
亀戸餃子
亀戸駅前の「亀戸餃子」といえば、十数年前からマスコミでも‘しばしば’採り上げられている。餃子しかない。アルコール類を除くと、白い飯もない。徹底している。
一人前が5個で250也。座ると黙って二皿(二人前)が出てくる。追加は一皿単位だ。“百聞は一見に如かず”・・入ってみた。近所のオバチャンが、買い物籠をぶら下げて入るような雰囲気の店だ。
結論からいうと、不味くもないがウマクもない。ただ焼き方は上手だ。正式には「亀戸名物・亀戸餃子本店」という。「本店」というからには支店がある。両国と錦糸町にあるらしい。
自分で「亀戸名物」とは、些(いささか)かド厚かましい気もする。
70歳代と思しき皺クチャ爺さんが、焼いている。これがやたら元気で威勢がよい。隣に50歳代らしい娘?が立ち、客の世話をしていた。
二人は口喧嘩をしながら、仕事の手だけは休めない。掛け合い万歳のようだ。
昼を大分廻っていたので、店内は空いていた。隅に座っているサラリーマン風の若い男性は、十皿を平らげ店を出ていった。続いて、こちらも出た。
「マイド、アリアトア~ス!」親爺が叫んだ。
「マイド」と「アリアトア~ス」の間の一瞬の間(ま)は絶妙だ。老爺の声はボーイソプラノのように甲高く、まるで鳥の声のようだ。
そりゃあそうだろう。
亀だけに“鶴の一声” なのだ。
06.06.10