2022年末現在、日本にいる在留外国人は307万人余りで、前年末比約31万人(11.4%)増加して過去最高を更新し、初めて300万人を超えています。国籍・地域数は195にも及び、人数の多いトップ10は、中国・ベトナム・韓国・フィリピン・ブラジル・ネパール・インドネシア・米国・台湾・タイです。昨今は普通に、街中の飲食店やコンビニ、大学キャンパス等で彼らと出会います。
このブログはブラジルについてです。2023年2月に、人口1,200万人を超えるブラジル最大の都市で経済の中心であるサンパウロ(写真①参照)の観光スポットの一つ、「日本人街」(写真②参照、最近は日系人が減り中国系が増えて東洋人街と呼ばれています)にある「ブラジル日本移民史料館」を訪れてきました。
写真①:活気あふれるサンパウロ市内(左) 写真②:日本人街。日本庭園は閉鎖されていました(右)
写真③:国策として進められた移民(左) 写真④:全国各地から24万人超がブラジルへ移民した(右)
1908年(明治41年)から1984年(昭和59年)の間に243,840人の日本人がブラジルに移住をしました(写真③と④参照)。特に1908年から1941年(昭和16年)までの間に18万8千人が海を渡りその大半が農民で、コーヒー農園等で雇われました。厳しい労働条件やポルトガル語の壁、貧困や差別等の逆境を乗り越え、その後のブラジル発展に貢献してきた彼らの歴史を知り、今や懐かしい日本精神である“大和魂”に感銘を受けました(下記参考1と2参照)。
そして現在、ブラジルの政治、経済、学術、文化、医療等の広い分野で活躍している日系人は、移民1世から6世まで約200万人と海外最大の日系社会を構成しています。(※サンパウロ空港から市内中心部のホテルまで乗ったタクシーの運転手は日系3世で、カタコトの日本語で会話をしました。)
1990年(平成2年)に日本の「出入国管理及び難民認定法」が改正され、3世までの海外日系人とその配偶者が「定住者ビザ」を得られるようになり、ブラジルからも来日して働く日系人が激増しました(※定住者ビザは期間限定で“出稼ぎ”的な許可で、永住者ビザとは区別されています)。
2022年末の在留ブラジル人は209,430人です。多くが人手不足で外国人雇用に積極的な愛知県や東京都、静岡県、群馬県(大泉町はブラジルタウンとして有名)等で雇われている工場労働者とその家族と言われています。彼らは明治大正昭和に日本からブラジルに渡った約25万人の移住者の子供や孫たちです。歴史は繰り返すといわれますが、日本とブラジルの移住・移民の歴史は、逆方向で動き始めています。
参考1:大和魂(デジタル大辞泉)
1.日本民族固有の精神。勇敢で、潔いことが特徴とされる。天皇制における国粋主義思想、戦時中の軍国主義思想のもとで喧伝された。
2.日本人固有の知恵・才覚。漢才(からざえ)、すなわち学問(漢学)上の知識に対していう。大和心。
参考2:シニア世代には「大和魂」と言えば、1960年代に活躍したハワイ出身の日系ボクサー「藤猛」を思い出す。
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