こんな夢をみた。
「なんか変な感じだよね?誰もいない教室って」
夕焼けのオレンジ色に染まった教室で山田が呟いた。
委員会が長引き、カバンを取りに戻った教室には誰もいなく、僕と山田は帰り支度をしていた時だった。
「昼間が騒がしいから、そのギャップだべさ?」
気の利いたことも言えず、僕は視線を外に向ける。
窓の向こうには、闇に包まれ始めたタマネギ畑が延々と続いているだけだった。
「……したっけ、こんな事って、あんまりないと思うのよね」
考え込むような仕草で山田は言った。
「何さ?」
「何さって……放課後。二人っきりの教室。若い男女?」
ちょっとドキッとした。
「いま、ドキッとしたでしょうw?」
山田が面白そうにクスクス笑う。
「……してねーべさ!……なぁ、冗談もそこいらへんにして、もう帰るべし。早く出ないとバスが1時間に一本になるって」
「え〜?このシチュエーションを、もっと有効利用しようと思わないわけ?ありえないっしょ?」
たしかに有効利用したいシチュエーションだし、密かに山田が思い人である僕にとっては、ありがたいエロゲ的展開だ。
だけどそれを利用できる度胸があったとしたならば、彼女への告白なんかは、遙かなる前に済ましているはずだ。
結局のところ、僕にはそんな度胸はない。
「あのなぁ〜、見回りの先生も来るだろうし、帰ろうや?」
本心とは全く正反対の言葉を口にして、僕は教室を出ていこうとした。
「よっしゃ!!これでどうや!?」
彼女はそう言うとセーラー服のスカーフを抜き取り、僕に向かってホレホレと片手で吊り下げて見せた。
「……これ何てエロゲ?」
僕はそう言って彼女に近づいていった。
そんな僕を優しい眼差しで見ながら、山田は一言。
「それは試してからのお楽しみ……」
僕「とりあえずスカーフは元に戻して」
山田「マニアかよ!」
僕「どんなマニアだよ!!」
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