュニケーション力を身に着けるいろんな場面での体験が少なかったように思います。
好きな子がいても、なかなか声もかけられず遠くで見ているようなタイプでした。 そんな中でこのアルバムを聴いたのですが、それまで聴いていたアルバムとは、何か違う感じがしました。上手く説明できないけど、明らかに違ったものが心に入ってきました。 それはこのアルバムが持っている風だと思います。 抽象的ですみませんが、アルバムにはそれぞれ風があるように感じます。強風、ハリケーン、竜巻の風、弱い風、そよ風、野原の風、穏やかな春の日差しの中の風、、などなど色々です。
私はこのアルバムを聴いて、ハーブの香りの風を感じました。そして今まで聴いてたアルバムの風とは明らかに違う風が感じられました。それが前向きな風です。今まで聴いてたアルバムが後ろ向きという訳ではないけど、私を前向きに変える風が、しかも爽やかな風が私の心の中いっぱいに満たすのを実感しました。 そのようなアルバムはこの65年間の音楽人生で色々なアルバムをきいていますが、ほとんどありません。強いて言えば、同じにおいのする風をもったアルバムがもう一枚だけありました。それは、吉田拓郎の”明日に向かって走れ”です。 このアルバムは、全く同じ風を持っていて、同じ味のするアルバムです。不思議な感情ですが、このアルバム2枚が、今まで聴いたアルバムの中で、自分にとっては強烈な風を感じた2枚のアルバムです。
高校生の私は、このアルバムを聴いて少しだけ変化したのです。
少しだけ、前向きになれたのです。これも音楽の力です。
具体的には、いままでの自分は、音楽を聴くだけでしたが、このアルバムを聴いて、自分もギターを弾いて、好きな人の前で歌いたい、歌うことが出来たら素晴らしいなどと、やっと思うようになったのです。青臭い話ですみません。
オタクの自分が、好きな人の前でギターを弾いて歌いたいと思わせたこのアルバムの風のエネルギーに感謝したいです。
アルバムのタイトル曲、、招待状のないショーと、、Summer,,の2曲が特に私に風をくれました。
誰一人見てない
僕だけのこのショー
好きな歌を
思いのままに
声よ 夜の空に
星に届くように 声よ
変わらぬ言葉とこの胸が
遥かな君のもとへ 届くように
何も言わない貝殻に 思い出なんて喋れない
また来る夏のどこかで 優しい人に会いたい
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